表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
帝国のアドバイザー
85/122

85政略結婚

登場人物


ロウル   記憶喪失の主人公・交通事故死して狼に転生した?(★4テンロウ)

ローゼリア ロウルを助けた貴族令嬢(人間)

ノリク   ローゼリアの父親(人間)

アンネ   ローゼリアの母親(人間)

コンスタン 帝国御三家パヴェル公長男(人間)

アレクサー 帝国御三家パヴェル公次男(人間)


 次の日の夕方、ノリク様が久しぶりに早く帰ってきた。

 俺はいつものようにテーブルの下で餌を食べながら、ノリク様達の話を聞く。


「パヴェル公に味方になってもらえる可能性が出てきたのだが。」

 ノリク様は言うが、いつもと違って話し辛そうな感じがする。


「パヴェル公が味方になってくれれば大きいですわね。

 今までの関係だと、パヴェル公は敵に回ってもおかしくなかったですのに。

 だけど、何か厄介な条件を突き付けられたのでしょう?」

 アンネ様が聞く。


「アンネ、よく分かったな。

 パヴェル公の長男のコンスタン様とローゼとの婚約が条件と言われたので持ち帰ってきた。」

 ノリク様が答える。

 いや、アンネ様でなくてもノリク様の口ぶりを聞いていれば分かります。


「次男のアレクサー様なら歓迎なのだけれど、コンスタン様ですか。

 ローゼリアが苦労しそうで心配だわ。」

 アンネ様が答える。


 確かパヴェル公の第一妃には2人の息子がいて、長男のコンスタン様は禄でもないって話だったな。17歳にもなって未だに婚約者が決まっていない時点で相当な問題児なのだろう。パヴェル公も頭を悩ませているとシャミアさんが言っていた。

 逆に次男のアレクサー様はまだ12歳だけど評判がいいらしい。こちらは既に第2妃まで婚約者が決まっている。


 帝国の法律では、健康的に問題があるか、余程の失態でも犯さない限り順列の高い男子が爵位を継ぐことが決められている。過去に皇帝の息子たちが兄弟で骨肉の争いをした経緯から決められた法律のようだ。

 順列は子供を産んだ母親の順列が最も優先され、同じ母親から生まれた子供の場合長男が一番優先される。

 例えばその貴族に第1第2の二人の妃がいて、それぞれが2人の男子を生んだとした場合、1…第1妃長男、2…第1妃次男、3…第2妃長男、4…第2妃次男と言った順序になる。


 なので、貴族の妃となるためには第1妃の長男に嫁ぐのが有利と言うことで、普通に婚約者を募れば第1妃の長男であるコンスタン様は引手あまたの筈だ。にも拘わらず、次男のアレクサー様の方に人気が殺到。それも相手が帝国御三家のパヴェル公の息子であるにも関わらずだ。


 俺が知っているのはシャミアさんに聞いたこれくらいの情報だけだが、具体的な話を何も聞かなくても、コンスタン様が相当の問題児であることが分かる。

 そりゃあ、アンネ様も心配になるだろうな。コンスタン様の具体的な素行も聞いているのだろうし。


「この話がまとまれば、パヴェル公が協力してもらえるのは確実なのですよね?

 分かりました。私はコンスタン様に嫁ぎます。」

 お嬢様が沈黙を破る。

 ちょっと待った。お嬢様、本気で言ってるの?


「ローゼ、待つんだ。慌てて結論を出さなくてもいい。

 一度、コンスタン様に会ってくれるだけでいいんだ。」

 ノリク様も慌てて制する。


「もし、パヴェル公が敵に回れば、東から反乱軍、南にピュートル公、西にパヴェル公。

 三方を敵に囲まれ、このままではミューゼル家は滅びかねません。

 本拠のウォルタンも東のピュートル公と北のパヴェル公に挟まれる形になります。

 ニコラ公は遠方まで援軍を出してくれるかも分かりませんし。」

 確かにそこはお嬢様の言う通りなのだけど。


「確かにその通りだ。

 だが、私はローゼ、お前に犠牲になって欲しくない。

 一度コンスタン様に会ってみてくれ。

 ローゼがやっていけそうなら婚約の話を進めるし、断ればパヴェル公が敵に回る可能性は高いが、別の策は考えている。

 危険な賭けにはなるだろうが。」

 ノリク様も、お嬢様とコンスタン様が仲良くやっていけそうならパヴェル公を味方にしてやっていきたいのだろうな。

 とは言え、俺は厳しい気がするが。口には出さないけど。

 とりあえず、パヴェル公に一度お嬢様とコンスタン様でお見合いをするという回答をすることになった。



 食後、お嬢様の部屋でお嬢様と話をする。


「コンスタン様って、シャミアさんに聞いた話、碌でもなさそうじゃないですか。

 本気で、そんな奴との婚約を考えるのですか?」

 俺はお嬢様に聞く。


「私もこの年で未だに婚約者がいないし。

 そろそろ考えないと。

 お父様は私に、位の高い貴族の妃に、できれば皇帝陛下の妃になって欲しいみたいだし。」

 お嬢様は言う。


「お嬢様は、コンスタン様の噂を何か聞いていますか?

 俺はシャミアさんから、まだ婚約者が決まってないことと、いい噂を聞かない事ぐらいしか聞いていませんので。」


「素行が悪い話は聞いているわ。

 侍女とか屋敷のメイドとか、領内の商人の娘とか、かなり手を出したみたいね。

 相手を妊娠させた事も何度かあったみたいで、パヴェル公が相手にお金を握らせてもみ消したらしいわ。」

 最悪だな。俺的にはこの婚約は断固反対したい。ペットの立場じゃ発言権はないけど。


「でも、その程度なら目を瞑って御三家の長男に嫁いで実家を大きくしようという下級貴族の1人や2人はいそうな気がするけど。」

 俺が言うと、


「ロウルは、まだ何かあるかも知れないと思ってるの?」


「ええ、なので俺はこの話はできれば断りたいなって思ってます。」


「ロウル、ありがとう。私の事を心配してくれて。

 でも、貴族と言うのはね、家と領民を大事にしないといけないの。

 私の決断でウォルタンの領民が戦火に巻き込まれずに済むのなら、そうするべきだと思ってるわ。」

 お嬢様は言う。

 お嬢様がそこまで言うのであれば、俺にはもう何も言えなかった。




 次の日、お嬢様の講師の講義が終わった後、屋敷に来客があった。


「数日中に日程調整をすると言う話では?」

 アーバインさんの声が聞こえてくる。


「だから、今日に決まったって言ってるだろ。

 ノリク殿に確認済みだ。」

 男の声がする。


「分かりました。

 お通りください。」

 アーバインさんが声の主を館に入れたらしい。

 その後、アンネ様に一言話した上で、階段を上がってきた。


 これは噂のコンスタン様っぽいな。

 パヴェル公の所まで使者を出すなら、ある程度の日数は掛かる筈だよな。

 なんで急に来るんだ?


 男はノックもすることなく、いきなりお嬢様の部屋の扉を開ける。



「ローゼリア姫、会いに来たぜ。」

 男が言う。こいつが例のコンスタンか?


「コンスタン様でしょうか?」

 お嬢様が聞く。

 初めて会ったのか、お嬢様も顔を知らないようだ。


「そうだ。

 会いにきたぜ。」

 全然貴族っぽくない口調だな。本物かよ。

 だけど、アーバインさんが偽物を館に入れるとは思えないし。


 男はいきなりお嬢様の背中に手を回すと、お嬢様に口づけをする。

 初めて会ったばかりだというのに、それはないだろ。

 やはり、コンスタンは碌でもない奴だ。


「コンスタン様、何を?」

 お嬢様は言うが、


「いい体をしてるじゃねえか。たまらねえな。」

 コンスタンの奴はそう言うと、お嬢様の服に手をかける。



 俺は我慢できなくなって、コンスタンの野郎に体当たりをして吹っ飛ばした。

 ★4テンロウは体長3メートル以上あるので、人間に比べればかなり大きい。

 コンスタンの奴は吹っ飛ばされて部屋の壁に体をぶつける。


「お嬢様に乱暴を働く奴は許さん。」

 俺は、お嬢様の前に出て言う。


「この狼野郎、やってくれるじゃねえか。

 俺にこんな事をしてただで済むと思ってるのか、ああん?

 謝るなら今のうちだぜ。」

 コンスタンは体を起こすと、俺を脅してきた。


「ロウル、だめよ。

 コンスタン様を怒らせたら、パヴェル公が敵に回るわ。」

 お嬢様が言う。


「そうだ。

 俺は帝国御三家バイカル・ロマノフの世継ぎだぞ。

 貴様など、生かすも殺すも俺次第だぜ。

 死にたくなければ、今までの非礼を詫びろ。

 俺の機嫌が良ければ死なずに済むかも知れねえぜ。」

 奴は言ってきた。


「サンダー」

 俺は奴に電撃をぶつけると、

 俺は貴様になんか屈しないとばかりに奴を睨みつけた。


「痛えじゃねえか。

 貴様、俺を本気で怒らせたな。

 畜生の分際で俺に逆らいやがって。

 楽に死ねると思うなよ。」

 そう言い捨てると、奴は帰っていった。


「お嬢様、もう大丈夫です。」

 俺はお嬢様に言う。


「ロウル、ありがとう。

 でも、縁談の話が流れたら、パヴェル公が敵に回るかも。」


「あんな奴の横暴を許しちゃだめです。

 何があってもお嬢様を守りますから、心配しないでください。」

 俺は大みえを切った。


「ロウル、本当にありがとう。

 助かったわ。」

 お嬢様、目に涙をためてる。

 怖かったんだろうな。


 コンスタンの奴、とんでもない屑野郎だ。

 たとえパヴェル公が敵に回ろうと、俺はお嬢様を守るぞ。



20230206


話番号修正・誤字等修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ