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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
最後の戦い
118/122

118新たな概念

登場人物

ウル(主人公)元連合国アドバイザー(★5シリウス)

パワー  連合国モンスター部隊副大将(★5オニクビ)

ガイン  連合国モンスター部隊副大将(★6ポラリス)

ロウガ  対魔王最終兵器?(★4ガイア)

ケルティク 連合国諜報部隊副隊長(★5ケルベロス)

アンネコフ レオグラード内政官(人間)


 パワー達が、魔王になったであろうタンゴを探しに行っている間に、俺はジークと再度結界の準備を進める。

 いずれ、レオグラードにやってくるのは確実だろうし、次はもういないテセウスさんの力を頼ることはできないからだ。

 さらに言うと、タンゴは前の魔王のようにエネルギーの浪費などはしてくれないだろう。

 魔王レベルとしては同じだが、対処の難易度は格段に跳ね上がる。

 パワー達に少しでもタンゴの情報を入手してもらって、対策を立てないといけない。

 とは言え、何も情報がない現在できる事は、結界のエネルギーを貯める事だけだ。


 俺は、ケルティクを通じてパワー達と連絡を取るオーウェルさんの所で、毎晩話を聞く。


 2日目の夜に既に重要な情報が手に入った。

 パワーとガインが勇者の力を手に入れたらしいのだ。

 テセウスさんの話では、魔王を本気で倒そうとする者に勇者の力が集まると言う。

 確かにパワーとガインは、★5リバイアサンの魔王を殴り合いをしてまで倒した。

 魔王となったタンゴとも当然戦うつもりだろう。

 その覚悟を認められたという事なのだろう。


 3日の夜には、パワーとガインがバルキリージャベリンを習得したと聞かされる。

 やはり、勇者専用の技だったようだ。

 そして、帝都が廃墟になっていた事も改めて確認でき、魔王の犠牲者から多くの勇者のエネルギーを取り込む事ができたらしい。

 これは、タンゴと戦う上でかなり重要になりそうだ。


 4日目には、パヴェル公の本拠のバイカルも廃墟になっていたと分かる。

 そして、ここでも勇者のエネルギーを大量に取り込む事ができたらしい。

 とは言え、★5リバイアサンの魔王が帝都とバイカルの破壊に使ったエネルギーはそこまで多くはない筈。

 となると、パワーとガインも魔王化したタンゴと戦うにはまだまだ厳しいだろう。

 かと言って、エネルギーを取り込むために無駄に魔王の犠牲者を増やす訳にもいかないからな。


 そして、5日目に転機となる情報がもたらされる。

 1つ目に、魔王バエルの封印が解かれていた事。ガインが匂いで確認し封印を解いたのはタンゴだという事。

 2つ目は、フェニキア公国は無事である事。だが、タンゴと名乗る魔王に脅されて外部との接触を全て絶っている事。

 3つ目は、フェニキアの情報により、タンゴは西に向かって飛んで行ったという事。

 パワー達は、明日以降タンゴを追って西に向かうらしい。


「やはり、タンゴは残りのエネルギーを得て魔王になっていたようですね。」

 オーウェルさんが言う。

 それは予想できていた事だ。

 だが、今日の情報はどれも違和感がありすぎる。

 この中からタンゴとの戦いで有利になる材料を探さなければ。


(過去の事実では、近くの町を滅ぼすことも支配することもせずに通過した魔王はいませんよね?)

 俺は一つずつ確認する事にした。


「はい。

 支配の概念を持つ魔王は町を支配し、破壊の概念を持つ魔王は町を破壊しています。

 不滅の概念を持つ魔王も、町の中で激しい戦闘をしたと記録されているようですね。

 どの概念の魔王であっても、何もせずに町を通過した記録はありません。」

 一緒に話を聞いているピュートル公の側近であるアンネコフ内政官が答えてくれた。


(記録では、それ以外にも淘汰の概念を持った魔王がいたそうですね。)

 俺が聞くと、


「はい、当時の記録ではそのように予想されています。」

 アンネコフ内政官が答える。


(つまり、新しい概念の魔王が生まれても不思議はありませんね。)

 俺が言うと、


「確かにそうですね。

 当時の天災を淘汰の概念の魔王だと結論付けるまでにかなり時間がかかったようですが。」


(では、俺の仮説について意見を聞かせてください。

 魔王となったタンゴの概念は推定『理性』。

 能力は、他の概念の魔王と違って破壊の衝動を抑えて打算的に行動できる事です。)

 俺が言うと、オーウェルさんもアンネコフ内政官も首をかしげてしまう。

 そこまでぶっ飛んだ考えじゃないと思うのだが。


「では、そう仮定したとして、タンゴの行動について説明がつくでしょうか?」

 オーウェルさんが聞いてくる。


(まず、魔王バエルの封印を解いた件について。

 理性の概念を持つタンゴは、破壊・支配・不滅などの魔王の大きな力を持っていなかったのではないかと予想しています。

 魔王バエルの概念は不滅。

 タンゴは魔王バエルの封印を解いて吸収。バエルの持つ不滅の力を手に入れたのだと考えています。

 封印を解かれた魔王バエルの姿をまだ誰も見ていない事からも、可能性は高いと思います。)

 俺は説明を続ける。


「なるほど、確かにそうであればタンゴが西に向かった理由も説明がつきますな。

 魔王ダニエルを吸収して支配の力を手に入れようとしていると。」

 アンネコフ内政官が言う。


(そうです。

 タンゴは最初は力に劣った理性と言う概念しか持ちませんでしたが、破壊の衝動に支配されず打算的に行動する能力で、そのハンデを補ったのです。

 いや、不滅の概念を手に入れることによって、歴代魔王よりも既に強力な存在になっていると思います。)


「だとすると、タンゴが破壊・支配・不滅と言う魔王の強力な概念を全て手に入れると、手が付けられない史上最強の魔王になってしまいますね。」

 オーウェルさんが言う。


(その通りです。

 さらに言うと、配下の★5リバイアサンを魔王にした件について。

 タンゴが単独で魔王バエルの封印を解こうとすれば大騒動になり、自分の行動がハキルシア中にバレます。

 下手をすれば十分な力を得る前に討伐隊が編成されるでしょう。

 しかし、★5リバイアサンを魔王にして大破壊を行わせれば、魔王バエルの能力を吸収しようとする自分の行動のカモフラージュになります。

 また、我々が★5リバイアサンの魔王に対処せざるを得ないので、タンゴ自身は完全にノーマークで行動ができます。その間に自分は全ての概念の力を手に入れて最強の存在になる事ができるという訳です。

 破壊の概念の魔王を吸収するには五島諸島まで行く必要がありますが、タンゴとしては、状況によっては我々と戦って弱った破壊の概念を持つ★5リバイアサンの魔王を吸収する事も考えていたかも知れません。

 まあ、タンゴにとっては僅か2日で我々が★5リバイアサンの魔王を倒した事は想定外でしょうが。)


「なるほど。

 考えれば考えるほど、タンゴと言う者の行動は理にかなってる。

 破壊の衝動が抑えられない筈の魔王にあるまじき判断力の高さだ。」

 アンネコフ内政官が言う。


(この仮説をもとに、動きたいのですがいいですか?

 連合国とピュートル公の連名で五島諸島に協力要請をお願いしたいのです。)


「何をするつもりですか?」

 オーウェルさんが聞いてくる。


(五島諸島の協力を受けて、破壊の概念を持つ魔王の封印を解いて、タンゴがやってくる前に滅ぼします。)

 俺は答える。


「タンゴに破壊の概念の力を手に入れさせないためですか?」

 アンネコフ内政官が聞いてくる。


(そうです。

 破壊の概念を持つ上位の魔王は、エネルギー波を1回放つだけで町を1つ滅ぼします。

 破壊の概念は、犠牲者が増える危険な概念。

 それを、冷静に打算的に使われれば世界中の町が滅ぼされるかも知れません。

 だからこそ、タンゴに破壊の概念の力を渡す訳にはいかない。

 出来れば支配の力も渡したくないのですが、今からでは間に合わないでしょう。)


「しかし、どうやって封印を解いた魔王を倒すのですか?」

 オーウェルさんが聞いてくる。


(勇者の力を手に入れたパワーとガインにやってもらいます。

 魔王のエネルギー攻撃が効かないロウガにサポートしてもらえれば、封印されるくらいに弱体化した魔王なら倒せるのではないかと。)

 俺は答える。

 我ながら無茶苦茶な考えだと思う。

 しかし、今は魔王の襲撃が想定される非常時。

 これ位しないと、魔王に対抗できないと割り切った。


「とりあえず、パワー殿とガイン殿に確認しましょう。

 お二方がやってくれるという事でしたら、話を進める方向でいいですか?」

 オーウェルさんが言う。

 流石に、本人達の意向も無視して進める訳にはいかないので、ケルティクに再度パワー達に連絡を取って貰う事になった。


 結果、パワー達は魔王退治を受けてくれたようだ。

 パワー達には危険な任務を任せる事になって悪いが、タンゴの犠牲者を減らすためにもどうしてもやっておきたい。


 その日の内に、ピュートル公と相談し、方針について了承を得る。

 そして、明日、五島諸島宛の書状の準備ができたら、俺は五島諸島に説明に行く事になった。

20230614 話番号修正・誤字等修正

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