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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
帝国のアドバイザー
90/122

90戦争準備

登場人物


ロウル   記憶喪失の主人公・交通事故死して狼に転生した?(★4テンロウ)

ローゼリア ロウルを助けた貴族令嬢(人間)

ノリク   ローゼリアの父親(人間)

タンゴ   ノリクの側近(★5キリン)

シャミア  諜報部隊隊長(闇妖精)


帝国主要貴族(御三家)

ピュートル公 本拠レオグラード(反乱軍側)

ニコラ公   本拠ワルシュア(不関与)

パヴェル公  本拠バイカル(帝国軍側)


4属国

ディビアン公国 国王ランスロット公(ピュートル派)

サマルトア公国 国王ロシュフォル公(ニコラ派)

マケルーノ公国 国王ケイシュール公(パヴェル派)

フェニキア公国 国王ロベルト公(パヴェル派)


 数日後、パヴェル公が後継者をアレクサー様に交代することを発表する。

 既に噂となったコンスタンの素行を公にし、コンスタンはバイカルに連れ戻されて館の中に軟禁されたようだ。

 これでコンスタンも終わったな。

 ノリク様が手を回しておいたためか、後継者の交代についてほとんど批判が出なかった。

 コンスタンの要求していた俺の引き渡しもパヴェル公から謝罪があり、なくなったようだ。


 これで、俺も安心して反乱軍関連に注力できるようになった。

 今日もお嬢様の部屋でシャミアさんと打ち合わせを行う。

 魔王関連は調査継続中とのことで、今日は反乱軍絡みの話だ。


「皇帝陛下の名前で出した反乱軍討伐命令に関して、ピュートル公からまだ返事はありません。

 どうやら返事を遅らせて、戦争準備を整えている模様です。

 近隣貴族やエルシアや連合国に援軍要請の使者を送ったようです。」

 シャミアさんが言う。


「まあ、想定の範囲内ですね。

 これで、ピュートル公が反乱軍に協力していることは確定ですね。

 しかし、エルシアにまで援軍要請するとは。エルシアは中立を表明していたはずでは?」

 俺が聞くと、


「ある程度協力する素振りを見せないと、地理的に反乱軍とピュートル公に挟撃されるためか、

 エルシアの中の一部の商人がピュートル公に肩入れを始めています。

 それについて、エルシアの内部で意見が割れているようです。

 結局エルシアとしては軍は動かず、一部商人の個人的な支援にとどまっているようです。」

 シャミアさんが言う。


「7大商人のうちでピュートル公に協力しているのは誰ですか?」


「フィロソフィー商会とベッカム商会です。

 ハルメルン商会が中立派、残りの4商会は保守派のようです。」


「ピュートル公についているのが2商会だけとは言え、筆頭のフィロソフィー商会が含まれていますね。

 これは、エルシアの勢力図が変わりそうです。

 1つめに、2商会がピュートル公に積極的に肩入れする理由についての調査をお願いします。この辺りが弱ければ、交渉次第でエルシアの動きを封じることができるかもしれません。

 2つめに、7大商人の対立具合についての調査もお願いします。

 2商会の意志が固い場合、開戦後に保守派の4商会と交渉してエルシアを割らせることを狙いたいです。」

 俺はシャミアさんにお願いする。



「次に、ピュートル公との戦争を想定した敵味方の勢力図の色分けですが、地図を見せながら説明します。」

 シャミアさんが説明を始める。


レオグラード周辺簡易位置関係

「★帝国軍・☆反乱軍・△複数勢力混在」


★1   ★2       ウ

              ラ

              ル

        △4    山

              脈

★3     ☆5☆6★7

              △8 ☆9



★1 パヴェル公本拠バイカル   兵力 8万「+周辺貴族7万「内フェニキア公国1万含む」」

★2 帝都皇帝直属軍       兵力20万

★3 ミューゼル家本拠ウォルタン 兵力 4万「+周辺貴族2万」

★4 マケルーノ公国       兵力 1万2千

☆4 周辺ピュートル派貴族              兵力5万

☆5 ディビアン公国                 兵力3万

☆6 ピュートル公本拠レオグラード          兵力12万「+周辺貴族7万」

★7 ファーレン         兵力 3万「+周辺貴族2万」

△8 エルシア

☆9 大陸東部全貴族                 最大推定兵力45万


帝国軍総兵力    46万2千

反乱軍総兵力    72万


「現段階での敵味方の色分けについて説明します。

 帝国軍はパヴェル公を中心にノリク様はじめとする貴族連合になります。

 対する反乱軍は、大陸東部貴族連合とピュートル公とその友好貴族による連合により構成されています。

 まずは、我が軍の勢力について説明します。

 パヴェル公の本拠バイカルによるパヴェル公直属軍が8万人、パヴェル公に従っている周辺貴族の兵力がフェニキア公国含めて計7万人、バイカル周辺だけで15万人となります。「★1」

 さらに、我々は帝都を押さえていますので、帝都の兵力20万が加わります。「★2」

 バイカルより南にミューゼル家の本拠ウォルタンがあり、ミューゼル家だけで4万、周辺貴族も含めれば6万の兵力になります。「★3」

 さらに、マケルーノ公国のケイシュール公が味方してくれていますので、マケルーノ軍1万2千が加わります。「★4」

 また、ファーレンを支配しているライン・ミューゼル公の兵力が3万、周辺貴族を含めれば5万の兵力になります。「★7」

 以上、現段階で把握している我が軍の総兵力は46万2千人となります。


 続いて、反乱軍の勢力についてです。

 元々マケルーノ公国周辺はピュートル公の影響力の強い地域で、周辺は全てピュートル公に味方する模様です。彼らの兵力は合算すると5万人程度になります。「☆4」

 レオグラード西のディビアン公国の兵力が3万「☆5」

 ピュートル公本拠のレオグラードの兵力が12万、さらに周辺貴族の兵力7万が加わります。「☆6」

 エルシアは、内部で意見が割れており、正式に軍の派遣はできていない模様です。ただし、治安維持も含め10万近い兵力を保有しております。「△8」

 最後に大陸東部の貴族連合ですが、各貴族の総兵力を合算すると45万程度になる模様です。「☆9」

 これらを合算した反乱軍最大兵力は72万人になると推定されます。」

 シャミアさんが地図と併せて説明してくれる。

 これで、おおよその勢力図は分かった。


「説明ありがとうございます。

 こうして地図と併せてみると、マケルーノ公国とファーレン周辺が地理的に孤立していますね。

 もし、開戦となればピュートル公はこの両者を速攻で潰しに来る可能性が高いと思います。

 ケイシュール公から兵力の支援要請とかは来ていませんか?」


「来ていない模様です。

 それどころか、ケイシュール公からパヴェル公宛に、マケルーノ公国が独力で制圧した貴族の領土を、戦後マケルーノ公国に編入させて欲しいという要請があり、パヴェル公は了承した模様です。」


 何だって?

 ケイシュール公は数倍の敵軍に囲まれていながら、援軍は要らないから自分で奪った領土を安堵しろと言っている訳だ。ピュートル公の主力による総攻撃を喰らう可能性だって低くないのに。


「こうやって地図を見てみると、地理的にケイシュール公はピュートル公につくのが自然だと思うのですが、一貫してパヴェル公についている理由は分かりますか?」


「ケイシュール公は実の父親である先代国王のアーシェル公をクーデターで殺して国王の座についています。

 アーシェル公はピュートル公と親密だったため、その時にピュートル公の援軍と激しく戦っています。そのため、ケイシュール公はパヴェル公に援軍を貰ってピュートル公の軍を追い返すことに成功し、マケルーノ公国の安堵を得ることができたため、その後は一貫してパヴェル公についています。」


「だとすると、ケイシュール公が今更ピュートル公につくという選択肢はなさそうですね。

 どちらかと言うと、パヴェル公に早々に援軍を頼むかと思ったのですが、今回はそれもしていないと。

 念のため確認しておきたいですが、ケイシュール公がピュートル公と使者のやり取りをした形跡はないですか?」

 あまりにケイシュール公の動きに違和感があるので、俺はケイシュール公が実はピュートル公と繋がっていることも考えてみた。


「はい、指示通りケイシュール公については重点的に調べさせましたが、ピュートル公とは使者のやり取りは全く行っていないようです。パヴェル公とは頻繁に使者をやり取りしているようですが、内容は先ほどの通り、援軍不要と制圧領土の安堵の確認、そして、パヴェル公の軍の到着まで戦線を維持できた場合には反乱軍鎮圧後にレオグラードを欲しいという要望でした。」

 シャミアさんが答える。


 俺は、ケイシュール公を舐めていたようだ。

 約20倍の敵戦力に袋叩きにされる可能性が高い中で、どこに勝算があるのか?

 俺には全く分からない。

 最終的にピュートル公につくのなら、初めからついていた方が絶対有利だからそれはない。

 本当に、マケルーノ公国単独で20倍の戦力を持つピュートル公とやり合うつもりだとしか考えられない。

 逆に本当にそれができるとしたら、それだけの人物にレオグラードほどの領地を与えることは危険ではないだろうか?


「パヴェル公は、レオグラードの件を認めたのですか?」

 俺はシャミアさんに聞く。


「パヴェル公は、反乱軍鎮圧後に全協力貴族の貢献度を見て検討はするという回答をしたようです。」


「パヴェル公の軍が到着するまでケイシュール公が戦線を維持出来たら、大戦果ですよね。

 反乱軍を鎮圧して大陸東側を全て分配し直す事になれば、ケイシュール公がレオグラードを欲しがっても文句は言えないでしょう。

 俺としては、ケイシュール公が力を持ちすぎることに危機感を感じますが、味方である以上、下手な事はしない方がいいでしょうね。

 現段階では、ノリク様にケイシュール公の危険性を報告しておくだけにしましょう。」

 俺は、お嬢様にその件を記録してもらう。


「次に、ファーレンの件ですね。

 こちらは周辺貴族入れて5万の兵力があるとは言え、ピュートル公の主力に攻め込まれると持たないでしょう。

 少しでも援軍を入れておきたいところなのですが。」

 俺が言うと、


「既にタンゴ様が、ファーレンに特殊部隊を向かわせました。」

 シャミアさんが答える。


「どんな部隊ですか?」


「タンゴ様が捕らえたモンスターを首輪で支配して、敵と戦わせるようです。

 元は人間を襲ってきたモンスターと言うことで、持て余しているようで、全滅するまで戦わせるそうです。」

 タンゴさん、同族であるモンスターを使い捨てかよ。

 やっぱり、俺はタンゴさんとは相容れないようだ。

 とは言え、少しでも戦力が欲しい現状、味方がやっていることに口をはさむわけにはいかないし。


「ロウル、どうしたの?」

 俺がタンゴさんに対して怒っていることを察したのか、お嬢様が聞いてきた。


「味方がやっている事だから文句は言えないですけど、俺は同族を使い捨てるタンゴさんにやり方には賛成できないです。

 こんなことを続けていると、もし魔王レオニエルが敵だった場合に、交渉の余地もなくなってしまいますよ。」


「ねえ、ロウル。

 もし、ロウルがタンゴの立場だったら、襲ってきたので退治して捕らえた大量のモンスターをどうしようと思う?」

 お嬢様が聞いてきた。


「捕らえたモンスターと話をしますね。

 なぜ襲ってきたのか、これからどうしたいのか。」

 俺は答える。


「襲ってくるモンスターの大半は餌不足みたい。

 もともと、餌が豊富な土地を人間が開拓して住むようになったからだけど。

 数が多いし世話をすると餌代が膨大になるから、昔はそのまま殺処分していたみたいだけど、首輪が開発されてから支配して使うようになったという話よ。」

 お嬢様が言う。


 本来であれば自然界で、モンスターが餌不足で襲ってくるという異常な状態は長くは続かないはずだ。

 普通は途中で餓死するものが大量に出て、モンスターの数自体が減るはず。

 人間を襲うモンスターが大量に発生し続けるなんて事があるはずがない。


「大陸の東側は、あまり開発されてなくてモンスターの餌場が残っているから、同じ問題が起きてないのですか?」


「多分そうだと思うわ。」


「今でも土地の開拓は続けているのですか?」


「自分の領地を豊かにしたい貴族は多いから、西側では大半の貴族がしてるわ。」


「それで、住処を失って襲ってきたモンスターの処理をタンゴさんに丸投げしてるわけですね。」


「言葉は悪いけど、その通りね。

 タンゴの方も、貴族達の要望をこなして、自分の地位向上を図っているわ。」

 西側貴族からすれば、野生のモンスターは厄介な存在と認識されているわけか。

 タンゴさんはそれゆえに今まで苦労してきて、その結果、限界突破種の自分は普通のモンスターとは違うとアピールすることで、西側貴族の中での自分の地位を向上させている。


 俺は、この悪循環に陥っている連鎖を断ち切りたい。

 しかし、現状何もできない。

 何より、情報が足りない。

 どうするか?


「でしたら、俺が捕らえたモンスターを率いてファーレンに援軍に行けないですかね。

 実際に捕らえたモンスターと話してみれば、何か解決策が見えてくるかもしれないと思うのです。

 それに俺が★6を目指すための訓練にもなりますし。」

 俺は、お嬢様に言ってみる。


「援軍はもう出発しているから、今更連れ戻す訳にはいかないわ。

 それにお父様が、戦争が始まったら、報告を受けて指示を出すときに相談したいからロウルを傍に置きたいって言っていたから、ロウルにはお父様の近くにいて知恵を貸してほしいの。」

 お嬢様が言う。

 遅かったか。なら、これは次の機会に考えよう。

 それに、反乱軍との戦争に勝つためには、ノリク様の側で具体的な方針決定に関わった方がいいのも確かだ。ノリク様に期待もされてるし。


「まずは、反乱軍との戦いに勝たないと話が始まりませんね。

 反乱軍に勝ったら、俺に帝国軍の中でモンスターの部隊を作らせてもらえないか、ノリク様に聞いておいてください。

 タンゴさんのやり方に、異議を唱えたいです。」

 俺はお嬢様に頼んだ。



 あとは、対魔王戦の情報整理か。

 シャミアさんの話だとまだ時間がかかるということなので、俺も自分でも調べつつ、待つことにした。



20230214


話番号修正・誤字等修正

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