15契約の確認
登場人物
ウル(主人公)狼に転生し、レンディールの僕となる。(★2ウルフ)
レンディール 人間のモンスター使い。俺のご主人様。
リーザ レンディールの仲間モンスター。(★2イーグル)
ガルガン レンディールの仲間モンスター。(★1ヤングタイガー)
パワー ウルの仲間モンスター。(★2ブラックベア)
フルゴ村での依頼が終わり、俺達は町に戻った。
俺とパワーの契約を確認するためだ。
帰りは都合よく護衛の依頼がないため稼ぐことはできないが、ご主人様の話しぶりでは、ダイクさんの依頼とパワーを倒して報酬をもらったので、今はそこそこ余裕があるらしい。
途中、パワーのために獲物で鍋をした。パワーは猫舌だったが鍋なら行けたようで、空腹もおさまって機嫌がいい。
俺達は町に帰ってくると、モンスターセンターに向かった。
「登録番号3928番のレンディールです。本日は、契約の確認とコスト測定の依頼に来ました。」
ご主人様が受付にそう言うと、俺達は奥に案内された。
最初に、俺とパワーの契約関係の確認を取った。
俺とパワーの契約は成立しているようだ。
センターの人は、モンスターと契約しているモンスターと言うのを初めて見るらしく、かなり興味深そうだった。
昔★6では存在したらしいが、★2では聞いたことがないらしい。
次にパワーのコストを計測する。
ご主人様の説明では、あくまで、パワーの能力を測定することによる測定値なので、実際とはある程度の誤差が出るものらしい。
パワーのコスト(測定値)は35と判定された。
パワーの35というコストは、★2としては異常値と呼ばれるほど高い値らしい。
モンスターのコストは、そのモンスターの能力に大きく依存するが、★1だと6~10、★2だと12~20の範囲に収まるという。
普通のブラックベアと比べてもでかいし、強いし、賢いし、そりゃコストも高くなるよねえ。俺はそう思った。
ご主人様は、次に俺のコストの測定を依頼した。パワーのコスト35くらいなら十分契約できる範囲内だからだという。
俺の方がもっと高い値が出ると予想していると測定担当者に話していた。
俺のコストの測定値は185だった。桁を間違えたかと思った。
★5でも96~160くらいに大体入るらしいから、俺のコストは★5以上ということになる。そう考えると俺のコストは無茶苦茶高いなあ。
俺のコストがご主人様の支配力を圧迫して、パワーを支配できなかったのね。
それだけ、人間の知恵と記憶を持っている効果というのは大きいという事なのだろう。戦闘では普通に★2程度しか役に立たないけど。
続いて、ご主人様は自分の支配力の測定も依頼した。測定値であるが、約200と判定される。
俺だけで185だからなあ。そりゃ、もう何も契約できないよ。
前回の測定でガルガンとリーザあわせて20くらいあったから、俺も契約もできてないはずではないかと、ご主人様は言う。
念のため、俺とご主人様の契約関係を確認すると。契約が成立していない。なぜ?
仮に、もともとご主人様と俺の契約が成立していなかったなら、パワーと契約するだけの支配力が残っていたはずだ。
調査の結果、俺がパワーと契約した時に、俺のコストがパワーの分だけ上がることにより、ご主人様の支配力を超過して、俺とご主人様の契約が切れたという結論に落ち着いた。つまり俺のコストは、本体150+パワー分35ということだ。そりゃ契約したモンスター分のコストが加算されないなら、ねずみ講みたいに無限に支配できるよなあ。
センターとしては、契約で支配されていない俺はいつ人間を襲うか分からないため、俺を預けてほしいと言ってきた。俺に支配されているパワーも一緒である。
ちょっと待てくれ、俺はご主人様を襲ったりしないってば。俺は、こないだのパワーの気持ちが凄く良く分かった。
「待ってください。この子と、しばらく2人きりで話をさせてください。」
ご主人様がそう言って、センターの人を説得してくれたので、俺の件は一旦保留となった。
俺は、ご主人様に連れられて、別室に入る。
「ねえ、ウル。答えたくないなら無理に答えてもらえなくてもいいのだけど、あなたはもしかして人間?」
ご主人様が、いきなり核心を付いてきた。
これは、俺の方も話さないといけないよな。いつかは話さなければならなかった事だし。
(信じてもらえないかもしれないですが、前世は人間でした。事故で死んだと思ったのですが、気づいたら狼になっていてご主人様に助けられました。)
俺は、正直に答える。
「やはりね。精神技をあっという間に習得したのも、考え方が妙に人間ぽかったのも、パワーを支配しようと思いついて実際に契約に成功したのも、これで全て納得できたわ。
ねえ、ウル。これからどうしたい?
ウルは今私と契約しているわけでもないし、自由に生きていくことができるのよ。」
ご主人様は俺の意向を最大限尊重するつもりのようだ。嬉しくて涙が出てくる。
(俺は、これからも今まで通りご主人様と一緒に冒険を続けたいです。センターに置いて行かれたくない。)
センターに置いて行かれたらもう自由に冒険することできないだろう。研究素材みたいにされたくない。
俺は、今まで通りご主人様とリーザやガルガン、そしてパワーと一緒に冒険したいと答えた。
「分かったわ。これからは、同じモンスター使いの仲間として一緒に冒険しましょう。センターにはそう言っておくわ。」
(ご主人様、ありがとうございます。)
「だけど、もう私はあなたのご主人様じゃないのよ。」
(面倒なので、今のままでいいです。会う人会う人に一々関係を説明するの面倒ですし、表面上は狼である俺のご主人様と言うことにしておいた方が何かと都合がいいですから。)
「まあ、ウルがそれでいいのなら、私は別に構わないけど。」
(それじゃあ、そういうことでお願いします。)
「分かったわ。センターには今後もウルと一緒に冒険すると言ってくるわ。ウル、これからもよろしくね。」
こうして、俺はご主人様と1人と1匹のモンスター使いとして冒険を続けることになった。
前世の安定した生活よりも、今世界での冒険者っぽい生き方をしていく方が、俺には合っているようだ。
俺はこの世界で、優しいご主人様に出会え、いい仲間にも恵まれた。
いつか、この世界の人間の言葉も覚えたいな。魔法も覚えてみたい。
こうして俺は、モンスター使いとして新たな冒険の一歩を踏み出した。




