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闘神に気に入られた私  作者: 新条 カイ
2章:目覚めて・・・
36/59

34、色々と勉強しないといけないようです

 お城へと戻ってきました。パレード中は時間が取れないから、この国の実体を知る事は余り出来なかったけれど、人々の優しさには触れられたと思う。

 もう少し自由時間欲しかったな~なんて、修学旅行のノリで思ってしまった。


 で。今、シュトレイ、フェイさん、ネアさん、ミンファちゃんで、城にある書庫へと来ました。

―――文字の勉強をする為に。


 シュトレイが『書庫』って言ってたけど、これは図書館だよねぇ。書庫って言うから、倉庫みたいなのかと思ったけど、ちゃんと整頓された本棚に、テーブルもある。窓が大きく取られていて、明るいし。


「国の歴史書はあるか。簡略された物がいい」

「はい、闘神様。用意出来次第お持ちしますので、あちらでお待ちください」


 入り口に司書らしき人がいた。その人にシュトレイはお願いをしているけれど、文字の勉強に歴史書ってどーなの!? 英語の勉強だって、まずはABC…とかスペルからなのに。


 ともかくとして、窓際の机へと座る。私の隣にシュトレイ、向かいにミンファちゃん。その両隣にフェイさんとネアさんだ。

 席へ座ればネアさんが持って来てくれた、紙とペンが私とミンファちゃんの前に置かれた。

 そしてシュトレイにも。それにシュトレイはすらすらと何か書いているけれど…日本語だ。


「シュトレイ、それ」

「前に言ったはずだ。ひらがなと同じだと。だから対応表をね。日本語と違って、漢字なんか無いから簡単なはずだ」


 そう言われて、シュトレイが書いている手元を見れば、たしかに50音の横に、絵文字が書かれている。

 むむ、という事は、何もここに来なくてもなんとかなったんじゃ。そう言うと、シュトレイに『歴史も知ってたほうがいいから』と言われた。

 確かに何も知らないからなぁ。でも、歴史より、今! と、教義の方が、大切な気がするんだけどなぁ。


「はい、これ。これを見ながらでいいから、読み上げてみろ」


 シュトレイが書いてくれた対応表。それを受け取って、本を開く。ミンファちゃんは、もう既にネアさんと一緒に指差しながら読んでいる。

 なんだか小さい子が絵本を読んでもらってるみたいで、なんかほのぼのとする。


「と、空間を遮断しておこうか」 


 シュトレイがそう言うと、ふわりとした感覚がして…私達が座っている場所を、”なにか”がぐるりと取り囲んだ。

 その”なにか”が、はっきりしない。見えないんだけど、なにかがそこにあるという感じがするだけで。

 きょろきょろと見回していると、、シュトレイに頭をそっと撫でられた。


「ふふ…これは、そうそう見える様なシロモノじゃない。だが、ちゃんと分かったようだな」

「えっと、どういう事?」

「いずれその勉強もする。まずは、こっちを勉強しようか」


 とんとん、と、分厚い歴史書を指で軽く叩いて、にっこりと微笑まれる。

 気になる所だけど、確かに今は、その為にここに来ているんだった。

 ぱたりと、本を開き、シュトレイが書いてくれた対応表とにらめっこしながら、一文字一文字読んで行く。



 ダイニングへと戻って来てから、シュトレイに小さな黒板を作ってもらって、漢字の書き取り練習の様な事をしたのは、言うまでもない。




 今日は、シュトレイとフェイさんとで訓練所に来ました。その時に、”神の剣”の主要メンバーと顔合わせしました。

 隊長のイーヴィルさん、副隊長のユートさんにシルヴィアさん。シルヴィアさん、女性だよ!女性!と、驚いていたら、私にも隊が着く事もあるそうで、そういった点から、この国の軍は、男女の区別無く入隊し、訓練もするのだとか。

 あと、副隊長の補佐役として、それぞれに2人ずついるみたい。

 今日は取りあえず、隊長と副隊長だけだったんだけど、隊長、とはいっても、大隊長はシュトレイなので、シュトレイからの命令が最優先されて、命令が無い時は城下町の警護をしているのだそうで。


 で、ここに来るのに、なんで動きやすい格好で来たのか。神の剣のメンバーとの顔合わせなら、ドレスでもよかったんじゃないか。

 そんな事を思っていたら、なんと!このメンバーに、私が力で武器を作るようになんて言われた!


「ちょ、シュトレイ、そんなの無理に決まって」

「今までの神の器なら、出来ても精度が低くてお飾りになるだけだったが、沙耶なら十分。それに…」


『サリューも作り変えられる』


「! やる、やります」


 こっそりと耳打ちされて、俄然やる気が出てきた! だって、毎晩、あんなの着せるんだもん。パジャマがいいもん。


「くくくっ、ホント即物的でいいな」

「だ、だって、普通の可愛いパジャマだってあるのに、なんでいつもあれなの」

「俺の好み」

「シュトレイのへんたいー」


 そんな遣り取りをしていたら、フェイさんに止められて、はっとした。そ、そういえば他に人いたんだよね。はずかしい。


「では、沙耶。こっちへ。お前達は、得意な武器で模擬試合でもしていろ」


 シュトレイがそう言うと、一斉に礼をして、どこかへと向かう。武器庫にいったのだろうとシュトレイに教えられ、訓練場の端へと、一緒に移動した。

 そうして、ベランダや庭で使う様な、金属製のガーデンテーブルを作り出すと、そこに座って説明してくれた。


 物を作るのに必要なのは、イメージ力だという事。本当は成分だとか、細かい事も必要らしいんだけど、そこら辺は補正されるから心配要らないと言われた。どうやって補正してるのか、気になる所だけど。

 そして、重要なのが、3Dでイメージ出来るか。人間はどうしても2Dで見ている為、イメージすると2Dになってしまうのだとか。

 言われてみれば、そうかも。後ろ部分があるのは分かってるけど、同時に見えてない部分なんて考えないなぁ。

 後は、どこにその物体を出すのか。シュトレイはよく、着ているドレスをそのまま形を変えたりしてるけど、それは着ている物自体を、こう変えたいとイメージするのだとか。


 他にも色々一通り説明されると、シュトレイにやってみるようにと言われる。


「剣じゃなくてもいい。一番いいのは、イメージしやすい物だな」

「え? でもさっき…」

「まず、コツを掴む事から始めよう」


 イメージしやすい物。子供の頃から持ってて、大好きだったクマのぬいぐるみとかでもいいのかな?

 言われた様にイメージして、やってみる。出来たけど…手に取ってみたら、背中部分から綿が!


「いやー背中が開いてるっ」

「開いてるというか、背中部分がないというべきだな」

「うー…やっぱり無理かぁ」

「このぬいぐるみを補修してみるといい。このままの方向で。」


 テーブルに置き直されたぬいぐるみは、私の方に正面が向けられている。このままで補修だと、見えない場所を直すということだから、これも訓練になるのか。


 何度か繰り返すと、どうにか補修も上手く行った。シュトレイからもお墨付きをもらえたし、よかった~

 思ってたよりは、難しくないかも。


「次は、剣でやってみようか」


 そう言われて、ふと目を向けたのは、模擬試合をしている三人と、フェイさん。三人は両刃の剣を使ってるみたいだけど、フェイさんはなんだろう、あれ。槍っぽいけど、反対にも刃があるから槍じゃないよね。

 うーん、剣なら、やっぱり3人が使ってるやつだよね。でも、どっちかっていうと、イメージしやすいのは刀なんだけど。

 そんな事を思いながらやってみたせいか、案の定鞘に収められた刀が出来上がった。


「あれ。刀になっちゃった」

「身近な物、という訳でもないが、テレビで入ってくる情報に影響されたな。だが、ちゃんと出来てるみたいだ」


 『上出来上出来』そう言いながら、シュトレイが手にとってテーブルから離れると、鞘から刀身を抜いた。それがなんだかかっこよくて、時代劇の俳優さんみたい。

 でも、成功していてよかった~。鞘だけで中の刀身がなかったらどうしようかと。


「フェイ、少し相手しろ」

「え? シュトレイ?」

「扱った事がないからな。見てはいたが、どういうものか試してみないと」


 だからって何も今じゃなくても! そう思っている間にも、シュトレイは模擬試合をしている方に行ってしまった。

 そうして、三人はこちらに来るみたいだけど、シュトレイとフェイさんで、打ち合いを始めてしまう。


「奥様、あの武器は奥様が作られたと、闘神様から伺いましたが」

「あ、はい。そう、ですね。剣を作ろうとしたんですけど」

「初めて見るんですが、あれは奥様の国の物ですか?」


 三人がこちらへと来たら、隊長のイーヴィルさんに質問される。なんだか目がきらきらしてるんだけどっ!?

 それより、日本の事とかって、話してもいいのかな? 生活様式とか、全然違うし、ハイテク機器なんて、この世界で見た事ないし。取りあえず、言っても問題なさそうな事だけにしよう。うん。


「はい、そうです。使う事は、なかったんですけど、よく目にしていたので」

「なるほどなるほど。で、あの武器の名前は…」

「はいはい、隊長その辺にしてください。いきなり女性に失礼ですよ」


 ずいっと、近寄って来られてびっくりしたけど、副隊長のシルヴィアさんが割って入ってくれた。

 そうして、もう一人の副隊長のユートさんが、困ったように笑って、隊長を背後から羽交い絞めにしている。


「えっと…」

「すみません、奥様。隊長はちょっと…どころじゃなく、武器マニアなので」

「マニア、ですか」

「えぇ、それが高じて、隊長になったようなものです。武器の扱いが上手いので」

「そ、そうですか」


 ユートさんに羽交い絞めにされたまま、ずるずると引きずられて行ってしまうのだけれど、そんなに離れなくても。

 それに、3人の武器を作らないといけないんじゃ?それをシルヴィアさんに言うと、


「闘神様が満足されてからでも構いませんので」


 それまであそこで取っ組み合いでもしていてもらいましょう。なんていわれて、視線を向ければ、いつの間にかイーヴィルさんは羽交い絞めから抜け出して、殴り合いのような事をしている。

 シルヴィアさんと笑いながら、シュトレイとフェイさんを見れば、シュトレイはもうコツを掴んでいるようで、テレビで見る、殺陣の様な感じで動いている。


 ああ、そういえば、シュトレイが戦う所、初めて見たかも。シュトレイが寝ている時に体験したけど、あれは自分の身体が動いていたからなぁ。

 かっこいいなぁ。着流しなんて着たらどうなるんだろうなぁ。髪色がプラチナブロンドだから、違和感あるのかなぁ?

誤字脱字、指摘や感想等お気軽にどうぞ


「イメージすると2Dになってしまうのだとか。」について。私はそうだけどみなさんはどうですか?


でも、よく考えたら、3Dでイメージしろと言われれば、やって出来なくは無い気がする。

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