2初めての狩り
登場人物
ウル 主人公 狼に転生し、レンディールの僕となる。
レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。
リーザ イーグル。モンスター仲間。
ガルガン ヤングタイガー。モンスター仲間。
ご主人様は、仲間のモンスターと一緒に冒険の旅を続けている。
町に泊まるときはいいが、当然野宿になることも多い。
ご主人様が、俺を助けてくれたのは森の中。
食料はどうしているのだろう?
(ねえ、ご主人様。食べ物はどうしてるの?)
俺は、ご主人様に聞いてみた。
「そうねえ。食べられそうな草や木の実を取ることもあるけど、やはり何か獲物をしとめて食べることが多いわね。」
ご主人様は、このあたりはウサギとかの獲物が結構いるから、ウサギを仕留めて食料にしたいという。
(いつもはどうやって狩っているの?)
俺はご主人様に聞く。
「リーザもガルガンも狩りは得意だから大丈夫よ。」
そうご主人様は言うが、
このままじゃ、俺が役に立つところないじゃん。
(俺もウサギを捕まえてくる。)
俺はご主人様にそう言うと、獲物を探しに出かけた。
えっと、俺は狼だから匂いで獲物を追いかけるのが得意なはず。
俺にできるかな?
とりあえず、匂いで追跡ができるか試してみる。
地面の匂いを嗅いでみると、何かが通った後の匂いが俺にははっきりと分かる。
狼に転生して嗅覚が鋭くなったんだなあ。
とりあえず、小動物っぽい匂いを発見したので、そのまま追跡することにした。
しばらく追跡を続けると、ウサギが2匹いるのを見つけた。まだ、俺に気がついていないようだ。
俺は見つからないように近づくと、その内の1匹に飛びかかった。
しかし、ウサギは俺の攻撃をさっとかわすと2匹とも奥に逃げていった。
俺は慌てて追いかけたが、ウサギがいた近くの木に体をぶつけてしまった。
狩りって難しい。また、別の獲物を探そう。
そう思いながら逃げていくウサギを眺めていくと、横から声がする。
(ウィンドショット)
リーザの声だ。リーザの体から小さな鎌鼬が発生して俺が逃がしたウサギに命中させる。
リーザはウサギを1発で仕留めた。
(ファイアー)
ガルガンの声もする。ガルガンの口から小さな火の玉が出てもう1匹のウサギに命中させる。
ガルガンも俺が逃がしたウサギを1発で仕留めた。
なにそれ。
俺の立つ瀬がないじゃん。
それに魔法で狩りって卑怯じゃないの?
(ねえ、君達は魔法を使うの?)
俺は2匹に聞いてみた。
(魔法じゃなくて技だけど。遠くから狙った方が近づかなくていいから便利でしょ。)
リーザが技で狩りをするのは当たり前と言わんばかりに答える。
まあ、確かにそうだけど。
それよりも、君達なんでいいタイミングで出てきたの?
(ひょっとして俺の後をついて来てた?)
これも気になったので聞いてみた。
(だって、ご主人様がウルのことが心配だから様子を見ておきなさいって。
ついでだからウサギは逃がさずに狩ったけどね。)
がーん。俺いいところなしじゃん。ガルガンの答えに俺はショックを受けた。
とりあえずウサギを2匹仕留めれば、今晩のおかずは問題ないらしい。
俺は気持ち小さくなって、ご主人様のところに帰った。
「みんな、お帰りなさい。獲物もちゃんと狩れたのね。お疲れ様。」
ご主人様が俺達3匹を出迎えてくれた。
俺だけ何の役にも立ってないから肩身が狭い。俺は思わずうつ向いてしまった。
「ウル、匂いを追跡してウサギ見つけてくれたんでしょ。偉いわよ。」
ご主人様は俺の役に立ったところを見つけてちゃんと褒めてくれた。
なんか、嬉しくて涙が出てきた。いつかもっとご主人様の役に立てるようになるぞ。俺はそう思った。
「それじゃあ、御飯の準備をするから手伝ってね。」
ご主人様が一つづつ指示を出すので、俺達はその通りに動いた。
薪を積んで鍋の中に、汲んだ水とご主人様が捌いたウサギの肉を入れる。
最後にガルガンが薪に火をつける。あっという間にウサギ鍋の完成だ。
前の世界のようにはいかないけど、俺はこの世界で初めての食事を美味しく食べることができた。
後片付けをしてから、俺は疑問に思ったことをご主人様に聞いてみた。
(ねえ、モンスターってみんな技で獲物を狩るの?)
「そうねえ。あなたと同じウルフは野生でも殆どがサンダーの技を覚えていて、それで狩りをするわよ。」
ご主人様がそう答える。やはりそうか。俺もご主人様の役に立つためには、技を覚えないと。
となると、技をどうやって覚えるのかを知る必要がありそうだ。これもご主人様に聞く。
(技ってどうやって覚えるの?)
「野生のモンスターも必要に駆られて自分で覚えるんじゃないのかなあ。モンスター使いと契約したモンスターの場合は、モンスターセンターで訓練して覚えることが多いわね。」
とりあえず、ご主人様と契約している俺はモンスターセンターで訓練して技を覚えることができるらしい。
(俺も訓練して技を覚えたい。)
「ウル、なんかやる気ねえ。そうね。それじゃあ、次の町に着いたらモンスターセンターで技を覚えましょうね。」
ご主人様は優しくそう言うと俺の頭を撫でてくれた。よしっ、がんばって技を覚えるぞ。