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第7話 美国

「もうつまんない~!」


「あんたさっきからそればっかしねぇ」


コーヒーカップのスプーンでカチャカチャやりながら

美国は友人のナナの家で愚痴をこぼしていた。


ナナは大学からの親友で心理学専攻で現在大学院で

セラピストを目指し、日々勉学に励んでいる。


性格は美国とは正反対でクールで現実主義。

この正反対な性格がうまいことかみ合ったらしく美国はよく遊びにいっている。


「だってだって、最近の正人全然付き合い悪いんだもん」


アヒル口をしながら、膝を抱え愚痴をこぼす美国を見ながらクスっと笑うナナ。


「でもよかったじゃないの!彼、マジメになりつつあるんでしょ?」


「うーん…。それはいいんだけど、なんか急に変わった感じがして、よくわからないんだけどねぇ」


美国はいまいち納得のいっていない顔をしながら天井を見上げた。


「きっと少しは美国のこと考えくれはじめてるじゃない?

やっぱ女の幸せは安定感のある将来性でしょ!」


「ナナは現実的だよねぇ。そのクールな考えがうらやましいよ!」


美国は大きく息を吐き、机に手をかけなにやら考えている様子に対してナナは

「美国は正人君のどこがいいのよ?正直あたしからみたら悪いけどNGなんだけど」

と言った。

美国はその鋭い言葉にまた一つ、大きな溜息をつき

「ナナはきついなぁ。人の彼氏をそうズバッといっちゃうなんて。

そうだねぇ……。なんかほっとけないのよねぇ。誰かがみていてあげないと

消えちゃいそうな……。なんて言ったらいいんだろうねぇ」


その姿をみて、呆れ顔をしながらナナもフゥっと息をつくと

「要はめちゃ好きなんだね。正人君のこと。

もういいわ!これ以上聞くとノロケになりそうだから」


「そ、そんなことないことないけど……。でもやっぱ最近変なんだよね」


「変?」


ナナは首をかしげながら美国の顔をみながらカップを口元へ近づけた。


「うん。ねぇ、ナナ。人って急に変わるものなのかなぁ」


「そうねぇ。多少の変化ならあってもおかしくないと思うけど……」


「すごくゆっくりだけどなんか変わってきてるんよ正人。

頭よくなったり利き手が変わったり……。そういうのってあるんかなぁ?」


珍しく心配そうな顔つきで話し始めた美国に対して、

ナナは少し間を置いた後、口を開いた。


「興味のないものがちょっとしたきっかけではまるってことはあるけど

それなんじゃない?」


と答えると、美国は納得できなかったのか、正人の近況を話し始めた。


「あのね、正人が変わり始める前、繁華街で易者の人に声をかけられたんだって。

その時にいわれた言葉が……」


美国が話そうとしたとき、携帯の着信音が室内に響く。


「あっ、正人からのメールだ。……お呼びがかかったみたい」


軽くトーンがあがった美国の声を聞くとナナは微笑んだ。


「いきなさいよ!もう!」


「うん。行くね!ごめんね。話の途中で……。また聞いて!」


「はいはい」


そそくさに荷物を取り出し玄関に向かおうとした時

ナナに呼び止められた。


「美国!」


「ん?」


「正人君に言っといて!大事にしろよ!ってさ」


美国はニコッと笑い頷くと、ドアを開けでていった。


「変化かぁ。あたしも変わりたいさね……。変われるなら」


ナナはボソッと呟くと玄関のドアを閉めた。


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