25、ようやく
沙耶はしばらく起きていたようだが、眠ったみたいだ。すぅすぅとかわいらしい寝息が聞こえる。
ようやく手にした、愛しい子。十五年程見守ってきた甲斐があったというものだ。
こっちへ呼ぶのを早めてしまったが、あれ以上待っていたら奪われていたかもしれない。
沙耶の気はあの男には向いていなかったが、今あの地では男女の付き合いが軽い物だ。嫌いじゃないから付き合うなどとなったら、たまったものじゃない。ずっと見守ってきた子を横から奪われるなど。
何より、適応率百パーセントの子は、俺の―――
「ぅ…ん…」
もぞもぞと身じろぎした沙耶の動きで、思考を停止させた。
寝心地が良くないのか、もぞもぞと何度も身じろぐ。
「ふ…だからこっちを向けと言っただろう?」
そっと囁いて、身体を反転させてやる。そうして腕の中へと抱き寄せれば、満足そうな吐息を零し、また静かな寝息を立て始める。
その事に満足して、俺も目を閉じた。
眠りを必要としない身だが、この安寧を享受するのもいいだろう…?
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言い訳とか活動報告に書いておきます。
申し訳ないorz