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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
エルモンドのアドバイザー
45/122

45方針相談

登場人物

ウル(主人公)狼に転生した元人間。(★3シルバーウルフ)

パワー   ウルの仲間モンスター。(★3ポールベア)

ロウガ   ウルの体の元の持ち主。

ケルティク ロウガの友人でメキロ伯爵配下(★4ヘルハウンド)

レオニエル モンスターの待遇向上を訴える魔王(★6魔王)

スレイル  レオニエル三兄弟の長男(★5キリン)

アウルス  レオニエル三兄弟の次男(★5ナイトメア)

ローラン  レオニエル三兄弟の三男(★5ペガサス)

ティア   メキロ侯爵の乗用竜(★5ティアマット)

オーウェル メキロ侯爵の跡取り(人間)

 結局夜通しの移動で俺達は亀島北港に到着した。

 センターに要らぬ警戒をされないよう町の近くに一旦降り、日の出とともに亀島北港の街に入る。


 オーウェルさん1人で馬4匹・狼2匹・熊1匹・竜1匹を連れて歩くので結構目立つが、オーウェルさんは気にすることもなく、用意してある船に向かって歩いて行く。

 メキロ伯爵の船は、ハルメルンさんの船よりは小型のようだ。同じように帆とオールで動かす船のようだ。この世界の船はこれが普通なのかな。五島諸島の定期便もそうだったし、サーペントが引っ張る高速船は特殊なのだろう。


 船長らしき人間がオーウェルさんを出迎えてくれた。

「旦那、お早いお帰りで。出発の準備はいつでもできてますぜ。

 この方々が旦那に協力してくださるモンスター達ですかい?」


「はい、そうです。バッザさんに紹介しますね。」

 船長の名前はバッザさんと言うらしい。

 オーウェルさんが俺達全員を紹介してくれた。

 バッザさん、魔王と聞いても驚かなかった。事前に聞いていたんだろうな。


「皆さん徹夜で飛んできましたので、休憩が必要です。皆さんを船内の部屋に案内して差し上げてください。」

 オーウェルさんは、自分も徹夜で眠いだろうに俺達の休憩の手筈に余念がない。

 俺達はバッザさんに船内に案内された。

 ハルメルンさんの船と違って大量の荷物を運ぶわけではないので、船の大きさの割に部屋数はある。

 魔王達は大部屋に4匹で、俺はパワーと2匹で中くらいの部屋に案内された。

 何かあれば、近くにいる船員に声をかけてほしいとのこと。

 俺とパワーは徹夜で眠いので、一度寝ることにした。


 目が覚めると、もう午後になっている。そこそこの時間寝たようだ。

 それよりも、パワーがいない。

 部屋の外に出て近くにいた船員に聞くと、すぐにモンスターと会話ができる担当者を連れてきてくれた。俺は文字も大分習得したのである程度筆談でもできるけど、直接話せる人の方がいいか。

「お待たせしました。私が通訳担当のアランです。

 どうされました?」

 モンスターとの意思疎通の役割を持った担当者もいるんだ。オーウェルさんは話せるけど、ほとんどの船員はモンスターと会話ができないだろうからな。


「俺と同じ部屋にいたパワーという熊がどこへ行ったか知らないか?」


「パワー殿なら、技の練習をするとかで甲板にみえますよ。」

 パワー、相変わらず練習熱心だなあ。


「ありがとう。俺も甲板に出るよ。」

 俺はお礼を言ってアランさんと別れ、甲板に出ることにした。

 甲板に出ると、パワーが海に向かってインパルスの練習をしていた。そりゃ部屋の中ではできないよな。船が傷つくし。


「パワー、すごく上達しているじゃないか。」

 パワーは腕を振りながら衝撃波を出していた。


「ウル様、起きたのか。

 少しずつ、コーチのようなインパルスの使い方に近づいてきているぜ。」


「そうみたいだな。

 俺も練習したいけど、先にやることがあるからな。」


「船の中で話を聞きに行くのか?」


「パワー、よく分かっているじゃないか。

 この先強大な敵と戦うわけだし、敵は身内にいないとも限らないし、できる限り情報を聞いておかないとな。」


「ウル様、俺様もついていくぜ。」

 パワーは、俺と一緒に話を聞きに行くみたいだ。


「練習はよかったのか?」


「後からでもできるからな。」


 こうして、俺はパワーと船の中で情報収集をすることにした。

 とりあえずは、通訳担当のアランさんを探そう。


 と思ったら、アランさんが船内の入り口からこちらを見ていた。

「アランさん、ちょうど探しに行こうと思ってたところです。」


「いつ話があってもいいように、遠くから様子を見させていただいてました。」


「魔王から呼び出されたらすぐ行けるの?」


「私は、ウル殿・パワー殿の担当ですから。魔王にはもう一人担当者がいます。」

 俺とパワーだけで専用の通訳担当がいるとか、すごい待遇のような気がする。


「それじゃあ、アランさんに色々聞きたいのだけどいいかな?」


「ええ、なんなりと。」


「とりあえず、俺達の部屋に来てもらっていいかな。」

 俺はアランさんを部屋に連れて行って話を聞くことにした。



「この船はメキロ伯爵の領地へ向かっているのですよね?」

 まずは、地理的なことから聞くことにした。


「はい、ドンロンの港に向かっています。13日の行程の予定ですが、天候によっては多少前後します。」


「ドンロンの港はメキロ伯爵の本拠なの?」


「いえ、そこから3日ほど歩いたエルモンドの町が本拠です。」


「帝国の首都からエルモンドまで、歩くとどれくらいの時間がかかるの?」


「途中ほかの貴族の領内を普通に通れると仮定しても、人間が歩くと4か月以上かかりますね。」

 それで、ノリクも簡単には攻められないわけだ。


「メキロ伯爵はエルモンドで暗殺されたの?」


「いえ、帝都ルーベンブルグでです。

 ノリク対策や他の貴族との交渉・調整とかは辺境のエルモンドではできませんから。」

 そりゃそうか。

 本拠で暗殺される貴族って余程だからな。

 なら、現状エルモンドはある程度安全とも言えるか。


「今の当主はオーウェルさんなの?」


「はい、そうです。

 ついこないだまで坊ちゃんと呼んでいたのですが、今は旦那様とお呼びしています。本人は嫌がっているみたいですが。」


「オーウェルさんに兄弟はいないの?」


「妹のリュエル様がみえますが、既に嫁いでいるためエルモンドにはいません。」


「と言うことは、オーウェルさんに万が一のことがあったらほぼ敗北確定ですね。」


「考えたくはないですが、そうだと思います。」


「オーウェルさんの母親とか祖父祖母はいないの?」


「母親のミリア様は、リュエル様の出産時に他界されてます。

 祖父母も皆他界しています。」


「オーウェルさん、帝都に行く予定とかないですよね?

 現状危険すぎるので。」


「私も旦那様の予定を全て聞かされているわけではないですが、帝都は危険なので近づかないと仰っていました。」

 五島諸島に出かけたりとか、結構危険なことをしてると思うけどな。


「五島諸島で結構危険なことをしてましたよ。護衛もティアマットとケルティクしかいなかったし。もし、ノリクが情報を知っていたら危なかったと思いますよ。」


「そうなのですか?

 五島諸島ではもっと護衛がいたものだと。」

 アランさん、知らなかったんだ。


「今度オーウェルさんに言っておきます。

 もっと慎重に行動してくれって。」

 将棋で単独で動き回る玉って危なすぎだって。


「はい、旦那様はウル殿の話なら聞いてくれると思いますので、よろしくお願いします。」


「オーウェルさんって、年いくつ?」


「今年で18になります。」

 見た目通りの年齢か。

 前世の俺の半分ちょっとしか生きてないんだ。

 貴族の跡取りだけあって、年の割にはしっかりしているように見えるが。


「武勇に優れていたりするの?」


「魔術には多少秀でているようですが、武術は得意ではないです。」

 俺と同じ精神系か。


「魔獣ガイアを手に入れた後、どうするかとか聞いてる?」


「いえ、まずそこに全力を尽くすとだけ。」

 長期的展望はないのかよ。

 ノリクに勝つための道筋とマイルストーンくらいは考えておいてくれよ。

 敵に漏れることを防ぐために意図的に隠してるとしてもちょっとどうかと思う。

 それでも、父親が暗殺されて、いきなり自分でなんとかしないといけなくなった18歳の青年と考えれば、よくやっている方だと言えるか。

 でも、戦うなら勝たなきゃ意味がないんだよ。

 とりあえず、諜報部隊の報告受けないと、俺も打つ手を思いつかないしな。報告待ちと言うならありか。


「近隣にノリク派の貴族がいるのか?」


「以前は近隣は友好貴族で固めていましたが、先代が暗殺されてからノリクの工作にあっているようで、今でも友好かどうかの保障はないです。」

 とりあえず、元は友好貴族で固められていたのなら、そうそう攻められることはないか。とは言え、近隣貴族の動向は注意しておかないといけないな。これもあとで、オーウェルさんに言おう。

 俺がノリクなら、近隣の誰かを寝返らせて、エルモンドを攻めさせる。

 さらに、協力しない近隣貴族は滅ぼすとか言えば、雪崩を打ったようにエルモンド攻めに傾くはずだ。

 やはり、日和見連中を味方にしないと負けるな。



 そんなことを話していると、噂のオーウェルさんがやってくる。


「ウル殿、パワー殿、魔王との会議をしたいと思いますので、来ていただけますか。」

 ご当主自ら呼びに来るとか気さくで話しやすい人なんだけどなあ。

 自分が殺されたら終わりだという自覚がなさすぎな気がする。


 オーウェルさんに案内されて会議室に入ると、魔王の通訳っぽい人間が一人、書記っぽい人間が一人、そして、魔王と★5キリンのスレイルさん達三兄弟が待っていた。


「ケルティクはいないのですか?」


「ウル殿にいただいた提案を諜報部隊に伝えるために、★5ティアマットのティアに乗って飛んでもらいました。」


「それは分かるのですが、空からでも遠くないですか?」


「2日はかかります。2人には伝達が終わったら向こうで休んでもらうことにしました。」

 行動が早いのはいいことだけど、酷使しすぎじゃない?

 でも、俺が頼んだことだしな。

 この話はこれくらいにしておいて、どこかで無理しないように言おう。




 そして、会議が始まる。


「今回相談したいのは、魔王の復活をできる限り表に出すことなく、魔王にお願いできることの範囲についてです。」

 オーウェルさんが言う。


「最初に断っておくが、魔王だと言っても、万能というわけではない。確かに、現状数百人~千人程度の敵なら単独で相手をできないこともないが、私の力の源は不当に扱われたモンスターたちの願いだ。現状エネルギーが補充できる状況ではなく、逆に力を振るう度にエネルギーを消耗して力が失われていく。」

 魔王が答える。


「と言うことは、魔王に手を貸してもらうのは、本当にここぞというときのために、切り札として残しておいた方がいいわけですね。」

 俺が聞く。


「そういう事だ。」


「オーウェルさん、これさえすれば逆転できるという材料はありますか?」


「今のところはないですね。ウル殿に提案してもらった皇帝陛下の救出案もノリク側に冷静に対処されれば、魔王の力を無駄に使うだけに終わる可能性が高そうです。」

 やっぱ無理か。


「基本、父の力は借りない前提で考えたい。基本的に我ら兄弟が戦力として動くつもりだ。

 まずは、魔獣ガイアを入手するのが目下の目標と言うことになるな。」

 スレイルさんが言う。


「そうなりますね。

 ノアの迷宮は、総合的な力を試されると聞いています。

 挑むメンバーを厳選しないといけません。」

 オーウェルさんが答える。


「総合的な力と言っても色々あると思うが。」

 俺は聞く。


「一度、ケルティクに調査に行ってもらったことがありますが、入口で挑むメンバー1人1人の力が十分かを試されたようです。

 そして、中に入ってからは知恵・戦術・判断力などが試されるようですが、そこから先に行って失敗するわけにはいきませんでしたので、戻ってきました。

 ただ、多くの戦力を投入すれば成功しやすくなるとは限らないみたいです。」


 知恵って、前世のゲームのリドルとかかな。

 戦術ってことはパーティー戦闘だよな。

 判断力っていうのが一番漠然としてるな。

 いずれにしても、足手まといになるメンバーは連れていけないってことか。

 だけど、多くの戦力を投入すれば成功しやすいとは限らないってのが気になるな。よくあるパターンは、自分のコピーが敵で出てくるとかだが。


「その言葉で思いつくのは、戦闘で戦う敵が自分たちのコピーだったりする場合ですかね?

 それなら下手に兵力を多くすると返って苦戦する可能性増えますから。」

 俺は思ったことを言ってみた。


「俺様のコピーを簡単に作れるものなのか?」

 パワーが聞いてくる。


「昔の大魔術師の迷宮ってなんでもありだからな。俺は前世でそういう戦闘してきたぞ。」

 ゲームの中でな。


「確かにそのパターンなら戦力を無意味に増やしても失敗の可能性が上がるだけだな。

 その前提でメンバー選出してみてはどうか。

 そのパターンではなかったとしてもバランスのいいメンバーになりそうな気がするが。」

 ★5ナイトメアのアウルスさんが俺の思いつきを方針として薦めてくれた。


「では、一度その方向で考えましょうか。

 ケルティクは一度偵察してますし、私も信頼している実力がありますのでメンバーに入れたいと思います。

 私は足手まといでしょうね。」

 オーウェルさんが言う。


「オーウェルさんは領内の指揮をしないとだめでしょ。

 オーウェルさんが殺されたら負けなんだから、特別な事情がない限り前線に出ないでください。

 メンバーについては、俺は当事者だから行かざる得ないし、パワーも格上モンスター相手に戦闘もしてきたから大丈夫だと思う。」

 オーウェルさんに自重するよう少し言ってみた。


「我々は下手にいると敵の技が増えるだけかもしれん。」

 スレイルさんが言う。

 確かに、兄弟全員の技を覚えているからなあ。


「それじゃあ、俺、パワー、ケルティクの3匹でどう?

 問題があれば理由分かった時点で変更すればいいし。」


「領内の守りのことも考えると、3人で行ってもらえると助かります。

 問題は挑戦者のコピーではなく普通に強敵が敵として出てきた場合ですが。」


「その場合は、途中で戻って作戦を考え直しましょう。

 どれだけ時間がかかるか分かりませんが、多くの戦力を長期間迷宮に割くのは避けた方がいいと思いますので。」


「そうですね。

 では、レオニエル殿・スレイル殿・アウルス殿・ローラン殿には私の本拠地のエルモンドで今後の対応の具体的相談をさせていただきたいと思います。」


 とりあえず、魔王の力は切り札として取っておくことと、迷宮に挑むメンバーは決まった。

 町の方は★5が3匹いれば、かなりの戦力だよな。

 俺達はなるべく早く、ガイアを手に入れるか。

 こうして、方針の相談が終わる。



 もうすぐ夕方だな。

 船の中の食事はどうするんだろ?

 そう言えば、俺は昨日の夜から何も食べてないや。

 色々考える事があって後回しになったがお腹がすいた。

 アランさんに聞くと、調理人が調理した料理を部屋に運んでくれるらしい。

 会議の最中に作ってくれていたみたいで、部屋に戻るとすぐに料理が運ばれてきた。


 海で取れた魚をメインにした料理だ。

 食べやすいように骨が抜いて身だけになっているから、何の魚か分からなくなっている。

 でも、いい匂いがして美味しそうだ。

 俺もパワーもお腹がすいてたので、あっという間に平らげてしまった。


 俺は、アランさんにお代わりをお願いしつつ、魔王たちの食事について聞いてみた。

馬は草食だから魚は食べないと思ったが、魔王たちは野菜メインの料理らしい。ちゃんと作り分けてるんだ。すごい。なんというか、至れり尽くせりの待遇だな。


 お代わりももらって満腹したし、日が暮れてきたので、今日は寝るか。

 向こうに着くまで日にちもあるし、明日からは技の練習をしよう。


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