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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
モンスター使い
42/122

42帰還

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★3シルバーウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    レンディールの仲間モンスター。(★2イーグル)

ガルガン   レンディールの仲間モンスター。(★2サーベルタイガー)

パワー    ウルの仲間モンスター。(★3ポールベア)


 翌日、俺達は攫われたモンスター達やグレイファスさんを連れて南町に帰ることにした。

 途中で俺達が呼んだ討伐隊にうまく話を付けなければならない。日数的に言って、最速で出発しているなら今日の夕方頃には会うことになるはずだ。


 リーザやフレア(アレフさんのヤングレッドドラゴン)に空から確認してもらうと、討伐隊の方からも偵察を出していたようで、お互いを発見することができた。

 向こうも大丈夫そうだと判断できたらしく、討伐隊のジェラールさんがヒポグリフォに乗ってやってくる。

 ハンニバルさんを隊長とした討伐隊が来ているそうだ。シーザーさんはまだ到着していないので、ほぼ前回の討伐隊メンバーらしい。

 こちらからも、グレイファスさんや攫われたモンスターを救出した旨伝えて、お互い地上を進んで夕方に落ち合う事になった。


 夕方頃、討伐隊の野営の陣が見えてきた。

 いきなり攫われたモンスターを元マスターに会わせると混乱しかねないので、ご主人様とミランドさんだけが先に事情を話しに行く。

 俺達は攫われたモンスター達の番をしながら待つ。

 帰れることになったのに、モンスター達は不安そうだ。そりゃそうだろう。

 俺はできる限りマスターに話すからと言って、なんとかなだめた。


 ご主人様とミランドさんが、ハンニバルさんとサイアスさんを連れてきた。

 サイアスさんの攫われたモンスターは★3フルファクシだったな。


 サイアスさんが

「ブレッド、俺だよ。」

 と呼ぶが、フルファクシはグレイファスさんの後ろに隠れてしまう。


「まだ、操られているのですか?」

 サイアスさんが聞く。


「いいえ、あなたとの契約が解除されているだけよ。」

 ご主人様が言う。


「サイアスさん、無事だったのですね。よかった。」

 依頼者の姿を見て、フルファクシの前にいるグレイファスさんが言う。


「グレイファスさん、生きてたのですね。てっきり殺されたものだと。」


「向こうに殺すつもりはなかったみたいですので。

 だけど、向こうは、今のマスターから逃げたいと言っていたモンスターしか攫っていないと言っていましたよ。

 サイアスさんは、モンスターを仲間として大事にしてきたのですか?」

 依頼人とは言え見捨てて逃げてきたグレイファスさんに言われると、サイアスさんにはきつそうだ。

 それに、下手な嘘をついて反論しても、目の前のブレッド本人に聞かれたら今までやってきたことが全部暴露されるだろうな。

 それが分かっているのか、サイアスさんは黙り込んでしまった。


「今までやってきたことを、ブレッドにちゃんと謝って、これからは大事にすると誓えばブレッドもきっと戻ってきてくれますよ。」

 グレイファスさんは、優しく言う。言っている内容は厳しいけど。

 サイアスさんは、無茶もさせたが基本モンスターを使い潰すつもりがあったわけでもなかったようで、ブレッドに戻ってもらうことができたようだ。


 討伐隊には他にも、マリーさんとステッドさんがモンスターを攫われていたので、同じような展開を繰り返し行った。

 残りのモンスターは元の持ち主に同じことを繰り返して行うことをハンニバルさんに伝える。


 それが終わると、ハンニバルさんと魔王の話になる。

 ハンニバルさんは、魔王との話が信じられないようだった。

 まあ、俺も魔王がこんなに話が分かる人物だとは思わなかったけどな。

 ハンニバルさんも、このまま魔王討伐に向かっても負けることは分かっているので、センターに戻って報告するという。

 問題はその後の対応だよな。ハンニバルさんの話では、各町のセンターの責任者を集めた評議会と呼ばれる会議が開かれることになるらしい。そこで五島諸島のセンターとしての最終的な対応が決まるようだ。

 俺の知ってる中では虎島港のアーカイクさんや馬島西町のルイさんがメンバーの1人として参加するらしい。どうなるかはハンニバルさんにも予想は付かないみたいだ。


 その日の夜、俺はグレイファスさんに聞きたいことがあったので、話をしに行った。


「ウルさんじゃないですか。どうしたのですか?」


(実は、魔王に会う前の日に俺達のところに来たのは、俺を魔王のところに連れていくことが目的だったのですよね?)

 俺は、グレイファスさんに聞く。


「そうですけど。」


(なぜ、最初は黙っていたんですか?)


「ウルさんに警戒されて逃げられるわけにはいきませんでしたので。

 特に、魔王が既に復活していることがバレたら、間違いなく全員撤退していたでしょう?」


(それはそうだが。

 俺のことを直接聞かず、ご主人様の仲間モンスターの種族の確認をして、探りを入れたみたいですけどカモフラージュでしたか?)


「いや、目的のシルバーウルフはマスターがレンディールさんで、仲間にポールベア・イーグル・サーベルタイガーがいるという話でしたので、それを確認しただけです。」


 よし、収穫があった。

 魔王に俺を紹介した奴は、俺達の仲間全員と種族まで把握してたってことか。魔王も最初に俺の名前を呼ばなかった。ご主人様の名前と俺の種族だけを知っていたわけだ。

 俺を転生させた奴なら、ずっと監視でもしていない限り、俺がシルバーウルフに進化したことは知らないはずだ。と言うことは、俺が進化してから会った奴と言うことになる。

 マイケルさんやアーカイクさんは一応対象人物だが、ないよな。あとは、ハルメルンさんか。今エルシアの港に着いたばかりだろ。魔王にどうやって会うんだ。ないな。

 まあいい。これで、ある程度考える対象は絞れた。


(魔王の息子達以外で誰か魔王に会っている人物を知りませんか?)


「ウルさんを迎えに行く前の日に、魔王が見たことのない人間と会っているのは見ましたが。

 それが何か?」


(その人の顔の特徴とかは分かりませんか?)


「いや、遠くから見ただけですから。

 大きなドラゴンを連れていましたよ。★5ティアマットです。

 その後、ティアマットがその人間と他の仲間モンスターを乗せて飛んでいきました。」


 俺は★5ティアマットを連れている人間になんて会ったことがないぞ。

 でも、相手を探す上でこれは重要な情報かもしれない。

 その人間は俺の事を知っている人物である可能性が高いからだ。

 俺はグレイファスさんにお礼を言って戻った。


 戻って俺はご主人様に聞く。

(ご主人様、★5ティアマットを従えている人間を知りませんか?)


「知らないわね。

 こないだの大会ではティアマットはいなかったみたいだし。

 ドラゴンなら、竜島に多いから、竜島に行けば何か分かるかもしれないけど。

 例のウルの事を知ってる人物と関係があるの?」


(グレイファスさんに聞いたら、ティアマットを従えている人間と魔王が会っていたって。ひょっとして俺の事を知っている人間かもしれないと思っただけです。)


「魔王も紹介してくれるって言ってたし、そんなに剥きにならなくてもいいんじゃない?」


(そのせいで、俺が人間だったことが色々なところにばれてしまって、気になって仕方ないです。)


「それなら魔王に、正体を知られたくないって最初に言っておくべきだったわね。今更だけど。」


(まあ、そうですね。

 しかも、魔王の話では俺が1回は会ってるという話ですし、対象はそんなに多くないと思うのです。)


「そんなに気になるなら、戻って魔王にどうしても教えてくれって言った方が早くない?」


(まあ、そうなんですけど。なんとなく癪で。)


「今度魔王に会うことがあったら、私から聞いてあげるわ。

 どの道ち答えは出ないでしょうから、今これ以上考えても無駄よ。」

 俺はご主人様にそう言われて一旦詮索をやめることにした。


 俺達は2日かけて南町に戻る。

 そこで討伐隊は一旦解散となった。

 あとは、評議会でどのような結論が出るかだな。


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