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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
はじめての冒険
8/122

8パワーとの闘い(1)

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★2ウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    モンスター仲間。(★2イーグル)

ガルガン   モンスター仲間。(★1ヤングタイガー)


ご主人様のメモ

エイムさん 見晴らしのいい高台 お昼 食事中に後ろから不意打ち

ビルさん  森の獣道 午後 獣道を歩いているときに鉢合わせ

シーラさん 谷の川の近く 夕方前 獲物を捌いているときに突然現れる


 俺達は、俺・ご主人様・ガルガンの順に歩いて森の中へ入っていった。

 リーザはご主人様の荷物にとまっているが、見晴らしのいいところでは飛び回ってパワーを探してもらう予定だ。


 森の中には小動物の逃げていく足音とかもちょくちょくする。

 俺達が近づいて逃げていったのだろうが、この森にはそこそこ獲物がいると考えていい。

 そんな場所で人間を襲うパワーは危険な存在だ。早く退治しなければ。


「とりあえず、猟師の方が襲われた場所に行ってみましょう。」

 ご主人様の指示で、俺達は現場に向かう。

 位置はご主人様が把握しているから、俺は警戒しながらその方向へ進むだけだ。


 しばらく森の中を歩いて、1つ目の現場に来た。

 見晴らしのいい高台なのでエイムさんの襲われた場所だろう。

 まだそんなに古くない荷物が残っている。

 荷物の入った袋と思わしき破り散らされた布や、荷物の中身が飛び散らかされている。

 餌狙いなら、この森は獲物は多そうなんだけどなあ。

 なんで人間を襲うんだろ?


「リーザ、パワーがいないか空中から見てきて。」

 ご主人様の指示でリーザが森の上を飛んでパワーを探しに行った。


 その間に俺は現場を確認しておこう。

 まず、奴の足跡を発見した。

 ブラックベアにしてはちょっと大きいのかもしれないが、俺はブラックベアの足跡の現物を見るのが初めてなので、これが大きいかと言われると自信がない。が、この足跡の形と大きさはしっかり覚えておく。

 そして、忘れないようパワーの匂いも、しっかりと覚えこんだ。

 エイムさんの破り散らされた荷物にも匂いがしっかり残っているから間違いない。

 パワー、お前がどこに逃げようが、匂いを辿って必ず追い詰めてやるぜ。覚悟しろよ。

 ここの足跡は2ー3日前のだろうから、今から追いかけても無駄だろうけど。


(ご主人様、パワーの匂いと足跡を覚えました。新しい足跡を発見したらいつでも追跡できます。)

 俺は、ご主人様にそう報告した。


「ありがとう。その時はお願いね。」

 ご主人様は、そう優しく言ってくれた。


「ガルガン、ウルは追跡に集中しないといけないから、周りの警戒を宜しくね。」

 ご主人様は、ガルガンにも同じように声をかける。

(わかったよ。)

 ガルガンも準備OKのようだ。


 しばらくして、リーザが戻ってきた。

(この斜面を降りていった先に大きな熊がいるよ。)


 あっさり見つかったな。

 さっさと退治するか。


「その方向だと、シーラさんが襲われた場所に近そうねえ。行きましょう。」

 俺達はリーザの案内で、パワーと思しき熊がいる場所へ向かった。


(この向こうよ。)

 リーザの案内で坂の斜面を降りてくるが、パワーの姿は見えない。

 しかし、遠くの方に猟師が1人で森の中を歩いているのが見える。

 えっ、3人も襲われたのに、狩りをしてるの?

 不用心過ぎない?


 俺が猟師を見ている間に、少し離れたところの草むらから熊が現れて動き出した。

 1人で歩いている猟師に向かって全速力で走っていく。


(逃げろ。)

 俺はそう吠えながら猟師に向かって走り出した。しかし、距離があるからとても間に合わない。

 俺が着くまで無事でいてくれ。そう思いながら、俺は全力で猟師の方へ走った。


「リーザ、パワーに空からウィンドショット。何回もぶつけて気を散らせて。」

 ご主人様の指示でリーザは空から飛んで行った。空からの方が俺よりも断然早い。


「ガルガン、私についてきて。」

 ご主人様は、ガルガンと一緒に後からついてくるようだ。


 熊が猟師を不意打ちの体当たりで突き飛ばす。猟師との大きさで比較してもでかいな。

 胸に斑紋も見える。やはり、あいつがパワーだ。


 パワーは倒れた猟師に更に襲い掛かろうとする。


(ウィンドショット)

 そこに、リーザのウィンドショットが当たる。

 この程度で熊を倒せはしないが、注意を引くことはできたようだ。

 パワーはあたりを見回す。

 俺達の姿を確認したようだ。


 よし、こっちへ来い。勝負しろ。

 俺はそう思いながら奴の方へ向かったが、パワーは急に後ろを向くと倒れている猟師に爪の一撃を振り下ろした。

 猟師が悲鳴をあげる。

 さらにパワーが倒れている猟師を足で蹴飛ばす。

 途中で、2発のウィンドショットを食らったにもかかわらず、パワーの注意はそれない。


 まずい、俺のサンダーで威嚇しよう。

 走りながらでも精神集中できるか。やってみるしかない。

 俺は走りながら、サンダーの技を出そうと精神を集中した。

 そして、パワーに向かってサンダーを放つ。

 俺の放った電撃がパワーを直撃する。

 それなりに効いたのか、パワーが俺の方を凝視する。


 よし、こっちを向いた。

 続いて、リーザの位置を確認したようだ。

 近づいたらホールドで捕まえてやるからな。


 パワーが俺に向かって走ってくる。

 かかったな。

(ホールド)

 俺は足を止めると、パワーに向かってホールドを放つ。

 ツタが伸びてきて、パワーの後ろ脚に絡まる。

 やったぜ。

 俺は、二度目のホールドで前脚も封じるため精神集中を始めた。


 が、パワーは後ろ脚のツタを力任せに引き抜き、振り払ってしまう。

 時間稼ぎにしかならないのか。

 俺は2度目のホールドを放つが、パワーは後ろにジャンプしてかわす。

 素早い。


 実践で使うのは初めてだけど、散々練習したんだぞ。

 師匠には遠く及ばないとはいえ、あれをかわすか?

 こいつ、思った以上に手強いぞ。


 が、パワーも俺の技を警戒したようで、不用意には近づいてこなくなった。

 俺の出方を窺っているようだ。

 とは言え、ホールドが時間稼ぎにしかならない以上、俺だけでは打つ手は限られる。

 俺は、パワーと睨みあいを続けながら、ご主人様とガルガンが追い付いてくるのを待つことにした。


 猟師の方を見ると、まだ倒れたままだ。早く手当てをしないと。


 パワーは、俺・リーザ・後から向かっているご主人様とガルガンの姿を確認している。

 と、思ったら、急に後ろを向いて逃げ出した。


 予想外の行動に俺は反応が遅れる。

 ダメもとでサンダーを放つが、殆ど効いているようには見えない。

 パワーは一瞬振り向くが、そのまま森の中へ逃げていった。


 追いかけたいが、今は倒れた猟師の治療を優先すべきだろう。


「リーザ、ヒーリング」

 追い付いてきたご主人様の指示で、リーザが回復魔法をかける。

「リジェネレーション」

 そして、ご主人様も回復魔法をかける。


 猟師はようやく気が付いたようだ。


「大丈夫ですか?」

 ご主人様は猟師に話しかける。


 猟師と話したご主人様の話を聞く限り、俺達がパワー退治に行っているから大丈夫だと思って狩りに出かけたらしい。


「あのですね。私たちはパワーを退治に来ていますけど、猟師の皆さんが勝手に狩りをされたとしても全員守ることなどできませんよ。

 とりあえず、今日はお送りますので、帰ってください。」

 ご主人様は、猟師に有無を言わさずそう言って、俺達は猟師を小屋まで送り届けた。


 小屋に戻ると、仲間の猟師が何人もいた。

 狩りに行ったのはこの猟師だけなのだろうか?

 ご主人様は猟師の代表の方を呼ぶと、狩りをしばらく控えるように徹底してほしいと伝えていた。

 そりゃ、そうだよな。勝手に動かれて俺達がいないところで犠牲者でも出たら目も当てられないし。


 そうこうしているうちに日が暮れてきた。

 ご主人様は今晩も宿に泊まり、明日からまたパワーを探すことにしたようだ。




(ご主人様、パワーは思った以上に手強いです。)

 夜、ご主人様と話をしてみた。


「そうね。リーザとガルガンに気を引いてもらって、ウルのホールドを決めるのが勝ちパターンだと思ったのだけど、簡単に隙は見せてくれそうにないわね。」

 ご主人様はどうやってパワーを倒すか考えているようだ。


(しかも、ホールドしてもあっさり引き抜かれちゃいました。)

 この事実に対して、ご主人様はどう考えているのだろう。


「パワーはウルのホールドを解くのに前脚を使っていたわ。後ろ脚だけでは引き抜けなかったのよ。

 何とかして、前脚と後ろ脚の両方にホールドをかけることができれば、パワーも動けなくなるはずよ。」

 ご主人様はよく見ているなあ。

 俺はあの時2回目のホールドのため精神集中をしていたからそこまで気づかなかった。


(でも、どうやって2回もホールドを決めるかですね。)


「そこが問題ね。今度パワーと戦うときは、そこを意識しておきましょう。」


(分かりました。)


 俺とご主人様は、明日以降のパワーと戦う方針を確認すると、明日に備えて眠りについた。

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