105交渉(2)
登場人物
☆連合国
ウル 元連合国アドバイザー(★4テンロウ)
オーウェル 連合国盟主でメキロ家当主(人間)
レイモンド 連合国メキロ家外交官(人間)
レオニエル 魔王・正体は勇者テセウス・連合国の協力者(★6魔王)
☆ピュートル派
ピュートル公ハキルシア帝国3大貴族の1人・連合国と同盟(人間)
アレクセイ ピュートル公配下の将軍(人間)
レオニード ピュートル公配下の将軍(人間)
ライン ノリクの親戚で元ファーレン領主・冒険者に転向(人間)
★パヴェル派
パヴェル公 ハキルシア帝国3大貴族の1人・ノリクと同盟(人間)
ノリク ハキルシア帝国宰相・連合国の宿敵(人間)
タンゴ ノリク配下(★5キリン)
ケイシュールマケルーノ公国国王・圧倒的な個人戦闘力を持つ(人間)
△その他
ローゼリア ノリクの娘・連合国で保護している(人間)
イクシャールハキルシア帝国の科学者・殺害された(人間)
ゲンタ エルシア所属・事故死したらしい(★5セト)
ニコラ公 ハキルシア帝国3大貴族・中立(人間)
(当時の俺は、連合国側の記憶がありませんでしたので、ピュートル公と関係修復できるとは思っていませんでした。)
(つまり、ノリクが恣意的にウル殿の記憶操作をしたという事ですね。)
違う。そんなつもりで言った訳じゃない。
(当時連合国にいた頃の記憶はなかった訳ですが、一部の記憶が残っていたという事はなかったです。
今思い返しても、都合のいい部分だけ覚えているような事はないですね。
密偵からの情報を聞いて、俺がピュートル公とは敵になると思い込んでいただけです。)
(密偵と言うのはノリクの密偵ですよね。
当然ノリクの命令により、ウル殿への報告を恣意的に歪める事はできるでしょう。
だからこそ、ウル殿はピュートル公が敵になると思い込んだのではないのですか?)
誘導尋問的な質問だな。
(今思い直してもそうは思えないです。
当時はまだノリクについて日が浅く情報が十分集まっていなかったとは言え、全方面の情報を伝えてくれてはいましたから。
当時の俺は連合国とは敵になると思っていましたので、連合国と連携していることが分かったピュートル公についても敵になると判断しました。その結論を出したため、そこまで関係が決裂していないパヴェル公についたらどうかと考えたわけです。)
(ノリクについていた当時、連合国についてどのように聞かされていましたか?)
(連合国ではなく反乱軍と呼んでいました。
自分からアレン・リッチモンドにノリクの名前でメキロ家を討伐するよう偽の指示書を出して、アレンをおびき寄せて殺害。偽指示書で監禁されているパール・リッチモンドを救出して大義名分を得ると全ての罪をノリクに着せて東部貴族を纏めて反乱を起こしたと。
当時反乱軍のアドバイザーであるウルがしたのだろうと言う予想を聞かされました。当時は連合国アドバイザーのウルを強敵だと思っていましたので。
記憶を失っていたので、ウルの正体が俺自身だったとは思いませんでしたが。)
(アレン・リッチモンドが、偽指示書だけで兵をあげたことに疑問は持たなかったのですか。)
(ノリクはアレンと文書のやり取りをしており、メキロ家が動きにくいよう手を打っていたと聞いていましたので、それを逆手に取られたのだなと考えました。)
(では、連合国が反乱を起こした理由についてはどのように聞いていましたか?)
(ハキルシア帝国からの独立を目指したものだと聞いていました。)
(連合国が独立を目指した背景についてはどう判断していましたか?)
(そこまでは分かっていませんでしたので、連合国の主要人物と併せて密偵に調査をさせていました。)
(分かりました。
次に、ノリクが首輪の件を撤回したのは、魔王レオニエルと交渉するためですか?)
話を振ってきたな。
ここはこれ以上突っ込めないと判断したのか。とりあえず凌ぎきったか。
(それもあるでしょうが、首輪の政策を決めるまでにかなり悩んでいたようです。
ノリクとしても、首輪の効果の非道さに心を痛めていたのだと思ってます。)
(あとそれ以外に、ノリクが殺した人物について聞かせてください。
まずは、イクシャール博士について。
ノリクではないという証拠はあるのですか?)
また、話を振ってきたな。
でも、ここについてならかなり話しやすい。
(ノリクの側近である★5キリンのタンゴは、イクシャール博士が魔王の召喚を企てている疑いがあるとして、ノリクに逮捕許可を取っています。
イクシャール博士は何も事情を知らないままいきなり襲われて殺されました。
そして、抵抗が激しくて殺さざるを得なかったとノリクに報告しています。
さらに言うと、タンゴにはイクシャール博士を殺す動機があります。)
(その動機とは何でしょうか。)
(タンゴはイクシャール博士が異界から呼びよせた人物です。
そのため、元の世界で実在する船型の兵器の開発ができたのです。
しかし、タンゴは自分の優位性を保つために、自分以外の異界の人物を邪魔だと考えていた。
だから、異界の人物を呼ぶ事のできるイクシャール博士に言いがかりをつけて殺したのです。)
(エルシアのゲンタという★5セトがノリクに事故に見せて殺されています。
これもタンゴが行ったものですか?)
ゲンタって転生者でタロウさんのお父さんだったよな。
事故と聞いていたが、殺されたんだ。
(その件については確認していませんが、ゲンタはタンゴ同様異界の人物だとエルシアのタロウさんの話から分かっています。タンゴとしては邪魔な存在ですので殺害対象になります。
ノリクの人柄とタンゴの過去の行動から見て、タンゴがノリクが知らない所で単独で行った可能性が高いと予想します。)
この★5セトは、タロウさんのお父さんの関係者なのか。
あとで聞いてみよう。
(一通り確認しましたが、ウル殿の主張に偽りはないようです。)
★5セトが言う。
これ以上は突っ込めないと諦めてくれたのなら助かるのだが。
それともタロウさんのお父さんの関係者でノリク様を敵と思っていたとかか。
「つまり、ノリクはもともと我々とは敵対つもりはなかったが、立ち回りを誤って敵対することになったと言いたいのだな。」
アレクセイ将軍が聞いてくる。
(そうです。
俺が向こうにいる間にできればよかったのですが、今からでも可能性はあるのではないかと。)
「しかし、ここまで来てしまっては、ノリクも今更後には引けないのではないのか。」
レオニード将軍が言ってくる。
(実はその可能性は低くないです。
ですが、傍で仕えた結果、不器用なだけで悪人ではないと分かりましたので、出来れば戦わずにすまないかと考えての提案です。)
「正直、私はライン・ミューゼル殿が気の毒になってきた。
ノリクについて我々と戦うことになった結果、ファーレン領主の地位を失うことになったのだからな。」
ピュートル公が口を開く。
ライン・ミューゼル侯はピュートル公と戦って降伏した結果で失脚したんだったな。
(確かに、ライン侯もそうですし、ノリクの立ち回りの拙さで犠牲者も出ていますね。
このままレオグラードで戦闘が始まればさらに多くの犠牲者が出ます。
できる限り、そのような犠牲を減らせればと。)
「ウル殿、貴殿の主張は分かった。
案については許可しよう。
だが、娘の手紙だけではそこまでの効果は望めまい。
かと言って、直接説得に出向くのは危険すぎる。
その点についてはどう考えているのだ。」
ついに、ピュートル公が許可をくれた。
ピュートル公は話の分かる人だったな。
オーウェルさんと同じで俺の理想に近い為政者だ。
(ご理解いただきありがとうございます。
実際の交渉については、俺が直接出向くつもりで考えています。
勿論危険なのは分かっていますので、万が一に備え、魔王レオニエルに同行してもらいます。)
「お待ちください。
ノリクと本当に交渉するのであれば、条件提示が必要かと。」
レオニード将軍が口をはさむ。
「とは言え、少なからず犠牲者を出した以上何らかの責任はとってもらわらねばならないのでは。」
アレクセイ将軍が言う。
「余り追い詰めて逃げ道をなくすわけにもいくまい。
宰相の地位は退いてもらうが、ウォルタンの安泰と言うあたりで話をできないか。」
ピュートル公が言ってくる。
(ありがとうございます。
そこまで認めてもらえるのであれば、条件で揉める事はないと思います。
問題は、引き返せなくなっている可能性ですが、最大限説得します。
とは言え、成功する確証はありませんので、失敗した場合の準備もお願いします。)
何とか、ピュートル公の許可がとれた。
「そちらは連合国の先行部隊の活躍で非常に助かっている。」
レオニード将軍が答える。
パワー達が活躍しているんだな。
(あと、俺からも2点確認したいのですがいいですか?)
今度は俺から聞いてみる。
「何かね?」
(ピュートル公の傍にいる★5セトを紹介してほしいのですが。)
こいつ、絶対只者じゃない。
「そう言えば、紹介していなかったな。
こちらは、エルシア商人のブライアン・フィロソフィーだ。」
ピュートル公が紹介してくれる。
(自己紹介が遅れて申し訳ない。
ブライアン・フィロソフィーです。)
えっ?
ブライアンってモンスターだったの?
しかもタロウさんのお父さんの関係者?
(いや、ブライアン殿がモンスターだとは思わなかったので驚きました。
しかも、タロウさんのお父さんの関係者ですか?)
(ゲンタ殿には幼い頃からお世話になりましたので。
私とアレスにとっては父のような存在でした。
ゲンタ殿には様々な知識を教えてもらいました。
特に経済に関する話が役に立っています。それで私は商人をしているのです。)
(そうでしたか。
この話は誰もが知っている話なのですか?)
(★5セトは、★6ゲブに覚醒します。
それによりシェイプチェンジと言う専用技を習得し、自分の姿を変えることができるのです。
普段は人間の姿をしてエルシア商人ブライアン・フィロソフィーとして動いています。
今も敢えて★5セトの姿をしているのです。
この話は親しい者にしかしていないため、他言無用でお願いします。)
(そう言うことでしたか。
分かりました。私の胸の内だけにしまっておきます。
あと、もしご存知でしたら、★6に覚醒する条件を教えて欲しいのですが。
十分な経験・専用技の習得・人間並みの知恵が必要だとは聞いています。)
ブライアンが★6と言うことなので、追加で★6に覚醒する条件を聞いてみる。
(残りの条件は、★5進化後に格上の相手に戦闘で勝つことです。
私の場合は自分の力だけで倒した訳ではないのですが、その戦闘で貢献度が一番高かった故に覚醒できたのだと思っています。)
(分かりました。
ありがとうございます。
あと、ピュートル公にもお聞きしたいのですがよろしいですか。
パヴェル公に勝った後、今の帝都やバイカル周辺をどのように支配するつもりですか?)
「帝都は人が多すぎる。
適正な人数で統治し、多すぎる人をレオグラードを含め南部貴族連合の領土に移動してもらうつもりだ。
今も帝都への上納金で賄えている以上、可能だと考えている。」
ピュートル公が答える。
(なるほど。
俺もその案を支持します。
北部の民のことを考えていてくれて安心しました。
俺もできる限り協力します。)
無事、ピュートル公との話が済んだな。
こうして、俺はピュートル公との会見が終わった。
20230531 話番号修正・誤字等修正




