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闘神に気に入られた私  作者: 新条 カイ
2章:目覚めて・・・
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42、決意

 仮面舞踏会と言っても、やはり交流したい人はいる訳で、そういう人は仮面を外してしまっていたり、もしくは片方の目だけ隠すタイプにしていたり等、人によりさまざまだ。

 主にそうしているのは、王様や貴族等、付き合いがたくさんあると思われる人。仮面を付けてない変わりなのか、頭に派手な飾りを付けて物凄く目立ってる人もいるけど…重たそう。

 王様に挨拶したくても、仮面でわかりません! じゃあ、意味がないし、あまりきつく縛られないのもいいなぁ。


 いろんな物を食べて飲んで一息つけば、目に入るのは三神だ。物凄い人だかりが出来ていて、凄い。流石に、平伏する様な人はいないけれど、頭を深々と下げて礼していたりする。

 それを見ていると、ツキン、と、胸が痛む。なんだろうこれ、嫉妬? いやいや、なんで三神に嫉妬なんて。


「沙耶、どうした?」

「え? あ、なんでもないよ、シュトレイ。ちょっと考え事」


 えへっ、と笑えば、少し心配そうな表情のまま、そっと頭を撫でてくれた。そりゃそうだよね、グラスを口元に当てたまま止まってれば、心配するよね。失敗失敗。

 と、そんな時、今まで静かな管弦楽…多分ハープだと思うけど、ぽろんぽろんと、心地よい邪魔にならない音色が鳴っていたのだけれど、クラシックみたいに様々な楽器が織りなす曲へと変化した。

 すると、城の一階広間に男女が集まって来た。ペアがもう決まっているっぽい人達もいれば、その場で探している人もいる。


「ダンスが始まるみたいだな。帰るか?」

「ねぇ、見てるだけでも、いいんでしょう? ちょっと見ていてもいい?」

「沙耶がそうしたいなら」


 シュトレイはにっこりと笑うと、邪魔にならないよう、また見やすい様に、二階へと誘ってくれた。

 二階に上がると、テラスへ出られる窓もあるようだけれど、通路の手すり部分がカウンター席の様にいくつかテーブルと椅子が置かれ、休憩したり食事も摂れるみたいだ。

 その席に着いた頃、また曲が変わった。


「ほら、始まるぞ」


 今までの曲は、準備の為の曲だったのかな? シュトレイにすっと階下を指さされて、ダンスホールとなった場所を見れば、男女ペアになった人たちが、くるくると回っている。


「武踏、ですね」

「くく…粋な事をする」

「え?」

「奥様、これは闘神様が戦場で戦う姿を模したダンスですよ。…本物は、この比ではありませんが」


 フェイさんが言った言葉に呆然とする。戦場で戦う姿? え、でも、これが? 戦うって感じじゃないよね? だって、まず2人で手を取り合ってるし。跳ねたり、手を振りぬいたりはしてるけど…

 ダンスを見ながら首をかしげていると、シュトレイに笑われた。


「模している、とは言っても、二人で踊るのではな。模しているとは名ばかりだ。だが、悪くない。あの王は、最初にこの曲とダンスを選ぶ事で、闘神に礼を尽くしているのだろう」

「どういう事?」

「三神にも、それぞれダンスがある。通常であれば、そのいずれがが最初に選ばれる物だが、闘神が目覚めたから、かな?」


 そう言って笑うシュトレイは、本当に楽しそうだ。確かに、その人の為のダンスを何処に持って来るかで、誰を重要視しているのかも分かってしまうという事なのかな。

 すごいなぁ。大事に思っていると言われるのもいいけれど、こっそりとメッセージを送るのも、嬉しい物なんだね。…ちゃんと気づかないと無意味になっちゃうけど。

 そのダンスは四~五分程の物らしく、最後はなんだか仲睦まじい感じに思える踊りだ。しっかりと密着して、二人でくるりくるりと回っては揺れている。


「これは器を大事にするからだな。記憶にないから何とも言えないんだが」

「え? 記憶にないってどういう事?」

「俺は、今代の器を愛する。その為には、先代の器との記憶など、邪魔になるだけだ。沙耶は、先代と比較されたら面白くないだろう?」


 にっこりと笑いながら、シュトレイは言う。確かに、前の方は簡単にできたのに、とか、前の方がよかったとか言われたらショックだけど…でも、それって、ある意味シュトレイに覚えていてもらえるの、今だけって事、だよね…それって…


「とうじ---ご主人さま、それはどういう事ですか。まさか」

「後でだ。今は人が多すぎる」


 フェイさんが慌てた様にそう言うけれど、フェイさんも知らなかったのかな? でも、シュトレイの事をよく知っているフェイさんが知らないって…どうして?


「どうです? 楽しまれていますか?」


 急に声を掛けられてびっくりして振り向けば…ド派手な衣装と頭の飾りをした王様がいた。シュトレイが立ち上がり、優雅に礼を取った。

 え、いいの? いくらお忍びで王様相手だけど…神様、なのに。


「ご招待いただきありがとうございます。えぇ、随分と珍しい食べ物も用意されたようで。大変楽しませていただきました」

「そうですか。それはよかったです。まだ夜は長い。存分に楽しまれるといいでしょう」


 それだけ言うと、王様はさっさと違う場所へと行ってしまった。今日、あんなにもしつこかったのに、そのあっさりとしたやり取りに思わず拍子抜けしてしまった。


「気づいてない、のかな?」

「どうだろうな。こんな大勢いる所では、こちらの事情を汲んだのかもしれないが」


 シュトレイのその言葉に、納得してしまった。呼び名をどうするのかという事もあるし、話す内容でばれてしまう可能性もある、か。難しいなぁ。


「ほら、沙耶。今度は大地神のダンスだ」

「え? …わぁ、すごいゆっくりな動作ね。でも、なんだろう。テレビで見た事あるような?」

「ん? …あぁ、スローワルツか。少し形とステップは違うが、テンポはそっくりだな」


 テレビで見たと言っても、ダンス専門の物を見た訳じゃなくて、バラエティか何かでちょっとみただけだったはず。だから、違いなんて分かる訳がないんだけど…なんでシュトレイが知ってるんだ。ずるい!


「むぅ…」

「何をむくれてる」

「シュトレイは何でも知っててずるい」

「それでむくれてるのか。可愛いな。俺が何でも分かるのは、眼がいいからだ。…戻ったら、ダンスでも何でも教えてやる。自国のパーティもあるし、しっかり全て踊れるようにな」


 そう言われて、はっとした。全てって…


「な、何種類位ある、の?」

「さて、な?」

「ふぇ、フェイさん?」

「それぞれの神様のダンス四種に、基本の物二種と、曲によってですので、えーと全てですと十五でしょうか?」

「…ぜ、全部、覚えるの?」


 ぎぎぎ、と、音がなるのではという様に、フェイさんの方を向いて聞いてみれば、まじめな顔をして指折り数えられ、愕然とした。フェイさんがそう言うって事は、本当の事なんだ。

 シュトレイに確認の為に聞けば、にやりと笑われる。


「えっと、どれ位の期間で覚えるのかしら」

「フェイ?」

「そう、ですね。余裕が無くて2週間、あって1ヵ月でしょうか」


 それを聞いて、愕然とした。2週間って、毎日1個覚えたとしても、1個覚えられないっていう計算じゃないの!


「基本ステップ2つと、神のステップを4つ覚えれば、後は同じだから、なんとかなるだろ」

「うぅ…どんなものか分からないのに、そんな気休め言われても!」

「俺としては嬉しいけどな。ずっと沙耶とくっついていられる」

「!!」


 うわぁ、なんて事! そうだよ、練習するって事はそういう事だよ! あの顔を間近に見るって事だよ! 心臓が耐えられない!


「ほら、見ておかなくていいのか? 少しは覚えられるかもしれないぞ?」


 シュトレイは、にやにやと笑いながらそう言う。悔しくて、すぐにダンス踊れるようになってやる! と決めて、階下で行われている華やかなダンスをかぶりつく様に見る。




 結局、仮面舞踏会を最後の方まで楽しんで、ホテルに戻って来た。ドレスも宝石も外して、お風呂に入っている時に思い出すのは、この国の神様に対する接し方、だ。誰も彼も、神様を大事にしている事が見て取れたし、隠された親愛のメッセージもあった。

 シュトレイが民に慕われているのは、パレードの時に分かったけれど…パレードの前に会った神殿の人や、一部貴族の態度が印象的過ぎた。だから、支えたいと思ったのだけれど…

 うん、まずは色々覚えなきゃ。ダンスでしょ? あと力の使い方は、思いついた物は作ってみよう。駄目出しもちゃんと聞こう。日本の物は、作ったら駄目な物もあるって言ってたから気を付けるとして。後は、怖いけど…防御方法とかも、だよね。

 それと、教義! でも、今日フェイさんも知らない事、あったみたいなんだけど。もしかしてシュトレイって、シュトレイしか知らない何かがまだあるのかなぁ? でもそれをどうやって理解すればいいんだろう。聞けば、教えてくれる?




「あの、ね。シュトレイ」

「うん?」


 お風呂から上がったら言おうとしていたけれど、今までフェイさんがいたから、なんとなく言い出せなくて。寝ようかと寝室に移動して、このままじゃ駄目だと思い切って口にする。


「あの…私、愛とか、そういうのはまだ分からないけど、シュトレイの事、もっと知りたい。私、シュトレイを支えたいし、守ってあげたい。一緒にいたい。だから…色々教えて」


 とくり。と、心臓が不思議な音を立てた。その音に何だろうと首を傾げようとして、はっとした。シュトレイに、眼を細めて、じっと見つめられたから。


「”落ちた”と思ったら、そう来たか。くくく、いいよ、それで。心はちゃんと手に入ったしな」

「…え?」


 心が手に入ったって、どういう事? そう聞こうとして―――ぽすり、とベッドへ押し倒されていた。


「こういう事も、してもいいって事、理解してる?」

「ッ―――」

「知って欲しい事は色々とあるが、その中のひとつだ。 …ま、もう後戻りは出来ないがな」

「まっ…んぅ…」


 うそ、そんな、そんなつもりはっ! あ、ちょ、舌が…っ!

 前の神の器との記憶の事とか聞きたかったし、他にも色々と聞きたい事あったのに、なんでこうなるの!?


誤字脱字、指摘や感想等お気軽にどうぞ


いよっし、ここまでキターーーーー

うん、ちょっと手直しとか手直しとか手直しをしようかなと…

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