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第26話 記念日

あの易者と話してから何時間、いや、何日過ぎたのだろうか。

まるで今まで夢を見ていたような気がする。


ベットから体を起こし、綺麗に片付いた部屋を見渡すと、カレンダーが目にはいった。

それを見たと同時に、正人は全てを理解した。

今日がどういう日か。そして今日が最後の日だということを。

「はは……そういうことか……」

今までの記憶が無理なく、そして鮮明に走馬灯のように流れ込む。


――俺にとって大切なものってこれだったのか。


カレンダーの日付は六月十日。それがどんな日か正人はすぐにわかった。

今日は美国と付き合い始めてから丁度一年。


正人にとって最後の日が始まろうとしていた。



正人は早速会社に電話をすると、有給を使って休むことを伝えた。

特に急な仕事もなく、なんなく了承を得た。

そして大きく深呼吸をすると、再び電話をかけた。

しばらくコール音が続いた後、美国は少し元気がなさそうな小さな声で電話にでた。


「……俺だけど」


俺という言葉に美国はすぐに反応した。

「ま……さと?」


「うん。久しぶり。……あのさ、今日大丈夫か?」


「うん。平気。ずっと空けてたから」


その言葉を聞き、正人は今日が何の日かわかってもらえていたことを理解した。


「その、なんというか……。逢ってくれないかな?」


「……うん」


美国は何か聞きたそうな声をしていたが、了承を得た。


「じゃあ、十時にいつもの喫茶店で」


「うん。十時ね」


待ち合わせの約束をすると二人は電話を切った。

正人はベットの上に座り、タバコに火を点けると思いっきり煙を吸い、

そして天井に向かって吐き出した。

天井に漂う煙を見つめながら、正人は色々なことを思い返した。

そしてに思い返すたびに、泣きたくなった。


「なんでこんなんになっちまったのかな。

どうして気づけなかったのかな……」


時間のみが一刻一刻と無情に進んでいく。

正人はもう止めることはできないと思った。

そして心に一つ、覚悟を決めると、支度を始めた。

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