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サーヴァント  作者: ミサ
第1章
3/16

3 記憶

 神殿内に戻り大広間へと入って行くと、窓際で花を活けていたエイミアが振り返った。

「どうしたの?ハーティ…その娘」

ハーティが抱き抱えている赤毛の娘を見て、エイミアは驚いた様に駆けよってきた。顔を覗きこむと気を失っている。

怪しむ様に彼を見上げると、ハーティは慌てたように首を振った。

「待て!エイミア。俺は何も悪くない。こいつは神殿内に忍びこんだ挙げ句、俺とエミネントの命を狙ったんだ!」

「この娘が?まさか…」

ハーティの言葉に驚いて、その娘の顔を再び覗きこむ。まだ幼さの残るあどけない顔だ。とても人の命を狙うようには見えない。

「…何かの間違いじゃないの…そんな娘には到底見えな…」

エイミアはそう言いかけて、ハーティの腕から血が流れている事に気づいた。

「血が出てるわよ」

彼女の視線を追って、自分の腕を見ると−ちっと舌打ちをする。

「このガキ…何者だよ。チビのくせに俺に斬り込めるなんて、ただ者じゃねえよ」

「とりあえずその傷を手当しなければ…ドーラの所へ行きましょう。この娘も怪我をしているかもしれないし、一応診てもらいましょう」

 そう言うとエイミアは2人をドーラのいる、薬草管理室へと連れて行った。



「うーん……何だ、この娘」

 エイミアに呼ばれてドーラの薬草管理室へとやって来たミンは、目の前で眠っている娘を奇異な者を見る様に見つめた。

「どうした?ミン」

 ドーラに怪我を手当してもらったハーティがそばへ来る。

 先程から赤毛の娘の記憶を探っているが、この娘が普通と違う事を感じていた。

 ミンは記憶と精神を司り、時として相手の記憶を読み操る事さえ出来る…そして破壊することも。

 だからエミネントはミンに、この娘の目的を探るように指示したはず…それは通常の彼にとっては造作もないことなのだが……

「記憶が読めないんだ」

「は???」

 ハーティ、エイミア、ドーラの3人は、有り得ないミンの言葉に同時に聞き返す。

「記憶が何一つ読めない。初めてだこんな事」

 冗談で言っているわけではない真剣な表情に3人が顔を見合わせる。

「…記憶喪失とか?」

 ドーラが考え込む様に言う。

「いや、それでも記憶がない時の情景が見える。さっきハーティとエミネントを襲ったんだろう?それすら見えないんだ。俺の能力が役にたたない」

 4人はまだ目覚める気配のない赤毛の娘を見つめる。

 おそらくはエミネントが戻って来た時に、何らかの答えを彼が出してくれるのではないかと期待しながら。


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