表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闘神に気に入られた私  作者: 新条 カイ
2章:目覚めて・・・
35/59

33、僅かに感じた違和感

 結局、ネアさん、ラビーさんと話しても、はっきりとした手もなく、嫌だと思った事は直して貰う様にするしかないという事に。

 うぅ…でも、直して欲しい所を言ったとしても、はぐらかされそう。今までも、知られたくないとかいって、はぐらかされる事多いし。


「奥様、少し歩きませんか? あちらにちょうど見頃の花があるんです」

「わぁ、見てみたいです」

「ではこちらへ。闘神様が起きる時期に咲くので、闘神の花とも呼ばれているんですよ。イシス、お願いね」

「はい!」


 イシス君は、さっきまで大人しくしていたのに、元気よく返事をすると、先導してくれる。三人で一緒に付いて行くけれど…


 ―――あれ? なんだろう。


 不意に感じた、感覚。なんだか寂しい様な、何かを忘れている様な、ぽっかり心に穴が開いた様な。


「奥様? どうかなさいましたか」

「え? あ、ううん。なんでもないの」


 どうやら立ち止まってしまったらしく、ネアさんが心配そうな表情で覗き込んでくる。慌ててそう言うと、具合が悪いようなら。なんて言われてしまう。


「大丈夫です。ちょっと考え事で」

「でしたら良いのですが…」


 そう誤魔化してみたけれど、まだ心配そうにしている。ラビーさん、イシス君にまでそんな顔されて申し訳なくなる。

 にっこりと笑って見せて、行きましょうと促して歩き出した。

 まだ感覚があるけれど、この感覚がなんなのか分からないし、気にしない様にするしかない。


 案内された花畑は、白くて丸い花弁が連なっている花が一面に広がっていた。花の形は少し違うけれど、鈴蘭の様な花だ。けれど、かなり大きい。

 花弁が手の平位の大きさで、背丈は、大きい物だと私の喉元位まである。そして、香水の材料になったりもするらしく、すごく甘い香りがする。

 さわさわと風が吹けば、辺りから漂う甘い香り。真っ白で丸い花はとても可愛くて。どうして、シュトレイがいないんだろう。確かに大切な話だろうけど、いままでずっと傍にいたから、寂しい、な。

 あぁ、さっきからあるこの不思議な感覚が、『寂しい』なのかも知れない。

 けれど、寂しいと思うという事は、シュトレイの事…?


「? 奥様、大丈夫ですか? 顔が真っ赤!」

「だ、だいじょうぶ、です。いろいろ、考えちゃって…あはは…」


 好き、なのかな? 嫌いじゃあないけど、でもなんで? 確かに顔は好みだよ。瞳も綺麗だし。でも、見た目だけでなんて事ないはずだよ!?





 少し風も冷たくなって来た事もあって、室内へ戻ってきました。通された部屋は、コビーさんのサロンという事で、調度品等は幾分女性らしい。

 そうして淹れてくれた紅茶を飲みながら、談笑していると、入り口のドアがノックされた。

 入ってきたのは、メイドさんだけれど、そのメイドさんの後に続いて入ってきたのは、シュトレイで。


「あ…シュトレイ、お話は終わったの?」


 慌てて立ち上がり、シュトレイの傍へと行きながらそう言うと、何故かシュトレイが困ったような顔をした。


「沙耶…何故、泣く?」

「え? …あ、れ?」


 そっと指で頬を撫でながらそう言われ、慌てて自分の手で触れてみれば、確かに頬が濡れているし、涙が零れている。

 と、そう認識した途端に、ますます涙が零れ、ひきつけるように嗚咽が零れる。なに、これ。なんなの!?


「…だから申し上げたはずです」

「うるさい黙れ。部屋は何処だ」

「こちらへ」


 ふわりと抱きしめられて、なんだか力が抜ける。抱き上げられて、フェイさんが案内してくれた部屋に入れば、ソファに座ったシュトレイの膝の上に横抱きに座らせられて。

 フェイさんも出て行ってしまい、二人っきりになったけれど、その頃には少し落ち着いて来た。…まだ、涙は流れているけれど。


「ねぇ、沙耶。俺、少しは自惚れてもいいのかな?」

「な、に?」


 そっと頬を撫でながら、涙を拭われて。覗き込むように、顔を近づけられた。


「沙耶の心に、俺はどれ位あるのかな?」

「…え?」

「愛してるよ、沙耶。沙耶は、少しは愛してくれてる?」


 い、いきなり何!? それに、唇が触れそうな程至近距離で、そんな言葉を囁かないでよぅ! 顔が物凄く熱い。絶対真っ赤になってる!

 というか、逃げたい、のに、なんで動けないのっ! こんな状況でまともに話せるはずないじゃない! 吐息が掛かりそうで、息もできない!


「沙耶。答えないなら、キスするよ?」

「! …い、まは、まだよくわからな…でも、嫌いじゃ、ない、から」


 話したら唇が触れそうで、たどたどしくなんとか答えれば、シュトレイの瞳が楽しそうに笑みを刻んだ。そして、くるくると色んな色が現れる。まるで万華鏡だ。


「仕方がない。自身の心ほどよく分からないものだしな。時間はまだある」


 そう言うと、額、頬へと柔らかくキスをされて、そっと離された。

 うぅ…ほんと心臓に悪い。


「涙、止まったな。沙耶、顔洗っておいで」

「うん」


 そっと、膝の上から降ろされる。この世界の化粧って、落ちやすいんだよね。崩れるというより、消える感じ。だから、きっと泣いた事で流れてると思う。

 示されたドアを入れば、洗面所で。鏡に映った顔は、少しアイシャドウが取れた程度だった。そうなのよね~マスカラとか、アイラインとかしないから、そこまでひどくならないのよね。


 何故か、顔を洗って戻ると手招きされ、食事の時間になるまで、シュトレイの膝の上で抱っこされたままだった。

 恥ずかしかったけど、なんだか気分が良くて、そのまま過ごしてしまったのは、不覚だったかも。

誤字脱字、指摘や感想等お気軽にどうぞ


最後の文面に、「不覚」を使ったけど、なんだかしっくりこない。

日本語ムズカシイネorz

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ