僕が好きになった人は真面目な優等生でした。~宮野 切~
小学生ながらにして髪を金に染め、耳と眉にピアスの穴を開けた。
たまたま一緒にいて楽しいのが不良グループの奴らだった
ただそれだけなのに・・・
小学校のとき暴力問題が起きた。あるやつの背中を後ろから誰かが蹴って怪我をさせたらしい。
でもそいつはすぐに姿を消したから誰がしたのかが分からなかった。
そしてその時にたまたま近くにいた俺が疑われた。
教室で担任から『貴方がしたんでしょ?』とみんなの前で聞いてきた。
俺は否定した。だって本当にしていないから。
でも誰一人信じてくれなかった。『どうせ宮野君でしょ』そんな声ばかり。
俺の味方になってくれる奴なんていないか・・・
逃げたくなった。誰も信じてくれない。みんなから敵のように扱われることが小学生の俺には耐えられなかった。
『宮野君は違うと思います』
・・・え?
俺は耳を疑った。
『確かに宮野君がしたって思うのは仕方のないことだと思います。でも僕は「してない」って言う宮野君のことを信じます』
クラス全員が自分を疑っている中、一人だけ自分を信じてくれる奴がいた。
何より驚いたのは自分を信じてくれたやつが片原 京だったこと。
真面目な優等生で成績優秀なこいつが自分とは対照的な俺を信じてくれたことが驚いたし、素直に嬉しかった。
片原 京のおかげで俺の疑いは晴れた。
後日怪我をさせたやつが見つかった。そいつは俺に罪をきせようとしてたらしい。
あいつがかばってくれなかったら俺が犯人扱いされてたな・・・
でもそんなことはどうでもよかった。それよりその時の俺は片原 京にお礼が言いたかった。
「片原!ありがとな♪お前に救われたよ!」
『お礼なんていいよ。僕は君はしてないって思ったから発言しただけだし』
「それでも俺は嬉しかった!」
『・・・』
片原は下を向いて黙り込んだ。不思議に思った俺はそんな片原の顔を覗き込んだ。
「片原?どうし・・・」
覗き込んだ片原の顔は真っ赤だった。
「だ、大丈夫か?お前、顔真っ赤だぞ?」
『・・・ありがとうなんて・・・あまり言われたことないから・・・』
片原は小さな声でそう呟いた。
何こいつ・・・・めちゃくちゃ可愛い!!!
いつも真顔であまり表情を変えない片原。初めて見る片原の違う表情。
その日から俺はこいつに夢中になった。
この頃の俺にはまだ幼すぎて気づくことは出来なかった。
でもきっとこの頃からだろう。
京に特別な感情を持ってしまったのは・・・
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