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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
はじめての冒険
7/122

7熊退治の依頼

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★2ウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    モンスター仲間。(★2イーグル)

ガルガン   モンスター仲間。(★1ヤングタイガー)


 その夜、俺達はフルゴ村の1つしかない宿屋に泊まる。

 この村は、主要街道から外れているので、旅人も滅多に来ない。

 そのため、雑貨屋が宿屋も一緒にやっていて、部屋も2部屋だけだ。

 部屋もセンターとは比べることもできないほど質素である。

 その分かなり安いらしいが。

 でも、センターの部屋が特殊なだけで、科学レベルが前世の中世であればこんなものだと思う。


 俺達は、宿で調理されたご飯を食べて満腹し、部屋に戻った。

 この宿には客用の風呂などなく、宿屋さんが自分の使っているお風呂をご主人様だけが使わせてもらった。

 洗われないことに、リーザはほっとしていた。

 部屋にはベッドが2つあるだけで、何もない。

 まあ、野宿に比べれば、ベッドで寝れるだけで十分とも言える。


 そして、俺達が部屋でくつろいでくると、部屋をノックする音がする。

 何か人間の声が聞こえるが、俺には何を言っているかは分からない。


「はい、今出ます。」

 ご主人様がそう言って、部屋の戸を開ける。

 すると、人間の年配の男がいた。


 男の言葉は分からないがご主人様の言葉は分かるから、いつものように、ご主人様の言葉から内容を推測しよう。


「村長さんが、わざわざこのようなところまで、私に依頼ですか。」

 どうやらここに来た男は村の村長らしい。


「ダイクさんの件は依頼をこなしただけですよ。報酬もしっかり貰いましたし。」


「確かに、この村は主要街道沿いでもないですし、あまり冒険者が来るような村ではないですが。」


「私にできることであれば協力させていただきますので、話を聞かせていただけますか。」


 この村にはあまり依頼を頼むような冒険者が来ないのか。確かに街道の一番奥みたいだしなあ。

 それでたまたま村に来た冒険者であるご主人様に依頼を持ってきたということか。

 ご主人様も依頼内容を聞くことにしたようだ。


「村の猟師を襲う熊ですか。襲われた人は無事でしたか?」


「それはよかった。荷物だけで済めばいい方です。でも、3人も襲われているというのは放っておけませんね。

 その熊の特徴を教えていただけますか。」


「体毛が黒で、胸にV字のような白い斑紋ですか。★2のブラックベアにはそのような斑紋がある個体がいると聞いています。

 ただ、お聞きした大きさが本当であれば、ブラックベアにしては少し大型ですね。大きくて強い個体なのでしょう。」


 どうやら依頼内容は猟師を襲う熊の退治らしい。姿を聞く限り前世のツキノワグマっぽい。熊の中ではそんなに大きな方ではないな。

 ★2ブラックベアなら俺と同じ進化レベルだし、この前の虎よりは戦いやすいだろう。

 多少大きくても虎と同じくらいだ。

 他に引き受ける人はいなさそうだし、俺達が退治してあげた方がいい気がする。


「あと、報酬についてもお聞きできますか?」

 そこは大事だよなあ。ご主人様はこういうところもしっかりしている。


「退治するか、最低限もう襲って来ないように追い払えばいいのですね。分かりました。お引き受けしましょう。」

 ご主人様も依頼を受けると決めたらしい。


「ええ、困っている人を放っておけませんし、報酬もしっかり貰えますし。出来る限り協力させていただきます。

 あと、襲われた猟師の方たちの家を教えてください。明日出発する前に話を聞きたいですので。」


 すると、村長は紙に地図を書いてご主人様に渡してくれた。


「ありがとうございます。猟師さんが熊に怯えなくていいよう対処しますので、心配しないでください。」


 ご主人様がそう言うと、村長は安心して帰っていった。


「みんな、聞いてた?依頼を受けたから明日から熊退治に行くわよ。」

 村長が帰った後、ご主人様は俺達にそう言った。


(★2ならそんなに手強くなさそうですよね。頑張るぞ。)

 俺はそう答えた。


 そして、次の日の朝、俺達はご主人様に連れられて猟師の小屋に向かった。

 この村の猟師達は村のはずれに小屋を作って住んでいるらしい。

 小屋が集まっているところに近付くと、3人の猟師と思わしき人物が近づいてきた。

 ご主人様と村長との話と同じように、また、ご主人様の言葉から状況を把握しよう。


「わざわざ出迎えていただいてすいません。熊に襲われた猟師の方ですね?」

 わざわざ待っていたということは、村長から話があったのだろうか。

 確かに話が早くて助かるが。


「では、お一人ずつ、襲われた場所や時間、そして襲われた時の状況を聞かせてください。」

 うんうん。そうだよなあ。

 それを聞いて、熊のいそうな場所とかが分かるといいなあ。


「エイムさんは、お弁当を食べているときに後ろから不意打ちですか。よく無事でしたね。」


「パワーというのは、襲われた熊のことですか?」


「なるほど、大きくて強いから皆さんでパワーと呼んでるのですね。」

 襲ってきた熊に名前がついているんだ。まあ、特定の1匹の熊のことを言うなら、その方が話しやすいかも。

 名前の付け方がなんとなく英語的な気がする。ただ、今気にする話じゃないな。


「で、パワーが、エイクさんのお弁当を食べ始めたのでその間に逃げたのですね。荷物だけで済んでよかったです。」

 ご主人様も当たり前のように、退治する熊のことをパワーと呼んでいるな。


「時間はお昼頃、場所は見晴らしのいい森の高台ですね。簡単な地図を書いていただけますか?」

 確かに地図があったほうが分かりやすいよな。ご主人様に言われて、猟師のエイムさんは襲われた場所の簡単な地図を書き始める。

 その間にご主人様はエイムさんの話をメモにまとめている。控えておくと、後から何かの判断の役に立ちそうだしな。


「ありがとうございます。次は、ビルさん、襲われた時の状況を教えてください。」

 ご主人様はエイムさんから地図を受け取ると、2人目の猟師に聞き始めた。


「ビルさんは、歩いているときにパワーと鉢合わせて、襲われたのですね。荷物も捨てて慌てて逃げたら追ってこなかったと。

 無事でよかったです。」


「では、ビルさんも、襲われた場所の地図を書いてください。」


「エイムさんの地図に書き足すのですか。私としても、その方が助かります。」


「最後にシーラさんも襲われた時の状況を教えてください。」


「狩った獲物を捌いていたら、パワーが急に現れて襲い掛かってきたのですね。獲物も荷物も置いて逃げたら追ってこなかったと。

 それが正解ですよ。無事でよかったです。

 ご主人様はシーラさんにも地図に書き足してもらって、状況把握が終わった。


「みんな、それじゃあ出発しましょう。」

 こうして、俺達はパワーの退治に森へ出発した。


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