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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
モンスター使い
22/122

22魔王ベリエル

登場人物

ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★2ウルフ)

レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。

リーザ    レンディールの仲間モンスター。(★2イーグル)

ガルガン   レンディールの仲間モンスター。(★2サーベルタイガー)

パワー    ウルの仲間モンスター。(★2ブラックベア)


 俺達は、再度寝る前に明日の対応について相談する。


「ビャッコ達の中にこの虫に操られている者がいるという可能性は想定しておいた方がよさそうですね。」

 マイケルさんも当然俺と同じ想定をしているみたいだ。


(ところで、封印ってのは簡単に解けるものなのか?)

 俺は最悪を想定するためにマイケルさんに聞いてみる。


「簡単に解けたら、封印の意味がありませんよ。

 封印を解くためには、邪魔が入らない状態で長時間の継続した封印を解こうとする魔力の注入が必要です。

 必要な時間は、封印にかけた人数と時間、封印をした人と解こうとする人の魔力差により変わりますが、普通封印する側は簡単に解かれないよう封印に時間をかけますからね。」


(と言うことは、封印を守るビャッコ達が残っている限り、封印を解くのは難しいんだよな?)


「そういう事です。」


(仮に、封印を解こうとしている奴が、正面から自分の力だけで封印を守っているビャッコ全員を倒すだけの戦力がないと仮定する。

 そのため、この虫を使って邪魔なビャッコを始末するつもりだと仮定する。

 だとすると、一時的に封印を離れたビャッコを捕まえて虫を入れるとかして操って、同士討ちで数を減らそうとしているとかなら、ある程度時間はかかるよな。だが、それでも俺達が着くときには危険信号から3日経っている以上、時間的には予断を許さないはず。

 その場合、マイケルさんは、大会を中止して応援要請するのか?

 俺の中で、今一番可能性が高い想定なんだが。)


「ビャッコ達が苦戦している状況であれば、センターに緊急支援を要請します。

 ビャッコ達が撃退してくれているならしませんが。」

 マイケルさんとしては、救援の必要性を判断してという事か。

 まあ、妥当なところか。救援要請の出し渋りだけはされないよう注意しておこう。


(とりあえず、最悪の事態も想定しておいた方がいいな。

 封印されている魔王ってどれくらいの力を持っていたんだ?)

 俺はマイケルさんに魔王についての情報を聞く。


「封印されているのは魔王ベリエル。

 歴代魔王の中では下位のランクになります。

 それでも、魔王1人で数千人の部隊と五分以上に戦ったと記録されています。」


 数千人か。勇者とか英雄とかでもなく、一般兵もいる普通の軍隊だよな。

 ご主人様の登録番号からして、大会に出ているモンスター使いを全員集めればこの島だけでも少なくとも百人はいるだろ。

 魔王が復活したという話なら島の外からも応援が来るだろうから、簡単に同人数の熟練したモンスター使いが集まる気がする。

 不謹慎だが、正面から戦うような奴ならセンターが本気を出せば対応できそうなレベルに見えてきた。

 と言うか、封印を解こうとしている奴も、何故もっとランクの高い魔王の封印にしなかったのだろうか?


(何か怖い特殊能力を持ってるのか?)


「支配の能力を持っていたようです。人間の心を操って、小さな都市を支配したようですね。

 ただ、精神力の強い人間は操れなかったようですが。」


 厄介な能力だが、能力がバレている時点で対策のしようはある。

 最悪魔王が復活しても、何とかなりそうな気がした時点で俺はちょっと気が楽になった。

 だからと言って、復活させていいわけではないが。


(伝説の勇者は、魔王を滅ぼすことはできなかったの?)

 不死とかそういう能力がある場合に一番厄介な気がするんだが。


「多分出来たのでしょう。

 実際このクラスの魔王は、勇者などいなくとも、当時の王国や最近ではセンターの総力により滅ぼされており、封印される例は少ないのです。

 勇者ハルカタは、ビャッコ達の力を借りて魔王ベリエルを倒した後、桁違いの支配力で魔王を支配したようです。

 そして、魔王の力を被害の復興や荒野の開拓のために使ったそうです。

 当時はほぼ無人だったこの五島諸島に人間が住めるようになったのも、勇者ハルカタの功績なのですよ。

 恐らくですが、勇者ハルカタは、支配して以降常に自分に協力してきた魔王を滅ぼすのは気が引けたのでしょう。

 ただ、野放しにもできないので、老いて自分の力が衰える前に魔王を封印したようです。」


 勇者が日本人っぽい名前のようだが、俺と同じ転生者だろうか?

 五島諸島とか思いっきり日本語的な名前だし。

 この島も虎島というなぜか日本語的な名前が付いてたし。勇者ハルカタが命名したんだろうな。


 それにしても、魔王を支配したってのが凄いよな。魔王のコストってどれくらいだろ。俺ですら150あるんだから4桁とかだろうか。知らないけど。

 それより、いかに倒したとはいえ、魔王本人の同意がなければ契約できないし、支配もできないはず。

 勇者ハルカタのやってきたことを鑑みると、命を助ける代わりに契約しろと魔王を脅したようにも思えないし、もしそうだとしても魔王がそこまで協力的になるだろうか?

 恐らくだが、魔王ベリエルは全て了解した上で勇者ハルカタと契約したはずだ。

 そう考えると、魔王ベリエルはそこまで危ない奴なのだろうか?とも思える。

 俺的には、虫を使って悪事をしようとしている奴の方が余程危険に思えるのだが。


(何と言うか、魔王の印象が180度変わったのだけど。)

 ご主人様は知っていた話だろうけど、俺的にはマイケルさんの話だけで魔王に対する印象が変わってしまった。


「ウル、印象や希望的観測で判断するのは良くないわ。」

 確かにご主人様の言う通りだよな。

 勇者に倒される前には、かなりの被害も出たのだろうし。


(いずれにしても、明日現地の状況を確認し、事態が深刻化しないよう、必要があれば応援要請するかどうか判断するしかないということですね。

 俺としては、最悪想定で魔王が復活したとしても、センターが総力を挙げれば何とかなりそうだと分かっただけでもよかったです。)

 今あれこれ考えても、可能性の話だけで結論は出ない。

 明日現地を確認すれば、もっと詳しい状況も分かるはずだ。



 一通り話が終わって、そろそろ寝ようかと思った時、俺達はパワーがいないことに気づく。


「リーザ、ガルガン、パワーがどこ行ったか知らない?」

 ご主人様が、2匹にパワーについて聞く。


(パワーなら、近くに敵がいないか見回ってくるって。)

 そうか。俺達が魔王とか明日の話に夢中になってたから、2匹に話してから行ったのか。

 パワーに何かあったのかと焦った。


 耳を澄ますと、少し遠くでパワーが歩いている音がする。

 大丈夫そうだ。ならしばらく待つか。

 俺は、ご主人様にパワーが無事であることを報告すると、パワーの足音に注意しながら、パワーが戻ってくるのを待つことにした。

 しばらくして、パワーが戻ってきた。


(パワー、何かあったのか?)

 俺は、パワーに聞く。


(何もいなかった。

 さっきの虫付きの大熊、誰かがけしかけてきたなら、けしかけたやつが近くで見ていただろと思ったけど、誰もいなかったし、匂いも残っていなかったぜ。)


 そうか。

 パワーは、さっきのオニクビを誰かがけしかけてきた可能性を考えてたんだ。

 確かに、その可能性は十分ありえる。

 もし、そうなら俺達の状況をどこからか見ていたはずだと。


(パワー、すごいぞ。俺は完全に頭から抜けていた。助かったぞ。ありがとうな。)

 パワーは、敵ならどうするだろうかという考えを読んで先回りするのが上手い。

 そして、俺もご主人様も気づいてないところをしっかり気にしてフォローしてくれた。

 敵だった時は手強かったが、味方になると心強いな。


 いなかったということは、さっきのオニクビは、範囲外に出たか何かで、敵のコントロールから外れた奴だろうか。

 だとすると封印の近くには結構な数の敵がいるのかもしれない。

 明日は慎重に進まないといけないな。



 話が落ち着いたところで、俺達は警戒しながら寝ることにした。

 幸い朝まで何も起こらなかったので、俺達は封印に向けて出発することになった。


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