第3話 朝霧正人
〜朝霧 正人〜
部屋はその人間の性格がもっともでやすい場所。
家賃45000円の1Kに住む。
正人の部屋はとにかく散らかっている。
雑誌、CDそして、書きかけの履歴書と不採用通知の束。
朝霧 正人 25歳 やる気なし。
自分がいち早く凡人ということに気がついてから、とにかくやる気がおきない。
適当にバイトをして適当に遊び、適当に彼女と付き合う。
自分を変えたいと思いながら、変わるための原動力がみつからない。
働き盛りの年齢にもかかわらず、今も家で寝そべっていることがそれを物語っていた。
「あー、今日は暇だ。とにかく暇だ」
大の字に寝そべりながら独り言を言いながらボケっと天井を見上げ、
タバコを吸いながら考えていた。
どうしてこうなっちゃったんだろう?
一体どこでどう間違ってこうなってしまったのか?と。
ゴロゴロしながら考えている姿には生気が感じられない。
元々こんなんじゃなかったんだ。
俺にだってやりたいことや目標はあった。
ただ気付いてしまったんだ。
自分はきっとこのまま生きていても何も残せないんだ。
きっと輝くことなんてできない。
ふと、そう思ってしまった時、自分の能力の限界が見えてしまったんだ。
その時からなのかもしれない。
なにをしててもつまらない。なにをしてても満たされない。
何かをしないと変わらないことも知ってる。
それでもどうすることもできずに時間だけが無情に流れていること。
寝返りをうったときに手にコツンと本があたった。
手にとって見てみると、『○○大学 入試対策』と書かれたものだった。
「あぁ、これ記念受験したときのか。懐かしいな」
懐かしさのあまり、適当にパラパラとめくっていると正人はバッっと飛び起きた。
「な……なんだよ、こりゃ」
目を丸くしながらパラパラとめくっていく。
「簡単に解けるぞ!」
まるで簡単なナゾナゾを解くような感じでみるみる答えがわかっていく。
「お…おもしれぇ!なんだよこれ?なんでこんなに簡単なんだよ!
すげぇ!もしかしてこれなのか?変化ってのは!!!」
あまりに簡単に解けることに対して、舞い上がった。
ありえない学力の向上についての疑問を忘れ去るくらいに。
「こりゃ、美国に見せ付けるしかないな!!覚醒してしまった俺の能力を!」
本を手にとり完全に浮かれながら、正人は外へと駆け出していった。




