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第27話 ドライブ

いつもの喫茶店で、コーヒーを飲みつつ正人は少し緊張した面持ちで待っていた。

まるで初めてのデートのように、無駄に時計を見てはソワソワとした雰囲気が伝わってくる。

しばらくすると美国が店に入ってきた。


「……珍しいね。あたしより早く来るなんて」


どことなく戸惑いを隠せない美国の様子はすぐにわかったが

「今日だけなぁ」と正人は今までどおりの対応で言った。


「ねぇ、正人……」


何か言いたげそうな美国に対して正人すぐさま手を美国の口元にかざすと

「待った。後で全部話すから、今日は……今は何も聞かないでくれよ」

そう言うと、納得はしてないが美国はコクリと頷いた。


「さて、時間も限られていることだし、早速だけどでようか?」

正人は美国の手を握ると店を出た。


空は梅雨前にしては天気がいい。眩しそうに手をかざし空を見上げた。

「車、そこの駐車場に止めてあるんだ。ちょっと待ってて」

「一緒に行くよ」

「そうか。じゃあ一緒に行こうか」

久しぶりに二人並んで歩くが少しぎこちない。

一年付き合っているのに二人の雰囲気は明らかに初デートのようだった。


「車、買ったんだね」

「うん。ローンがまだ残っているけどね」


なんとか会話が途切れないようにと話題を振りつつ二人は駐車場へと向かった。

車に乗り込み発進すると、カーステからは二人が好きだった曲が流れる。


「今日はどこに行くの?」

「んー内緒だな。とりあえずドライブでもしようかなと!」

車は国道へと向かっていった。

車をだしてしばらくすると正人は

「あのさ、色々聞きたいことあると思うんだけど、とりあえず目いっぱい楽しもうよ」

と優しく美国に言った。

美国の表情は、まだ少しぎこちないが少し笑顔を見せると「うん」を答えた。

正人は微笑みながら、美国の右手を握った。


車は国道から高速道路へと入り、正人は目的地へと順調に向かっていく。


流れる景色を見ながら一喜一憂する美国。

二人にあったぎこちなかった雰囲気は徐々に消え去り、いつも二人で逢っていた時の和んだ感じに戻っていった。

いつもの美国の姿を横目で見ると、正人の胸の痛みが増しているのがわかった。


途中休憩をいれながら車を走らせること二時間

美国もようやく目的地がわかったみたいで「あ、ここは」と外に向かって指をさした。

辺りを見渡すと海が一面に広がっている。


「ここって……」

正人は軽く頷くと、車を駐車場へいれた。

そして二人は海が見える公園の遊歩道を歩き始めた。


「やっぱ、覚えていてくれたか」

正人は嬉しそうに言った。


「覚えてるよ!だって、ここって正人が告白してくれた場所じゃん」

美国も嬉しそうにそう答えた。


かもめの泣き声が心地よく聞こえる、のどかな公園。

優しく包む潮風が気持ちいい。今日は一年前と同じような天気だった。


「あのときは電車だったけどね」


「そうだったなぁ」


ゆっくりとゆっくりと噛み締めるかのように二人は思い出を語り合った。

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