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闘神に気に入られた私  作者: 新条 カイ
2章:目覚めて・・・
28/59

26、まるでミルクキャンディのような日

 ふわふわと、浮遊するような感覚にくるまれて、目覚めた。


「ん…」


 なんだろう、この壁は。なんか…気持ちいい。


「ふ、おはよう、沙耶。」

「え? …!?」


 僅かにかすれさせた声は、シュトレイだ…! そういえばシュトレイが目覚めて、一緒にベッドに入ったんだった。

 それはいいとして、なんでこんな…!


 シュトレイに抱しめられる様にして眠っていた事に気が付いて、慌てて身体を起こしたけれど、ぐいっと強い力で引き寄せられて、シュトレイの腕の中へと逆戻りした。


「ちょ、シュトレイ!」

「沙耶。十五年待ったんだから少し位いいだろう?」


 そ、そういう問題じゃない!

 …あれ?十五年待ったって、どういう事だろう。


「? …どうかした?」

「え? あ、その」


 シュトレイの発言に疑問を抱いた事で、逃げ出そうともがいていた力が弱まったからだろう。訝しげな表情をしたシュトレイに、そう聞かれた。

 うーん、聞いても、いいのかな?


「十五年待った、って、どういう事?」

「そのままの意味だよ。沙耶を見つけて、その内包する力に歓喜して、この日を待った。それが、十五年」


 ”約”だけどね。なんて言って笑うその顔を、まともに見てしまって後悔した。

 だってすっごいカッコいいっていうか可愛いっていうか、ああ! もう!


「ずっとこうしてたいけど、残念。そろそろ朝食の時間になるな」


 そんな声が聞こえたかと思ったら、抱きしめられていた腕の力が緩む。

 何かが身体の周りを回った様な感じがして、なんだろうと思ったのも束の間、身体を起こされて、シュトレイに準備しておいで。と言われた。

 ―――いつ変えたのだろう。ドレスになってる!

 驚いて呆然としてしまったけれど、シュトレイに促されて顔を洗いに洗面所へと向かう。




 準備を終えて、食卓へシュトレイに促されるように入れば、フェイさん、ネアさん、メイドさん一同にお辞儀をして迎えられた。


「闘神様、奥様、おはようございます」

「おはよう」

「お、おはようございます」

「…フェイ、お前から見てどうだ?」


 急に何を言い出すのかと少し後ろにいるシュトレイを振り向けば、席へと促される。


「はい、記述と同じ様に見えます。しかし、奥様の方は少々強い様に」

「それは当然だな。適応率が今までの比ではない」

「確か、百パーセントと」


 席に着くと、隣にシュトレイが座り、正面にフェイさん、キサネアさんが座る。そうしながら会話が進められ、料理も運ばれて来るけど。


「あの、シュトレイ。今のって?」

「ん? この国の人間に、オーラが見えるかって言う話」

「確かに前、オーラが見えるものだって言ってた気が…」

「そうだね。まぁ、訓練していないと見えないが。この間のクズみたいに。」


 そんな一言でそういえばと思い出した。あの人達ってどうなったんだろう? 捕らえるとか言ってたから牢に入れられてるのかな?

 でも、シュトレイに聞くのはちょっと怖いから、黙ってよう。うん。

 あれ? 私ってシュトレイを見ても特にオーラって言うような物は見えないけど。


「シュトレイ、私、オーラが見えないんだけど」

「沙耶は見えなくていい。これは目印のような物だから」


 目印。えーと…あ、そっか。神様だっていう目印って事かな? と、いうことは…私もそのオーラがあるとすると、街中で、おっきな名札つけて歩くような物じゃない! いやぁぁぁ! 街中とかいっぱい遊びに行きたいのにぃぃぃ!

 頭を抱えてしまったのだけれど、シュトレイはくすくすと笑う。


「心配しなくても、隠す方法ならある」

「ほんと!?」


 叫ぶように言ってしまったけれど、シュトレイは本当に楽しそうに笑ってる。うぅ…失礼な。



 そんな遣り取り中に、テーブルに用意された料理。今では習慣になった、皆で食事。頂きますと言って、サラダに手をつけようとして思い出したのは。


「シュトレイ、毒見は…?」


 いつも、シュトレイが毒見をしてから食べていた事を思い出して聞けば、一瞬きょとんとした顔をした。


「―――ああ、もう大丈夫。変化したから」

「変化?」

「うん、沙耶はもう、あらゆる事象を俺と同様に扱えるから。神に毒が効かないという事は、神の器にも効かない」

「そうなんだ。でも、毒が効かないのに、どうして毒が入ってるって分かるの?」


 RPGでいうと、毒無効と言う事だろうか。毒が効かない理由はなんとなく分かった。シュトレイが毒見してたのも、その特性があるからと言う事だろう。出てった後に効いて来るんじゃないかとか、ちょっと引っかかるけど。

 だとして、毒だと分かるのはどういう事なのか。シュトレイは苦笑いをすると、


「そこら辺は、成分で分かる。沙耶も出来るとは思うけど、ちょっと訓練が必要だな」


 だからといって、沙耶に毒を摂らせるつもりはない。そう言ってにっこりと笑ったその瞳をじっと見てしまった。

 淡い碧青で、まるで湖面を思わせる色。すごい、綺麗―――


「くく…フェイ、今日の予定を後で知らせてくれ」

「かしこまりました」


 ふ、と、視線を外されて、はっとした。慌ててサラダをつつきながら、他の人にばれてないか心配になる。

 くっそぅ、ものすっごく見とれてた!? だってあの色、すごく綺麗なんだからしょうがないよね!?

 そういえば、シュトレイって話し方が変わった? 声が違うのもあるとは思うけど、前はもう少し柔らかい感じがしたし、一人称”僕”だったよね? 今日、”俺”になってたような。

 なんで、変わったんだろう?



 食事を終えて、ダイニングへと戻ってきた。ソファへと促されて座り、口調が変わった事を問いかける。


「それは、沙耶だから」

「え、なにそれ答えになってない」

「じゃあ、こういえば分かるかな。沙耶の口から、そんな言葉を出したくなかったから」


 感情が高ぶって、思わず出たときもあるけど。そんな風に言われて、何と返していいものか。恥ずかしくて、俯くしか出来ない。

 と、その時、ふわりとやさしく肩を抱かれて、思わず顔を跳ね上げてしまうと、微笑んだシュトレイの顔が目に飛び込んで来た。


「俺の、奥さん。ずっと、ずっと、大切にする」


 そんな甘い言葉を零して、額にやさしくキスされて。


 ―――気を失いかけたのは、恋愛に慣れてないだけじゃないと思うっ!

タイトルがちょっとピンと来ない気がする。物凄く甘い日だって言いたかったんだ!


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