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闘神に気に入られた私  作者: 新条 カイ
2章:目覚めて・・・
34/59

32、沙耶は恋バナ、闘神は・・・

 沙耶が恋バナで盛り上がっている頃。闘神は、レヴァンを国の中枢から遠ざけた理由を、曽祖母のミーネに問うていた。


「恐れながら、私の旦那様のお義父様の時代でしょうか。詳しい事は、旦那様はもちろんお義父様も話しませんでした。ですが、私が幼少の頃に、この地へレヴァン家が来た事で、この街の領主として、父がいろいろとお手伝いをしたようです」


 それを誇らしげに語る父の姿を見て育ち、そして、レヴァンから直に教わる教義によって、一層闘神を敬う様になったのだと語る。

 そしてそれが縁となり、結婚をしたのだと。


「何故、理由を言わなかったのかが気になるな。フェイ、どう思う」

「はい。様々な理由が考えられますが…理由を明らかにさせるべきでしょうか」

「人が原因なら処罰したいからな。まぁ、貴族に言われたとして、隠す程の事でもないだろう。とすると、貴族の犬に成り下がった王から言われたんだろうな」

「……」


 闘神のその発言に、一同固まってしまう。確かに、王がそうであったのは事実ではあるけれど、仮にも王だ。それをそこまでこき下ろせるのは、神だからこそだろう。


「だが、その王はまだ生きているのか?」

「はい、隠居はしてますが、まだまだ御健全です」

「そうか。では秘密裏にヤるとしよう」


 その言葉に、一同は闘神を止めるべきか、その意のままにするべきかと悩んだのも仕方ない事だろう。

 確かに闘神を蔑ろにした事は、重大な悪事だ。だが、圧制をした訳でも、民の暮らしを守らなかった訳でもない。

 レヴァン家としては、確かに国の中枢にいた方が、教義もやりやすいはずであったし、いらぬ苦労をする必要もなかったかもしれない。

 と、一同心の中でさまざまな事を考えていると、またもや問題発言が繰り出された。


「…あぁ。子が出来たら王を挿げ替える」

「!?」

「まぁ、沙耶の心を手に入れなければならないが」

「闘神様、それは、原初の血を変えると言う事ですか」

「別に、俺は原初の血を重んじた事は無い。それに、愚かな者の血は、変えるべきだと思わないか?」


 確かに、レヴァン家の教義には、王には原初の血、いわゆる闘神の初めての子から脈々と続く者を。という事は書かれていない。

 文献に、民から求められて、いつからかそうなったと書かれているだけだ。だが―――


「民は、原初の血を、尊んでおります」

「どちらにせよ、民にとっては同じ”神の子”だ。何の問題が? それに、”捨てる”よりはいいだろう? 民の心は、レヴァンに近しい。それを捨てる程、冷酷でもない」


 ふ、と笑うその表情は、穏やかなものであり、闘神がしっかりと民の心を読み取ったからこその表情であると、レヴァン家当主は感じてほっとした。

 レヴァンとして、国への干渉はできなかったけれど、民への教義を行ってきた事が報われたのだ。

 と、一変して真面目な顔になった闘神は、レヴァン家当主をじっと見つつ、口を開いた。


「だから、フェイ。お前の息子が欲しい。そう心しておけ」

「は。…ご期待に沿えるよう、しっかりと教育しておきます」


 一瞬何の事かと分からなかったレヴァン家当主だが、話の流れから、王となる神の子の傍に、イシスを置くのだと悟った。

 今までの神の子は、身体は強いけれど、人間と変わらない為、庶民に混じって生活をしていた。だから、サポートする様な事もなかったが、王となるなら必要だろう。

 だが、王となる神の子に、レヴァンの子をつけて、果たして立派な王になれるのだろうかという疑問があったのだろう。


「ですが、恐れながら、イシスをお傍に置くより、もっと適した人物の方が良いのではないでしょうか」

「適宜教育係をつければいい。ただ舵取りをすればいいんだ。そう言うのは、得意だろう?」

「はい、そういう事でしたら安心しました」


 そう、レヴァン家は教義をする事から、民は元より貴族とも繋がりが深い。また人意を掌握するのも得意だ。

 レヴァン家当主は、その力でいい人材をうまく利用しろという事かと理解し、ほっと胸を撫で下ろした。


「で。問題の王は、何処にいる」

「はい、王宮裏の森の中にある離れにいらしゃいます。…まさか、今から行く気ですか」

「当然」


 場所を言ったと同時に立ちあがった闘神にそう聞けば、何を言っているのか、という表情でそう答えられ、レヴァン家当主はぴくりと眉を引き攣らせた。


「今はまだお止めください。奥様と長距離離れると、奥様に影響が」

「問題ない。沙耶の心が、まだかの地にあるのなら」

「それはどういう」

「来ないのか? レヴァン?」


 すでに部屋の入り口にいる闘神は、己が思わず零してしまった言葉の、真の意味を知られたくなかった。だから、腰を浮かせたままのレヴァン家当主へそう声を掛ける。

 すると、レヴァン家当主は諦めたのか、ため息を一つ零すと、『行きます』と言って、ドアへと向かった。

 レヴァンは、闘神の思考性を記す者。己の役割を知っているレヴァンは、闘神から離れることなど出来ないのだ。


 うまい事逃げられたものだ。と、心の中でぼやいていたが。

誤字脱字、指摘や感想等お気軽にどうぞ


※フェイに”人支配でなくする”なんていわせてますが、皇帝はシュトレイの子孫でしたネ。完全な人支配ではないけれど、混血だから・・・うーん。

そのうち修正しますので、しばらくスルーしといてくださいorz


↑修正しました。落とし所はこんなもんでしょうかorz

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