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闘神に気に入られた私  作者: 新条 カイ
第3章 心が通い合うのは
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43、予想していたトラブル

 はっと目が覚めると、目の前にあるのはいつもの風景。シュトレイの首元が見える、景色。

 まさか、夢? そろりと胸元にあった手で体に触れて―――


「い、いやあああぁぁぁ!!!!!!」

「ん、あ? どうした?」

「ど、どうしたじゃないいぃぃぃ! ばかぁ!」


 そう、起きたらシュトレイの腕の中で、昨日の蓑虫状態が解除されていたのは、まぁいい。

 なんですっぱだかなのよ!!! しかもシュトレイも! や、下半身は見てないよ。リネン掛かってるし。感覚でそうだと認識しただけで。もしかして、夢じゃないの? いや、夢なら夢でそれは嫌なんだけどっ! 

 慌ててパジャマを身に纏い、ほっと息を着く。


「そうそう、良い傾向だな」

「っ! ばかっ! 見たでしょ! 何したの!?」

「もちろん堪能しておいた。手は出してないよ。手は、ね」

「最悪! スケベ! エロジジイ!」

「忍耐力を褒めて欲しい位なんだがなぁ?」

「知らない!」


 ベッドの上で、枕でぼすぼすとシュトレイを叩くのだけれど、全くダメージがないのか、困った素振りもなく、くすくすと笑っている。諦めてベッドから出て、朝の準備をする為に洗面所に向かう。背後でシュトレイの含み笑いが聞こえて、腹立たしいやら、恥ずかしいやら。

 腹立たしいといえば、昨夜もからかわれたんだった。





 じっくりたっぶりと時間を掛けてキスされて。ようやく唇が離され、息も絶え絶えにやめてと訴えれば、私の上に覆いかぶさったシュトレイの体が何故か小刻みに震えていて…それが、笑い声を堪えて笑っていたんだよ!?

 まだ時期じゃないとか訳分からない事言ってさ! じゃあなんで、そういう事をこれからするんだと取れる事するのかな!?


 まぁ、そういう事で、ふてくされつつ布団にくるまってシュトレイに背中を向けて、口も聞いてやらないと決めて。


「くすくす…おやすみ」

「!」


 私が怒っている事が気にならないのか、蓑虫状態のまま、布団ごと私を抱き込んだシュトレイは、どうやらそのまま眠るつもりらしい。神経図太いんだかわからない。

 ぷりぷりと怒っていても、眠気は来るもので、私もそのまま眠りについてしまったのは、不覚だ…そして、冒頭に戻る。





 今日はシュトラータに戻るとかで、フェイさんに午後に帰ると予定を言われた。何か買って帰りたい物があれば今の内に済ませる様にと言ってくれたけれど、お土産、かぁ。


「何かお土産に買って行って、喜ばれる物ってありますか?」

「ここですと、やはり三神の加護付きのお守りでしょうが、シュトラータでは闘神様のお力の方が喜ばれますし…保存の利く珍しい食べ物が無難ですかね。布もいいかもしれませんね。最近また新たな素材の布や染物が出ていますから。繊維質の布や皮製品もシュトラータに最近では流通していますが、ここには様々な地域の物が集まりますし」

「土産、というより、沙耶の欲しい物を買えばいい。土産は、フェイに任せる」


 シュトレイがそう言うと、フェイさんは苦笑して、かしこまりました。と、礼をした。確かに、フェイさんに任せた方が、この世界を知らない私が買うより、もらってうれしい物も分かるだろうし。

 そんなこんなでお土産を渡したい人を頼んで、フェイさんとは別行動となった。終わり次第、中央国の門に近い場所のカフェに待ち合わせる事にして、シュトレイと一緒に見て回る事にした。

 さっきもフェイさんが言っていたけれど、シュトレイが寝ている間に発展した物の情報がなかったりすると、シュトレイの能力で作れないらしい。時々”見て”いたから、何が出来たのかは知っているらしいけれど。



 シュトレイがこの国に来た時点で、欲しい物が売っている店を調べていたらしく、結構な量の製品を購入していた。布や革、宝石もだ。すでにシュトラータのドレスルームにかなりの数があるのに…気に入った物を選べと言われて、いくつか選んだりもした。小物やインテリアなんかも見て、良いなと呟くなり、一式シュトレイに購入されてびっくりしたり。

 うん、テーブルとか、ネコ足ので可愛かったんだもん。何ていうの、お嬢様っぽいというかアンティークっぽいっていうか。

 でも、そんな大きな物は持って運べないし、どうするんだと言ったら、問題ないと言われた。配達を待ち合わせのカフェにするようにと言って、そのまま買い物を続けたけれど。馬車に戻ると内のインテリアを消してしまい、その空いたスペースに積まれていく家具に、呆然とした。


 呆然としたままシュトレイに促されて、カフェで休憩してから中央国を離れた。もう少し色々見たかったけど、正式訪問の時にすればいいよね。




 二日程馬車で進んだ頃、シュトレイが朝食を取りながら、難しい顔をして口を開いた。


「フェイ、少し移動を早められるか」

「そう、ですね。快適さを考えなければ1.5倍程は」

「……結局間に合わんな。なら今のままでいい」


 その会話を聞いて、何か急ぐ事があるのだろうかと思ったのだけれど…


「何かあるの? シュトラータで何かあったとか?」

「いや、国は問題ない。ちょっかいかけて来る国があってな。どうやら道中に軍を差し向けたようだ」

「えーっと…」


 軍って? ちょっかいかけて来る国って?


「数は五万位か。話は聞いてやってもいいが、仕掛けてくるつもりならばヤるだけだ」

「え…」

「奥様、その国はいつもこの様な手を使うのです。今回は特にお忍びで来たので、やりやすいと思ったのでしょう」


 正式訪問であれば、神の剣がいますからね。そんな事を言うけれど…もしかして、中央国に来る時に、危険な所があるって言ってたのって、これ?


「フェイ、お前は馬車を走らせておけ。俺だけでいい」

「馬車を守る布陣の方が良いと思いますが」

「それも一理あるな。周りを囲ってしまえば安全か?」


 シュトレイは何やら考え込んでいるようで、顎に指を当てながら黙り込んでしまった。


「……そうだな、そうしよう。沙耶は俺が迎えに来るまで、馬車内で待っていればいい」

「う、うん。でも、大丈夫なの? 五万って、結構な数だと思うけど」


 そう聞いてみると、問題ないと言われる。話し合いでなんとかなるかもしれないし、とも言われてほっとした。そうだよね、話し合いで解決すればいいよね。

 シュトレイはいつも、実力行使っぽい事するけど、少しは考えてくれたのかな。



 いつ来るのかとびくびくしながらの道中だったけど…ついに、その時が来た様で。止まれと言う声が聞こえて、馬車が止まった。



「沙耶。ここで大人しくしていろ」

「う、うん…気をつけて」


 そう言うと、シュトレイは驚いたような顔をした。心配しちゃいけないの!?

 思わずぷいっと顔を背ければ、くすくすと笑われた。そして、頬にキスされて。驚いてシュトレイを見れば、楽しそうに笑っている。


「行って来る」


 シュトレイはそう言うと、御者席ではなく、馬車の後部から出て行く。ソファに座ったまま、誰も傷つかない様にと祈る事しか出来ない。



 どれ位時間が経ったのか。時々喧騒が聞こえたりしたんだけど…まさか、戦になってたりするのかな?

 ハラハラしながら待っていると―――


「神の器様! 無事ですか!?」

「えっ?」


 だ、誰だろう?


「王より命じられて、馳せ参じました。どうか無事を確認させて頂けませんか」

「おう、さま?」


 もしかして、シュトラータの王様が、敵対してる国の動きに気がついて、助けに来てくれたの?

 慌てて馬車から出れば、どうやら馬車全体を覆う様に、オフィーリスで囲まれていた。


「あ、あの、シュトレイは…今どうなってるんですか?」

「ここから随分離れた場所で交戦中です。どうか安全な場所へ一緒に移動して下さいませ」


 交戦って、戦ってる? もしかしてフェイさんも? そんな…


「ここは危険です。闘神様の神の器である貴方を人質にしようと動く者もいます。どうか、私と一緒に移動を」

「は、はい。ちょっと待ってください」


 えーと、これを解除するのは、どうすれば。ぺたぺたと隔てているオフィーリスを触ってそう考えていると、するりと通り抜けた。


「え?」


 思わず呆然と振り返ると、球状のオフィーリスがある。解除ではなく、私がそのまますり抜けた?


「神の器様、こちらへ。王の下へとお連れ致します」

「あ、はい。…あれ?」


 見た事のない人が、1人だけだ。着てる服は、確かにシュトラータの兵士の服。訓練の時とかに見た、その格好。だけど、なんだろう。違和感がある。

 そう、だ。神の剣がいるのに、どうして…


「あ、すみません。忘れ物…」

「いけません! すぐに離れなければ」

「すぐ戻りますから」


 オフィーリスに入って、安全を確保してから考えようと思って、くるりと戻ろうとしたのだけれど―――


「いいから来い。王がお待ちだ」


 手首を取られて、とん…と、何かをお腹に押し当てられた。なぜか手首を掴んでいる手が気持ち悪くて振り払おうと思ったら、そこで意識が途切れた。





「―――!?」


 いきなり感じた喪失感に、思わず身体が動かなくなる。


「闘神様!」

「っ、悪い」


 とん、と後ろへと飛んで、前に犇めく兵から距離を取る。フェイは俺の傍を着かず離れずの距離で、兵をその双剣で薙ぎ払っている。もう半数は倒したはずだ。

 結局、話し合いという場すら設けられず、襲い掛かってきたその兵を殲滅していたのだが…先程の喪失感は…沙耶を奪われたか。


「…あの道具だけでも教えておくべきだったか」

「闘神様。どうかなさいましたか」

「さがれ。沙耶を封じられた。伝令だけでも残そうと思ったが…手間だ。全て消す」


 沙耶がもしこの中にいたとしても、俺の器だ。影響は、ない。


 きゅるり、と音を立ててその場を全て包んだのは、巨大なオフィーリスだ。犇めく兵士全てを包み込み、その円形を急激に掌大へと縮めれば、残るは静寂のみ。

 だが、それだけの事をしたからだろう。体から力が抜け、膝を突いた。


「闘神様っ」

「…ははっ…封じられていては、流石にキツイな…フェイ」

「心得ております」

誤字脱字、指摘や感想等お気軽にどうぞ


闘神様が膝を突いた後の情景で、ちょっと腐が発動しそうになったのはココだけの秘密(秘密じゃないな

さて、闘神様を回復させる方法は以下のどれか。

1、フェイさんの血をごきゅごきゅ

2、綴ったりとか武器とかにもなるアレがそういう役割を備えている

3、腐(ぁ いや、ちゅーする位ですよ。精々www

1と3はエナジーを吸い取るってかんじなんで、原理は同じ。

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