僕が好きになった人は色気のある男教師でした。~柊 青~Ⅱ
数十分たった頃、篠が戻ってきた。
その頃には俺も落ち着いていたし、何事もなかったかのように篠に話しかけた。
それから他愛もない会話を少ししてから学校を出た。
学校を出てからまず俺の行きたかった本屋に寄った。
目当てのものはすぐに見つかったのでレジへと向かう。
『青は相変わらず買い物が早いね。他のものは見なくていいの?』
「ん?俺はこれを買いに来たから」
『他にも見たら欲しいものがあるかもしれないよ?』
「まぁそうかもしれねーけど~」
篠と話しながら俺は会計を済ませた。
「とりあえず今日はこれが買えればいいからさ♪マックいこーぜ~腹減った」
『他は見なくていい?』
「いい!」
『はいはいw♪』
俺と篠はいつも行っているマックへと向かった。
数分歩いてたどり着く。いつも頼むポテトとハンバーガーを購入し、席に座った。
座るや否や、篠が俺に質問してきた。
『青って今彼女いるの?』
その質問に俺は少し驚いた。篠がこんなことを聞いてくるなんて珍しかったから。
「急にどうしたんだよww今はいねーよ~1週間くらい前に別れた」
『そうなの?・・・青って好きな人とか出来たことある?』
「え・・・」
なぜか分からないけど俺は内心すごく動揺してしまった。普段あまり恋愛話をしないからだろうか。いや違う。
先生のことが脳裏によぎったから。それとともにさっきのことを思い出したから。
先生に触れられた感覚が蘇る。体が熱くなり、心拍数が早くなる。
『青?どうしたの?顔赤いよ?大丈夫?』
篠の声にはっとした。
何考えてんだ俺は・・・
「な、何でもねーよ!」
慌てて自分を落ち着かせる。
「つか何で、んなこと聞くんだよ?好きな奴でも出来たのか?」
俺のいきなりの質問返しに篠は驚いた表情をしたかと思いきや、顔が真っ赤になった。
「分かりやす・・・」
『べ、別にそんなんじゃないよ!!少し気になるだけで・・・』
「それを好きって言うんだよwwで、誰?」
『いまだにクラスの人の名前を覚える気がない青に分かるの?w』
「うっ・・・いいから言ってみろ!わ・・・分かるかもしれねーじゃん」
『んー・・・椎名さん・・・』
「え!?もしかして椎名 流気!?」
『青知ってるの!?そうだけど・・・』
「まじかよ・・・お前、ある意味競争率の高い奴を好きになったなww」
『へ?』
篠は『何が?』と言わんばかりの表情をしてこちらを見ている。
こいつ・・・まじで知らないのか?俺でも知ってるのに・・・
椎名 流気は・・・
「女にもてもてじゃねーか」
『えぇ!?そうなの!?確かにすっごくきれいでかっこいい人だけど・・・』
「まじで知らなかったの?俺の元カノで「椎名さんを好きになってしまったから」って別れたやつもいるし」
『・・・青って他の人を好きになったからって原因で別れるの多くない?・・・』
「まぁ~時々な♪」
『時々・・・』
「今は俺の話じゃねーだろ?まじで椎名を好きになったの?」
『・・・うん。この気持ちは多分好きって感情なんだと思う』
「そっか・・・なら俺は応援する♪」
『本当に!?ありがとう~!』
それから篠はどういうことがあっていつ頃好きって気づいたのかを話してくれた。
椎名のことを話しているときの篠はとても楽しそうだった。幼いときから一緒にいて、
篠のことを一番知っていると自信持って言える俺でも、篠のこんな表情は初めて見た。
それは、本当に椎名を好きなんだなと丸分かりなほどで。
それから俺たちは9時過ぎくらいに店を出た。
帰るときも篠は椎名の話をしていた。篠のする話はどんな話でも「退屈」と思ったことがない。勿論この時もそう。
篠も俺にとっては特別なやつだから。ガキの頃から一緒で、俺のことを一番分かってて理解してくれる人。
篠が嬉しければ俺も嬉しいし。だから今だって、嬉しいはずなのに・・・
俺は嬉しそうに好きな人の話をする篠が羨ましかった。
今まで一度も思ったことはないが、もしかしたら俺は誰かに、先生のどんなとこが好きなのか、俺がどれだけ先生を好きなのかを、話したかったのかもしれない。
でも誰かに話せば、俺の周りからは人がいなくなるだろう。別にそれはどうでもいい。ただ・・・
篠が俺から離れていくことは考えられないから。
俺と篠の家は隣同士。というか、両家とも少々裕福な家庭で、両親同士も幼馴染やら親友やらの関係でかなり仲がよく、
同じ敷地内に家がある。家に着くまで篠は椎名の話をしていた。俺は篠の話を聞きながらも
頭の隅で先生のことを考えていた・・・
読んでいただきありがとうございました。
よろしければコメントを