83情報収集(2)
登場人物
ロウル 記憶喪失の主人公・交通事故死して狼に転生した(★4テンロウ)
ローゼリア ロウルを助けた貴族令嬢(人間)
ノリク ローゼリアの父親でハキルシア帝国宰相(人間)
シャミア 諜報部隊隊長(闇妖精)
帝国主要貴族(御三家)
ピュートル公 本拠レオグラード(エルシア西部で帝都南東部)
ニコラ公 本拠ワルシュア(大陸最西部)
パヴェル公 本拠バイカル(帝都西部)
反乱軍主要貴族
メキロ家 本拠エルモンド・港町ドンロン(大陸最東部)
リッチモンド家 本拠カージリア(大陸最東部)
次に、反乱軍の主要メンバーについて聞く。
反乱軍盟主のオーウェル・メキロ。18歳。エルモンド領主でメキロ家当主。アドバイザーのウルの陰に隠れているため本人の実力は未知数とのこと。
(いくらアドバイザーの補助があったとはいえ、18歳の若さで連合国を立ち上げて大陸の東半分を纏めている時点で相当なやり手であることに間違いはないでしょう。これだけのことをやり遂げた人物本人の能力や強みについて何も分かっていないですので、早急に調査する必要がありますね。
住人が知っているレベルでいいので、オーウェルが実際に行った行動について追いかけてください。それで、詳しい能力が見えてくるでしょうし、情報が集まれば弱点が分かるかもしれません。敵の方が諜報能力が上でしょうから、無理に深いところまで入ろうとはせず、見えてきた部分を着実に報告してください。)
俺はシャミアさんに指示を出す。
続いて、反乱軍のまとめ役でリッチモンド家当主パール・リッチモンド。63歳。顔の広さで、大陸東側の貴族を全て反乱軍に参加するよう説得したらしい。
ノリク様と仲が悪いという話だったな。聞いてみると、ノリク様が宰相になったときから確執があるようだ。
ノリク様ってそんなに人望ないのかな?
とてもそうは見えないけど。そんなことを言っていても話は進まないか。
(パールについては、顔の広さが厄介ですね。
パールが使者をやり取りした相手が誰かと相手の反応を追ってください。
あとは、本人が直接会った相手ですね。
可能であれば中身も知りたいですが、厳しいでしょうからいつ誰と会ったかだけでもいいので行動を追ってください。)
とりあえず、反乱軍の指導者ともいえる主要メンバーはこの2人らしい。少ないな。
それなら、どちらかを倒すことができれば、反乱軍を総崩れにできるかもしれない。とはいえ、貴族の当主の警備が甘いなんてことはないからな。一度目の報告を聞いてから方針を考えよう。
次は、反乱軍の盟主貴族であるメキロ家内部について聞く。
まずは、当主オーウェル以外の重要人物からだ。
死んだと聞いているけど、メキロ家アドバイザー★4テンロウのウル。
俺は絶対まだ生きていると踏んでいるからな。
(ウルが今までしてきたことを、現在反乱軍の中で誰が補っているのか分かる範囲で調べてください。
本当にウルが死んでいるならそこに付け入る隙がありそうです。
あと、できればウルの出自についても知りたいですが、本人が姿を現さない限り難しいでしょうね。これは分かればと言うことで他を優先してください。)
次は、ドンロン港領主エリーゼ・メキロ。40歳。オーウェルの叔母。オーウェルの良き相談相手とのこと。領主としては色々しているが、反乱軍の取りまとめにはあまり関わっていないらしい。
(エリーゼなら、立場的に反乱軍の重要な役割を担っていておかしくないはずですね。
実は裏で重要な役割を担っているという可能性は十分あり得ます。
使者のやり取りと実際に会った人物からエリーゼ本人の行動について追いかけてください。)
次に、メキロ家の本拠エルモンドのその他の重要人物について。
エルモンド内政官ネフェル・アグネル58歳。エルモンドの内政部分をよくまとめ、オーウェルをよく補佐しているようだ。オーウェルの留守中の責任者でもあるようだが、最近は、複数の後任に権限の移譲を始めているらしい。
(年齢的に言えば、引退が近いということも分からないこともないです。
ですが、俺には何かのカモフラージュの可能性ではないかと言う気がします。
具体的には、ウルの暗殺を受けてウルの役割の一部を担うためという可能性が考えられます。
逆に、もしまだウルが生きているなら、ウルと接触するために影に隠れようとしている可能性も十分あり得ます。
ネフェルについては、権限移譲を始めた時期と全体のどれくらいの割合の権限移譲が終わっているかを調べてください。
ウルとの接触の可能性も考え、ネフェル本人の具体的な行動、特に誰と会ったのかについて追いかけてください。)
エルモンド衛兵隊長グレアス・グロズリー19歳。オーウェルの幼馴染。剣術には優れるが、指揮能力に疑問ありとのこと。
(19歳の時点で指揮経験は皆無でしょう。それで指揮能力について判断するのは軽率だと思います。
年齢的にも伸びしろがあるはずで油断はできません。本当に指揮能力に問題があれば解任されるはずなので、それを持って判断すべきです。
解任されたということでもない限り、同じように、本人の行動を追ってください。)
エルモンド冒険者部隊長エイク・パールモンド37歳。元エルモンド冒険者ギルドマスター。アドバイザーウルの提案により、ギルドごとメキロ家冒険者部隊となる。
(ウルは幅広い提案をしているみたいですね。なるほど、冒険者ギルドは資金さえあれば簡単に雇える即戦力部隊。敵ながら見事です。
とは言え、ギルドをメキロ家が召し抱えたことに注目が行っていて、肝心のエイク本人の情報が分かってないですので、エイク本人の人となりや普段の行動について調べてください。
先に反乱軍絡みについてまとめて聞きますが、後程帝都の冒険者ギルドとの関係についても教えてください。)
俺は、シャミアさんに指示を出しつつ敵の策を取ることを考える。
次は、エルモンドモンスター部隊大将★4モサのパワー。ウルの提案でエルモンドにいるモンスターを取りまとめてモンスター部隊を創設し、その指揮官となった。
パワー?
聞いたことがある名前だ。なんと言うか、俺に関係が深い名前のような気がする。
パワーについて調べれば何かを思い出せそうな気がした。
だけど、パワーなんてどこにでもある名前だし、偶然の一致だよな。
そもそも帝都近くで倒れていた俺が、遥か辺境エルモンドのモンスターと知り合いのはずがないしな。しかも、俺とは種族も違うし。
恐らく俺の失った記憶のカギを握る人物は、こいつとは別だろう。
「ロウル、どうしたの?」
俺は考え事が長引いてしまったが、お嬢様に言われて我に返る。
(どこかで聞いたことがある名前だと思っただけです。
多分気のせいだと思います。
それはともかく、モンスターの部隊まで作るとはウルはかなりのやり手ですね。
モンスター部隊がどのような指揮系統で動いているのか調べてください。
ウルが生きていて、後ろから指示をしている可能性がありますので。
あと、パワーの実力についても調査をお願いします。)
俺はシャミアさんに指示を出す。
帝都近辺でパワーという人物について個人的に調べたいが、シャミアさんに頼むのは公私混同だからな。また別に考えよう。
次にメキロ家のもう一つの町ドンロン港の重要メンバーについて。
ドンロンの内政官は、衛兵隊・冒険者ギルド・商業ギルドの推薦による交代制により頻繁に入れ替わるため把握できず。現状、大きな影響力を持っている人物はいないようだ。唯一エリーゼの息子のドルクが常勤であるが、まだ15歳と若く決断には関わっていない模様。
(交代制は、重要人物がいない分誰か1人が欠けても業務に支障がないですので、攻めづらいですね。
ドルクは15歳ならまだ勉強中でしょうか。何か活躍したと言う話があれば教えてください。)
ドンロン衛兵隊長ジェラ・トンブソン。31歳。ドンロンの治安維持に力を発揮しているだけでなく、諜報活動にも携わっており、ミューゼル家の多数の密偵が彼女の手により捕まっている。
(強力なメキロ家の諜報活動にも関わっている時点で、かなりの危険人物ですね。
ジェラの普段の行動、部下以外で会った相手について追ってください。
メキロ家の諜報部隊の秘密に近づくためにも、ジェラの調査にはある程度力を入れてください。)
ドンロン冒険者部隊長バルドゥル・ガネス。49歳。元ドンロン冒険者ギルドマスター。アドバイザーウルの提案により、ギルドごとメキロ家冒険者部隊となる。
(こちらも冒険者部隊長本人の情報が殆ど分かっていませんね。
エルモンドのエイク同様、本人の人となりや普段の行動を調べてください。)
ドンロンモンスター部隊大将★5キリンのスレイル、副大将の★5ナイトメアのアウルスと★5ペガサスのローラン。3匹は兄弟で、五島諸島からのメキロ家の助っ人。ウルの提案で設立したドンロンにいるモンスター部隊を取りまとめている。
(★5が3匹で連携すればかなりのことができるでしょうし、★5キリンには専用技のセンスエネミーがありますので、下手に調べに行くと捕まりますね。
要注意人物です。
まずは、スレイルに直接近づかないようにしながら情報収集して彼らの統率者としての能力を調べてください。
そのために、モンスター部隊以外で普段誰とどのような話をするのかについてとか、その他本人たちの普段の行動を可能な範囲で追ってください。
あとは、これだけ強力な人物がメキロ家に肩入れする理由が知りたいですね。スレイル兄弟がメキロ家に加担した理由と言うか経緯を調べてください。)
俺は1つずつシャミアさんに指示を出していくが、聞いた感じ、ドンロン側の方が要注意人物が多いな。
エルモンド側はウルが直接指揮でもしていたのか?
それもエルモンドを調査すれば見えてくるだろう。
次にリッチモンド家本拠カージリアのメンバーについて。
カージリア内政官フェネス・ブラッド。30歳。カージリアの内政官の取り纏め。重要決定は5人の内政官の合議で決まるため、フェネス本人が決断を下すことは多くない。アレン暴走時に、アレンを諫めてパール同様監禁されるがアレン戦死後に救出される。
(情報や決断を多数のメンバーで分散するリッチモンド家のやり方は、誰か1人欠けても支障をきたさないから守りに強そうですね。逆に言うと小回りが利きにくいですので、優先度は低めですね。
5人の内政官の中で特別な動きをする人物がいないか調べてください。)
カージリア騎士団長アルス・ラーン42歳。前騎士団長ルフトーラの元上司。一度身を引いたもののルフトーラの戦死により騎士団長に返り咲く。後進の育成に熱心らしい。
(リッチモンド家は、軍事部門も騎士団長が戦死しても、後釜がしっかりしているわけですね。
本人や後釜の中で特別な動きをしそうな人がいないか調べてください。
そのような人物がいれば、メキロ家同様行動を追ってください。)
リッチモンド家は冒険者ギルドを召し抱えてはおらず、アレンの騒動でも冒険者ギルドは全く動いていない。また、モンスター部隊の編成も行っていない。
(それが普通で、ウルの提案で冒険者ギルドを召し抱えたりモンスター部隊を創設したりするメキロ家の方が普通じゃないと思います。
とは言え、リッチモンド家の体制はどこも役割分担がしっかりできていて、守りが固い分、ここから新たにメキロ家の革新的な政策を始められると厄介になるかもしれません。そのようなことがないか、カージリアの状況を継続して監視してください。
動きがあった場合は主導したメンバーについての調査をお願いします。
あと、聞いた感じですが、メキロ家の方が革新的なことをしている反面、少人数の判断に頼っている部分が多く、隙が大きそうに見えます。
メキロ家の方は、一度報告が戻ってきた後に色々仕掛けることを考えたいですので、主要メンバーの中で仲が悪いものがいないかも分かる範囲で調べてきてください。)
反乱軍主要都市の主なメンバーはこれくらいらしい。
あと、今朝の★5ケルベロスが気になるな。
(反乱軍に★5ケルベロスはいないのですか?)
俺はシャミアさんに聞く。
「諜報部隊の中にケルティクと言う名の★5ケルベロスがいるらしいですが、詳しいことは分かっていません。」
シャミアさんが教えてくれる。
今朝館の様子を見ていたのはこいつだな。
(諜報部隊については重要ですね。
実は今朝、ケルティクらしき★5ケルベロスが館を探ろうとしていました。
幸い館の敷地内まで入ることはなかったですが、近くの家の屋根から屋敷の様子を伺ってました。
帝都ですので多人数の投入が可能だと思います。この件については、早急に重点的に調べてください。
どちらかと言うと、これ以上好き勝手に調査させない牽制の意味が大きいですが。
捕らえられそうなら応援を頼んででも捕えてください。
難しいでしょうが、もし捕まえられたら大きいですので。)
俺は、ここは力を入れるべきところと判断したので、シャミアさんにそうお願いした。
あと、反乱軍の主力の行軍状況について聞く。
使者のやり取りで全貴族が参加はしたものの、盟主のメキロ家が大陸の東端のため軍が行軍してくるにはまだかなりの時間がかかるようだ。
(見切り発車していたとしても主力がエルシア近辺に来るまでに2か月半はかかりますね。盟主のメキロ家が遠方であるのが幸いして、まだ時間的な余裕はありそうですね。
その間に対策を取るわけですが、反乱軍の主力の行軍状況について、兵力や指揮をしている人物なども含め、定期的に報告をお願いします。)
(反乱軍絡みはこれくらいにして、帝都の冒険者ギルドについてとギルドとの関係についても教えてください。)
俺は次に冒険者ギルド関係について聞く。
「帝都の冒険者ギルドは大きく3つの派閥があります。厳密には4つでしょうか。
現ギルドマスターのクリント派との関係は良好で、持ちつ持たれつ色々と協力しております。
副マスターのマクガイア派はパヴェル公と近く、
同じく副マスターのアンジェラ派はピュートル公と通じているようで、敵対関係とは言わないまでも接触はクリント殿を通す必要があります。
前マスターのサンダース派は、権力闘争に敗れた結果サンダース本人含め多くがエルシアに流出して現在では少数派となり影響力を失っています。
夫々の派閥は裏で牽制しつつ、表向きは協力している関係です。」
シャミアさんが現状を教えてくれる。
これではウルと同じ手は使えないな。ピュートル派を証拠もなく捕えることもできないしな。
とは言え、手は他にもある。
(お嬢様、先ほどシャミアさんにお願いした★5ケルベロスのケルティクの件ですが、ノリク様から冒険者ギルドか軍に依頼を出せませんか。
ケルティクを反乱軍の重要人物として指名手配して、倒したいのです。
今朝館の様子を見ていた★5ケルベロスには左目の上に傷跡がありましたので、目印になります。俺が姿を見ているので、似顔絵を描いてもらうこともできますし。
敵の諜報部隊の力を削ぐことは大きいですので、今後のためにもここには力を入れたいのです。
できれば、今朝ケルティクがいた屋根の上の臭いを確認し、臭いを追える狼族モンスターを使って帝都中を人海戦術でケルティクの臭いを追いかけたいのですが、ノリク様からお願いして貰えないでしょうか?)
俺はお嬢様にお願いする。
あと、敵のアドバイザーのウルが生きているとしたら、ちょっかいをかけてきそうなのは皇帝陛下絡みか。
イワン皇帝について聞くと、あまり体調が良くないらしい。
さらに、イワン皇帝は直系最後の皇帝であり、万が一崩御と言う事態になれば、御三家のどこかから新規皇帝が排出されるとのこと。これは匂うな。
(皇帝陛下の体調が優れないのは気になりますね。
お嬢様、ノリク様に話して皇帝陛下の食事など厳重に警戒してもらってください。
ピュートル公辺りが何か仕掛けているかもしれません。)
「分かったわ。」
お嬢様が早速メモを書いていた。
(ちょっと嫌なことを思いついちゃったんだけど、意見を聞かせてほしい。
敵味方騙しまくりの敵のアドバイザーのウルがいかにもやってきそうなことなんだが。
本物の皇帝陛下はすでに死んでいて、今いる皇帝はノリク様が仕立てた偽物。
ノリク様は偽物の皇帝を擁して宰相として好き勝手振舞っているとかいう噂を流したら、それを信じて敵に回りそうな貴族は結構いそうかな?)
俺は、思いついた瞬間、ウルの奴ならやってくるに違いないという不思議な確信を持った。
「まさか、そんな嘘が通用するの?」
お嬢様が言うが、
(一度通用してますよね。
嘘の手紙を信じてアレン・リッチモンド伯が暴走、しかもノリク様が犯人にされましたよね。
同じことが起こらない保障はどこにもありませんよ。)
俺はウルの奴の行動を示して反論する。
「そこは陛下が本物であると証明すれば。」
お嬢様が言うが、
(証明なんてできるのですか?
皇帝が持つべき神器を確保したとしても、神器を奪って偽皇帝を擁したと言われれば証明のしようがないですよね。
皇帝に仕える宮廷の者が買収でもされようものなら本物の皇帝陛下を偽物扱いされかねませんよ。)
前世のようなDNA鑑定なんてできないわけだし。
それを聞いて、お嬢様は黙ってしまう。
「ピュートル公は大義名分を得たとばかりに、攻めてくると思われます。
ノリク様のことを快く思っていないパヴェル公だけでなく、下手すればニコラ公すら敵に回るかもしれません。」
シャミアさんが冷静に冷徹な事実を言ってくる。
もし、そうなれば敗北確定だな。
予め、分かってよかった。実際にされる前に対策を打てるからな。
(お嬢様、ウルがまだ生きているなら、やってくる可能性は高いと思います。
先手を打った対策をノリク様にお願いしてください。
俺にはニコラ公・パヴェル公に餌をまくような案しか思いつかないので。)
俺はそう言って、ノリク様に対策を取ってもらうことにした。
既に依頼済みだが、これは戦争になったときの敵味方を見極めが重要になりそうだ。
そして、改めてシャミアさんにはある程度以上の規模の西側貴族の1人1人について噂から人となりと最近の行動を調べてもらうようお願いした。
20230106
話番号修正・誤字等修正




