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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
最後の戦い
117/122

117魔王襲来

登場人物

ウル(主人公)元連合国アドバイザー(★5シリウス)

パワー  連合国モンスター部隊副大将(★5オニクビ)

ガイン  連合国モンスター部隊副大将(★6ポラリス)

ロウガ  対魔王最終兵器?(★3ガイア)

ジーク  南部貴族連合ライン側近(★5シリウス)

テセウス 魔王レオニエルと呼ばれているが正体は勇者(★6ホウテンコウ)


 3日後、ついに魔王がレオグラードにやってきた。

 今度の魔王は、巨大な★5リバイアサンの姿をしていた。

 それまでの間、交代で魔晶球にエネルギーを注入してもらったため、最大強度でも半日(12時間)は結界が維持できそうだ。

 その期間で魔王がエネルギーを使いつすくとは思えないので、できる限り強度を調整して結界を長引かせるのが俺とジークの役割になる。

 1カ月単位で結界を維持できるエネルギーがあれば、最大強度にして後は何もしないという選択肢も取れるのだが、結界の維持ができなくなった後の犠牲者の数を減らすことを考えると、そう言う訳にはいかない。


 パワー・ガイン・ロウガが結界を張る予定の範囲の外に出撃していく。

 パワーには魔王の攻撃を完全に防ぐことのできるフォースフィールドがある。

 ガインはタイムストップで万が一の対処。

 ロウガは魔王のエネルギー攻撃に完全耐性がある。

 外から魔王を挑発する役には最適のメンバーだろう。


 ある程度魔王が近づいてきたところで俺は、サンクチュアリの結界を張る。

 エネルギーの節約のために、まだ強度は弱くしておく。


 ある程度近づいてレオグラードの町が見えてくると、魔王は巨大なエネルギー攻撃を放ってきた。

 俺は結界の強度を最大に上げる。

 実際に強度の調整にはある程度の時間がかかるが、まだ魔王までの距離があるので魔王を見ていれば攻撃を来るのを見て余裕で対処できる。


 パワー達は無事だろうか?

 見ると、パワーとガインはフォースフィールドの中、ロウガは外にいたようだが完全耐性で耐えたようだ。


 魔王は、もう一度広範囲のエネルギー攻撃をしてくる。

 大丈夫そうなので、俺は少しだけ結界の強度を落としてみた。それでも結界は、びくともしない。


 2度のエネルギー攻撃が効かないことを知り、魔王はレオグラードに近づいて来た。

 魔王が巨大だ。体長が100メートル位ある。

 そして、当然魔王にはレオグラードの周りに張っているうっすらと光る結界が見えるはずだ。

 すると、魔王は尻尾で結界の壁を破壊しようとする。

 当然のことながら、結界はびくともしない。


(バカニシオッテ)

 魔王の声がしたかと思うと、魔王は口から巨大なエネルギー攻撃を放ってきた。

 魔王がエネルギーを貯めているのを見て、これは危険と感じたので、俺は結界を最大強度に戻した。

 何とか、魔王の攻撃をやり過ごしたようだ。


(オボエテイロ)

 魔王はそう叫ぶと、東に向かって動き出す。


(これは、節約も含め少しは隙を見せた方が良かったか?)

 隣にいるジークが言う。


(そうだな。

 今度来たときはもう少しギリギリの所で調整しよう。)

 俺も答える。


 すると、パワー達が魔王に攻撃技を放って魔王の気を引いてくれた。

 魔王はすかさずパワー達にエネルギー攻撃を放つが、パワーのフォースフィールドで無効化しているようだ。


 魔王が、パワー達に近づいてくる。

 だが、パワー達はフォースフィールドの中に留まったままだ。


(パワー、魔王に近接されると危ないぞ。)

 俺は言うが、当然俺の声がパワーに届くわけはない。


 魔王は、パワーのフォースフィールドに近接すると、牙で障壁が消える瞬間を待っているようだ。

 効果時間が消えたフォースフィールドの隙に魔王が牙でかみ砕こうとする。

 すかさずパワーが、少し狭い範囲でフォースフィールドを掛け直した。

 同じ範囲にかけ直そうとすると、魔王の牙によって発動しなかっただろうからな。


 しかし、このままではじり貧だ。

 効果時間が切れてフォースフィールドをかけ直す度に、確実に効果範囲は狭まっていく。

 フォースフィールドの中にパワーとガインが入るスペースがなくなった時点でアウトだ。


 ロウガが、結界を背に魔王に攻撃技を放つ。

 パワー達を救うため、魔王の気を引こうとしてくれていた。


(ウルサイ)

 魔王は、ロウガと後ろにある結界に向かってエネルギー攻撃を放つ。

 この攻撃は大したことがないな。

 俺は、結界の強度を魔王の攻撃に間に合う範囲で最大限下げてみた。

 結果、魔王のエネルギー攻撃を防いだものの、結界にひびが入ってしまう。

 これは強度を戻しても完全には回復しないな。

 今更、結界を掛け直す時間はないし。


(ウル殿、絶妙な調整をしたな。

 パワー殿とガイン殿を救えそうだ。)

 ジークが言う。

 魔王がこちらを見ている。

 これは壊れると思ったのか、完全に標的を結界に変えたな。

 俺は再度結界の強度を上げる。


 次の魔王の攻撃も完全に防いだものの、結界のひびは修復されない。


(綱渡りになるが、これは好都合かもしれん。)

 ジークが言う。

 俺を責めないように気を使っているのもあるだろうが、魔王がこれは行けると判断したのか、結界を集中攻撃し始めた。

 ジークの言う通り、確かにこの展開は結界の持続時間を最大限有効に使える。


 さらに、魔王の攻撃が激しくなってきたので、俺は結界の強度を最大にまで上げた。

 ひびはそのまま残っているが、仕方ない。


 魔王は一晩中レオグラードへの攻撃を続けた。

 俺は、ジークと交代で休憩しながら結界の維持を続ける。

 まあ、結界の強度を変えないのであれば、常に集中している必要はないのだが。



 夜が明けても魔王の攻撃は続いた。

 かなり高レベルで結界の維持を続けてきたので、そろそろエネルギーが尽きかけてきた。

 持ってあと1~2時間だ。


 俺は結界を維持している間に、ジークに調整に行ってもらった。

 結界が破れた瞬間魔王に総攻撃をかけてもらうためだ。


 絶え間ない攻撃で、魔王の大きさが30メートルまで縮んでいる。

 破壊の魔王は大きさで残りエネルギーが判断できる。

 魔王もかなりのエネルギーを消耗したようだ。

 ここからが本当の勝負だ。


 そして、いよいよ結界のエネルギーが尽きる頃には、魔王を攻撃する精鋭の態勢が整っていた。


 魔王の次の攻撃を受けて、ついに結界が破れる。

 結界が破れた瞬間、魔王の前で準備していた南部貴族連合軍・連合国軍による魔王への一斉の総攻撃が行われた。

 それと同時に、テセウスさんが魔王に体当たり攻撃を行う。

 テセウスさんが持っている勇者のエネルギーを全て攻撃技として魔王に巨大なダメージを与える技だ。

 その結果、テセウスさんは完全に消滅する。

 テセウスさんは魔王の犠牲者を減らすため、それを分かっていてやったのだ。


 魔王は悲鳴を上げ、体長が20メートル弱にまで縮んだ。

 破壊の概念を持つ魔王は、エネルギーの残量と体積が比例する。

 つまり、魔王に残ったエネルギーは当初の125分の1以下と言うことだ。

 テセウスさんの犠牲で、俺達でも倒せるレベルまで魔王は弱体化した。

 テセウスさんの意志を無駄にしないためにも、俺達で魔王を倒さないと。


 そして、パワーとガインが肉弾攻撃を仕掛け始めた。

 魔王も負けずに衝撃波を放ってくる。

 前の方にいた南部貴族連合軍・連合国軍に多数の被害が出たが、パワーが小さくなった魔王を転ばせた隙を狙って、総攻撃を行う。

 俺とジークもライトニングで同調する。


 魔王も衝撃波で抵抗してきたが、数千の攻撃技を一斉に喰らい、魔王の腹は原型を留めないくらいに破壊された。

 そして、ついに魔王は動かなくなった。

 魔王に勝ったのだ。

 とは言え、テセウスさんの言っていた懸念が本当である事も確定した。

 次はその対処を考えないといけない。


 南部貴族連合軍・連合国軍は負傷者の手当てに入り、しばらくしてパワー達が戻ってきた。


(パワー、ガイン、ロウガ、良くやったな。

 これで魔王の半分は倒したわけだ。)

 俺はパワー達を労いつつ、今後の話をする。


(魔王の半分ってどういうことだ?)

 ガインが聞いてきた。


(テセウスさんが言っていた。

 今日倒した★5リバイアサンの魔王は、

 200年も破壊のエネルギーを貯めた魔王にしては、エネルギーが少なすぎると。

 今回のリバイアサンの魔王レベルは中の中か中の上のレベルということだ。

 このレベルの魔王が誕生するエネルギーが貯まるまでの期間は100年前後。

 計算が合わないんだ。

 それじゃあ、残り100年分のエネルギーはどこへ行ったんだって言うことだ。)

 俺は今後のことについて説明する。

 テセウスさんに魔王の残り半分のエネルギーについても託されていたからだ。


(そう言えば、★5リバイアサンの魔王の匂い、タンゴって奴の部下だぜ。

 新兵器を撃退したときにタンゴと一緒に逃げて行った奴だ。)

 ガインが言う。

 魔王のエネルギーの半分をタンゴの手下が持っていたという時点で嫌な予感しかしない。


(破壊のエネルギーを集めて、自分の意志で魔王になれるということか。)

 ジークが聞く。


(それで何となく読めてきた。

 タンゴは、部下に自分が支配できないような大きな力を持たせたりしない。

 残りの半分の魔王のエネルギーを自分のものにしている可能性が高い。)

 俺は自分の予想を言う。


(てことはなんだ。魔王化したタンゴを倒さない限り、平和にはならないってことか。)

 パワーが聞く。


(そうだろうな。

 しかも、タンゴは今回倒した★5リバイアサンの魔王のように一晩中エネルギーの浪費などしてくれないだろうしな。)

 俺は答える。

 倒すべき魔王のエネルギーとしては残り半分だが、一番渡したくない相手に巨大なエネルギーを渡してしまった。


(魔王化すると判断力が落ちるのかも知れねえ。

 ★5リバイアサンも新兵器を守って戦ったときは結構強敵だったからな。

 今思えば、あの時はまともな判断をしていたのに、魔王化してからの判断力はボロボロだったぜ。)

 ガインが言う。

 確かにそうだ。タンゴの奴も魔王になって判断力が落ちてくれると助かるのだが。


(確かにそうかもな。

 歴史上の魔王は、全員絶え間なく破壊発動を行っている。

 まともな判断ができるなら身を潜めるとか色々できるだろうからな。

 それなら、タンゴが魔王化していたとしても近いうちにどこかで目撃されるか。)

 俺が言う。


 その後、ピュートル公や連合国の中で相談した結果、更なる魔王の動向が判明するまではレオグラードに避難している者はこのままレオグラードに留まる事になった。

 そして、俺はとジークは再度の魔王の襲来に備えて結界の準備を続ける事になった。モンスター部隊や冒険者はまた交代で空になった魔晶球にエネルギーを貯める作業に入る。

 そして、パワー・ガインとロウガが魔王が存在するか帝都やバイカル周辺を確認しに行く事になった。

 ロウガも★4ガイアまで進化したので、それなりに戦力になるだろう。


 翌日、消滅したテセウスさんはじめ、魔王の攻撃で命を落とした戦死者たちの追悼が行われた。

 そして、パワー達は、連合国諜報部隊のイザベルさんとレオグラードの外交官ミハイルビッチさんを連れて、帝都に向かって出発していった。

20230614 話番号修正・誤字等修正

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