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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

彼女

作者: 牝牡蠣

下ネタが出てきます。苦手な方はバックしてください。

*彼女*

















1.

彼女は巨大な

ガラス柱でなければならない。

そして来るべき日に彼女が砕けると

我々の肉体が粉じんで傷つき濁流に押し流される。

それが原始人類の記憶だ。


彼女は実存な

死でなければならない。

なぜならあのコンサートの客席に

ナイフを懐に入れた青年が一人もいなかったと誰も言えないから。

腐乱しているのは勝者だ。


彼女は世界を

食い破らなければならない。

だから彼女の本当の声は

世界の崩壊の瞬間まで失せている。

世界は破滅までずっと混乱のままだ。


彼女は概念を

宇宙の果てから創始しなければならない。

でも大地と相性が悪くたって

レイプして屈服させるかもしれない。

快癒の嵐という正夢だ。


彼女はやっぱり優しいから

レイプなんてしないっ!

絶対に絶対にしない!

だって彼女のし尿の味は

ビターチョコのえぐさと同じだもん。


彼女は最後まで

我々を見捨てないでいてくれるか?


2.

彼は世界の崩壊を望んでいる

あらゆるすべての既存のものの崩壊を望んでいる

彼を彼女として定義づけるすべての既存のものの崩壊を望んでいる。

なぜなら彼が彼女だと決めつけられる因果など本当はどこにもないからだ。


3.

このクソミイラ共が!

のうのうと地面這いずり回りやがって!

うるせぇんだ耳障りなんだよ!

誰に許可もらって生きてやがんだ!

見えないナイフなんか腰につけやがって!

何様のつもりだ!

お前は何様だ!

お前は何様だ!

お前は何様だ!

もう一度聞く。

俺は何様だ!


好き勝手に生きやがれよ!

自由に生きやがれよ!

お前の眼球なんざビタ一文の価値にもならねえ!

お前の臓腑はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の思想はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の筋肉はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の家はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の家族はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の読んだ本はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の住んでる国はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の住んでる地球はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の住んでる宇宙はビタ一文の価値にもならねえ!

お前の住んでる次元はビタ一文の価値にもならねえ!


じゃあ何に価値があるんだよ!

お前のいる世界の俺の大便がたった一文だが価値がある。

それが世界の形

収束する形。


4.

俺は勝者を好まない。

むしろ殺意すら覚える。

ただ何もない夕暮れ刻の校舎に

彼女の死体を隠してみせた。

彼女は彼に笑ってみせたけど

山中霧深くて鋭い枝見えない。

花壇の土は神を八つ裂きにして肉骨粉にしたものを混ぜ込んである。

そう、彼は罰当たりなのだ!


だから彼は英雄と

同じ面構えをしているという。


死に凍える中で

同じ面構えをしているという。


密林の死体の上で

同じ面構えをしているという。


女を買う時に

同じ面構えをしているという。


ウサギをひっ捕まえて見た鉈へ

同じ面構えをしているという。


女花を包む少女みたいねと

同じ面構えをしているという。


だから彼は空気と

同じ面構えをしているという。


5.

俺と彼女は結婚する運命にある。

俺は彼女とセックスするんだ。

毎晩毎晩カビ臭い布団で愛し合うんだ。

彼女の氷みたいな腕を丹念に舐めてキスするんだ。

彼女は俺のすべてを受け入れるんだ。

だって死んでるんだから!


彼女のおでこにガイガーカウンターあてて測ったら

計器10ミリマイクロシーベルトだった。

だから、なんだよっ!

除染作業員の仮設住居みたいだ。

あのままの、あのまま。


俺はあそこで彼女とセックスする。

彼はきっと俺の中にいる。

だから、俺は、生きよう。

すべてビタ一文の価値にもならねえけど

俺は死ぬまで俺であることが至極真っ当だと思うがいかが?




*おわり*

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