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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
モンスター使い
40/122

40魔王レオニエル

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★3シルバーウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    レンディールの仲間モンスター。(★2イーグル)

ガルガン   レンディールの仲間モンスター。(★2サーベルタイガー)

パワー    ウルの仲間モンスター。(★3ポールベア)


「守護者の一族はどうしたのですか?」

 ミランドさんが魔王に聞く。


「皆、私の封印を解くのに協力してくれたよ。

 おかげでこうして私は封印から解放された。」

 魔王が答える。


「守護者の代表のテリオンさんはどこへ?」


「最近亡くなってな。後ろにいる彼の甥たちが代わりに守護者の代表となった。」


「テリオンさんを殺したんですね?」


「それは否定しないが。奴も兄殺しをして代表になっている。当然の報いだ。」

 魔王は守護者一家の揉め事にやけに詳しいな。

 キリン達3匹は、父の敵である叔父を討って守護者達の代表になったという事か。


「なぜ、魔王の封印を解いたのです?」


「それを話す前に、魔王と勇者の成り立ちについて知っておいてもらう必要がある。」

 キリン達じゃなくて魔王が話し出す。


「歴史を見てみると、世の中に魔王が現れると、多くの場合それに対抗するように勇者が生まれてくる。 

 君達は、魔王と勇者がどうやって生まれてくるのか知っているかね?」

 魔王が聞いてくる。



 誰も答えられない。


 魔王は話を続ける。


「この世界に生きる多くの生物は、何かを望み、何かを願って生きている。

 例えば欲望。世界中の生物が望んだ欲望と言うエネルギーが集まっていき、集まった欲望はそれを実現しようとする力に育っていく。それが具現したのが魔王だ。

 この世界の歴史で概ね数十年に1回の頻度で魔王が現れるのは、それだけの期間で、欲望のエネルギーが力を持つまでに集まるからなのだ。


 そして、勇者。歴史的に勇者はほぼ魔王が現れない限りは出現していない。欲望の力を具現した魔王の力によって世界に危機が訪れた時、この世界の多くの生物は救いを願う。そして、魔王を本気で倒そうとする生物の所に、その願いの力が集まり、その生物は魔王に匹敵する力を得て、勇者となる。基本的に、世界が乱れない限り勇者は現れることはないのだ。


 そして、生物の欲望或いは願いをエネルギーにすると言う点で、ある意味、魔王と勇者は同一の存在とも言える。」


 何か、この世界の成り立ちの根幹の部分の話だな。



「しかし、例外も全くないわけではない。

 今から30年ほど前、人間がモンスターを使い捨ての道具のように使う国があった。モンスターにも人間と同様感情はあるのだ。非道な扱いから救ってほしいと多くのモンスターが願った。


 そして、旅の途中でそれを知り何とかしようとしていた私にそのエネルギーが集まった。魔王が存在しないにもかかわらず勇者が生まれたのだ。

 私はその国で非道な行いに加担する多くの人間を殺した。その結果、世界は私を魔王と呼ぶようになった。


 そして、魔王とされた私は最終的にその国を追われ、故郷の五島諸島へ戻ってきたが、そこで信じていた弟に捕らえられ封印されることになった。」


 だから、この魔王は馬の姿をしているのか。


「それじゃあ、あなた達は父親の敵を取り、父親を復活させるために封印を解いたの?」

 ご主人様がキリン達に聞く。


「ああ、そうだ。」

 キリンが答える。


「西町や南町でモンスター攫いの騒ぎを起こしたのは。」


「お前達人間が、モンスターを道具として使っているという事実を分かって欲しかった。攫ったモンスターは俺達が操っていたわけじゃない。彼らがお前達に敵対したのは、人間からの支配から解放された彼らの正直な気持ちなんだ。」

 ペガサスが答える。


「逆に言うと、人間の支配に不満を持っているモンスターしか攫っていない。」

 ネイトメアが言う。


 こいつらは、支配されているモンスターの救世主のつもりなんだろうな。

 確かに一理はある。

 しかし、彼らの話が本当だとして、人間の立場から見れば自分のモンスターを盗んだ盗賊でしかない。

 このまま人間と敵対したら30年前の二の舞じゃないのか。



 一方で、魔王達は、モンスターを支配してきた人間の行為自体に疑問を投げかけている。

 人間はある意味正論を言っている魔王を力で潰そうとするのだろうか?

 30年前と同じように。


 俺は、元人間だけど、モンスターとしても生きてきた。

 だから、ある程度は両方の気持ちが分かるつもりだ。


 俺は運よく優しいご主人様に拾われたから、この世界の人間を好意的に見てきた。

 しかし、もし俺を使い潰すつもりの人間に拾われたとしたらどうだろうか?

 恐らく、最終的にキリン達と同じ行動をしていたような気がする。


「さてと、そこのシルバーウルフよ。

 君は、人間とモンスターの両方の立場で考えることができるはずだ。

 だからこそ、君とはとことん話してみたい。

 そのために、君をグレイファスに連れてきてもらったのだ。」

 魔王が言う。

 魔王が連れてきたがっていた例の人物って俺のことだったんだ。

 魔王は、俺を元人間だと知っている。復活したばかりの魔王がなぜ?


「俺のことをなぜ知っている?」

 俺は魔王に聞いた。


「人間とモンスターの両方の立場で考えられる人物を探してもらったら、君のことを紹介されたのだよ。」

 紹介されてと言う事か。俺を知っている人物から聞いたという事なら、復活したばかりの魔王が俺の事を知っているというのも分からなくはない。

 とは言え、魔王にそう聞かれて俺の名前をすぐ出せる奴って一体何者だよ?

 ★4テンマのコーチか?

 俺の知恵や精神力を人間並みだと評価していた。だけど、俺が人間だと確信までは持ててないはずだ。それに、コーチが魔王に協力するとはとても思えない。

 それともセンターの誰か。虎島の人達は俺を限界突破種だとは思っていても元人間とまでは知らないだろう。ブランカとマスターなら感づいているかもしれないが、魔王の復活について知っていたようにはみえない。

 ひょっとして、俺を転生させた張本人がいるとか。ずっと監視されていたとしたら嫌だな。そんな気配はなかったはずだが。


「俺を紹介したって誰だ?そいつは?」

 俺は魔王に聞く。


「私は彼の要望を1つ聞く約束をしている故、いずれ君とも会うことになるだろう。その時にでも紹介しよう。

 君も一度は会っているはずだが。」

 彼と呼んでいる時点でブランカとマスターはないか。

 一度会っていると言う時点で、転生させた張本人と言う線もないよな。もしそうなら、何食わぬ顔で1回だけ俺に会いに来たとしたらいつよ?

 気になるが、魔王は教えてくれないらしい。


「グレイファスさんを支配しているのはあんたなのか?」

 仕方ないので、俺は別のことを聞く。


「そうだ。」


「なぜ?」


「モンスターに逆に支配されるということが、どういうものなのか分かってもらいたいからだな。」

 そうか、これは人間がモンスターを支配してきたことに対するあてつけなんだ。


「グレイファスさんをずっと支配し続けるつもりなのか?」


「いや、近いうちに開放するよ。最後に君と話す時に立ち会ってもらうつもりだが。

 君との話が終わった後、一緒に連れて帰ってもらって構わない。」

 本当に返してくれるなら、一緒に連れて帰った方がいいだろうな。


「それじゃあ、攫ったモンスターをどうするつもりだ?」


「そのモンスターを支配してきた人間が、支配の力を使わない状態でそのモンスターに帰りたいと言わせることが出来たら返すつもりだ。」


「攫った各々のモンスターの幸せのためと言う事か?」


「そういう事だ。」


 魔王は、人間が契約でモンスターを無理やり支配することに嫌悪感を持っているようだ。

 モンスターが自分の意志で帰る分には反対しないという事か。

 だけど、ナイトメアの話では攫われて良かったと思っているモンスターばかりなんだよな。

 しかも、取り返したいのはモンスターを大事に扱ってこなかったマスターばかり。

 難航するだろうな。

 だけど、俺は魔王のこの案には賛成だ。

 正直、モンスターを大事に扱ってこなかったマスターには、ここで苦労して今までの自分の行いを大いに反省してもらいたい。


「俺としては、その方法に賛成だな。人間の立場だと違ってくるだろうが。」


「君はモンスターの立場についてしっかり理解してくれるようで嬉しいよ。

 益々、君と話をするのが楽しみになった。」

 魔王が言う。

 これだけで俺のことを判断するのは早計だと思うが。

 30年前は今の主張すら通らなかったのだろうか。

 まあ、完全に敵対して話す余地などなかったのだろうな。


「それで、俺と何を話すんだ?」


「私の進むべき理想の着地点だな。」


「それを俺との話だけで決めるのか?」


「できればもっと多くの視点から検証をしたいが、まずは両者の立場で考えられる人物と話をしたかった。」

 この魔王はかなり慎重に今後の進め方を考えている。

 一度、多数の人間を敵に回して失敗しているんだ。

 同じ轍を踏まないように慎重になるのは当然か。

 この慎重さは、魔王としての力以上に、敵に回すと手強い。

 だけど、親身になって話せば、分かり合える可能性があるのではないか。

 本人曰く生まれが勇者と言うこともあるだろうが、少なくとも、この魔王は私利私欲で動いているようには見えない。

 理想だけど、人間もモンスターも幸せになれる未来に近づけるなら、できる限り話し合いに付き合いたい。

 この前政治の世界の闇を見てしまったことにより、俺は理想の世界なんかないと諦めてしまっていた。だけど、魔王と話をすることで、一度は諦めてしまった理想の世界への道が開けるかもしれないと思ったのだ。俺はその夢を見たくなったのかもしれない。


「ご主人様や他の仲間をどうするつもりだ。」

 ただ、魔王が本気だとしても、他の心配事は潰しておきたい。


「一緒に話を聞いてもらって構わんよ。

 その方が何かいい考えが出てくるかもしれないからな。」


 とりあえず、俺達は全員無事でいられることが分かって安心した。


「分かった。

 俺もあんたともっと話してみたくなった。」

 俺は魔王に答える。


 正直、最初は魔王と聞いて身構えたが、話を聞いてみると理想に向かって試行錯誤している桁違いの力を持ってしまっただけの1匹のモンスターだ。

 俺もできる限りの意見をぶつけよう。

 この魔王には、俺にそう思わせるだけの魅力があった。


「長旅で疲れているだろう。

 大したもてなしはできないが、ゆっくり休むといい。

 話は明日の朝からすることにしよう。」


 そして、俺達は、封印のあった洞窟に案内される。



「では、何か獲物を取ってくるから洞窟の中で休んでいてくれ。

 調理とかはできないから、自分達でしてもらわないといけないが。」

 キリンが言う。

 俺達は、完全に客人扱いだな。


「普段は何を食べてるんだ?」

 俺はキリンに聞く。


「我々は草食だからな。育てている作物を食べている。

 だが、お前たちは肉食モンスターばかりだからそうはいかないだろう。

 肉が食べられる動物を取ってくるつもりだ。」


 キリン達は野菜か何かを育てているのか。

 俺達のために慣れない狩りまでしてくれるらしい。

 それだけ、俺達のことを評価してくれているという事だろうか。


 キリン達が行ったので、ある意味洞窟の中に閉じ込められた状態だが、一応仲間だけで話せる状態にはなった。


「救援が到着するには3日はかかりますね。」

 ミランドさんが言う。


「救援が到着したとしても、魔王が復活していては返り討ちになるだけでは?」

 ご主人様が言う。


「こんなことになるとは思っていなかったので救援を呼ぶことにしましたけど、あまり戦闘になってほしくないですね。

 できれば到着する前に話をしっかり終えて、救援部隊も連れて帰りたいです。」

 俺は言う。


「ウルさんは、魔王のことを高く評価してますね。」

 ミランドさんが言う。


「断定は危険ですが、今のところ魔王は本気でこの世界のモンスターの幸せを考えていると思っています。」


「人間の立場的には微妙だけど、モンスター側の立場を考えれば、魔王の言っていることは確かに正論だったわね。」

 ご主人様も俺に一定の理解を示してくれた。


「魔王との話し合いでは人間の立場とモンスターの立場が相当対立するだろうと思ってます。」


「ウルさんが、魔王側についてしまいそうで怖いですけど。」

 ミランドさんが言うが、


「俺は自分の正しいと思うことを言うつもりです。

 魔王の言う事でもそれが正しいと思えば賛成しますよ。」

 俺は答える。


「それがいいわね。その方がちゃんとした議論になると思うわ。」

 ご主人様がここでも理解を示してくれた。


 そう言えばアレフさんはどうしてるんだろう?

 俺は部屋を見回すと、


「ねえ、ガイル、フレア。

 僕と一緒に冒険していて幸せかい?」

 アレフさんは、自分の仲間のモンスターと話している。

 魔王の話を聞いて、自分を見直そうとしているみたいだ。

 2匹ともアレフさんに好意的な返事をしているので、ここは本人達に任せるのがいいだろう。


 そう言えば、気になることがあったんだ。

「ご主人様。俺の事を知っていて、俺が一度は会っている人物に心当たりがありますか?」


「それね。残念ながら、私には見当もつかないわ。」


「やっぱりそうですよね。俺もさっぱりです。

 魔王の思わせぶりな言い方が気になって仕方ないです。」

 やはり、魔王が紹介してくれるのを待つしかないらしい。


「ウル様って、人間だったのか?」

 パワーが聞いてきた。


「俺は前に人間として死んで狼に生まれ変わった。そして、俺には人間だった時の記憶が残っている。」


「それで、人間のように考えられるわけか。」


「驚いたか?

 そう言うパワーだって、人間じゃなくても人間のように考えているじゃないか。」


「ブランカが言っていたんだ。

 考える努力を続けたら、進化の度に賢くなって、★6まで進化した時人間並みに考えることができるようになるんだって。

 俺様はそれを目指してるんだ。」


「なるほど、それで限界突破種は★6になるとモンスターと契約できるようになるわけね。」

 ご主人様が言う。

 確かにこれで、今まで聞いてきた話の裏付けが1つ取れた。



 そんなことをしていると、キリン達が戻ってくる。

 イノシシを狩ってきてくれたようだ。


「調理等は自分達でやってほしい。

 我々は自分が食べない生き物を無意味に殺さない主義だから、しっかり食べてほしい。」

 キリン達は、食べもしない生物を殺すことに罪悪感を持っているのだな。

 イノシシは俺達が責任をもって食べないといけないな。


 調理はご主人様とアレフさんに任せて俺達はイノシシ鍋を食べて眠りについた。

 明日は魔王ととことん話し合おう。

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