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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
はじめての冒険
1/122

1ご主人様ゲット

「大丈夫?」

 俺は、若い娘の声で目を覚ました。

 全く知らない顔。誰だろう?

 確か俺は、トラックに突っ込まれて潰されたと思ったのだが、とりあえず生きてはいるという事か。


 俺は、ここはどこかと聞こうとするが、動物の吠え声にしかならない。喋れない。どういうこと?


「君がここで血だらけになって倒れていから心配したのよ。回復魔法で治療は済んでるからまだ痛くても、じきに治まるわ。」

娘は俺にそう言うと微笑む。


 俺はまだ右手が痛むので、右手がどうなっているのか目の前に持ってきた。

 これ、動物の足じゃん。俺、動物になってるよ。

 これは夢?


 だが、痛みも本物だし違う気がする。


 いわゆる転生と言うやつか。

 そんな物語は色々読んだ記憶があるが、いざ自分がそうなってみるとさすがに驚く。

 俺はトラックに潰されて死亡し、動物の体に転生したのだろうかと予想してみる。



 そして、俺は目の前の人間の娘に助けられたのは間違いないようだ。

(助けれくれてありがとう)

 俺はお礼を言ってみたが、動物になった俺には人間の言葉が話せないので吠え声にしかならない。


「いいのよ、気にしないで。」

 娘が言う。俺の言いたいことが理解できているのだろうか?


 魔法とか言っている時点で異世界に来たことは間違いないだろう。

 だとすると、俺はこれからこの世界でどうやって生きていくかを考えないといけない。

 そのためには、この世界についてもっとよく知る必要がある。

 そして、そのためにはと順番に考えていくと、この世界で普通に生きている人間について行くのがベターだという結論になった。

 

 しかも、俺はこの世界の人間に助けられたわけだ。

 重症だった俺を善意だけで治療してくれる人間が悪い奴のはずがないし、少し言葉を交わしただけの予想でしかないが優しそうな人間に思える。

 とりあえず、目の前の娘について行く方向で考えつつ、もっと話をしてみることにする。


(貴女は誰?)

 と聞いてみる。俺は吠え声しか出せないが、もし俺の言いたいことが分かるのであれば、答えてくれるのではないかと思って聞いてみた。


「私?私はレンディール、モンスター使いよ。冒険をしながら旅をしているの。」

 やはり俺の言いたいことが分かっているらしい。


「こちらのイーグルが仲間のリーザ、そしてこちらのヤングタイガーがガルガンよ。」

 娘は隣にいる仲間のモンスターも紹介してくれた。モンスター使いなのだから、モンスターの仲間がいるのは当然か。


(リーザよ)

 レンディールに紹介され、横にいたイーグルが一声鳴いた。

 あれ、鳴き声しか言わないのに自己紹介されたと分かる。


(ガルガンだよ)

 ヤングタイガーも紹介されて一言吠えただけなのに、こちらも自己紹介されたと分かる。


 とりあえず、意思疎通に困ることはないようだ。


(俺は犬飼狼牙)

 俺も同じように吠え声で自己紹介してみる。


「名前がなんて言ってるのか分からないわ。」

 娘にそう言われる。通じてない?

 漢字か日本語の発音か何かが伝わらないのだろうか?


 仕方ない。この世界で日本語の名前に拘る必要ないし、恩人でもあるこの娘について行くつもりだし、俺の名前を付けてもらおう。

 しかも、この娘はモンスター使いで、実際にモンスターを2匹も従えている。ついでに俺も仲間にしてもらうのが丁度いい。


(それじゃあ、代わりに俺の名前を付けてほしい。そして、俺も仲間に入れてほしい。)

 俺は、勇気を出してそう言ってみた。


「私が君に名前をつけていいの?」

 娘が俺にそう確認してくる。


(そうだ)

 俺はそう言って、うなづいた。


「あなた、ウルフよね。ウルって名前はどう?」

 名前の付け方が安直だけど、悪い名前でもないし贅沢を言うつもりもない。

(名前を付けてくれてありがとう。今から俺は『ウル』だ。)


「それで、ウル。私と契約するの?」

 俺はこれにもそうだと言ってうなづいた。

 そうすると娘は、私の額に手を当てて何かを念じ始めた。


「汝ウルよ、我が僕となるか?」

 娘は俺に聞いてきた。

 俺はこれにもそうだと言ってうなづいた。


 特に何か変わった感じもしないが、これで契約は終了したらしい。

 これで、今から目の前の娘が俺のご主人様になった。

 この世界で生きていくには、この世界について詳しく知っておいた方がいい。野生のまま生きていくよりも、人間について行った方が都合がいいはずだ。

 俺のモンスターとしての()生はこうして始まった。

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