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第13話 出会い

夜中、美国は正人の横からすっと起き上がると、正人の寝顔を見ながら少し不安になる。

「正人、どうなっちゃうのかな……」

天井を軽く見上げて美国は少し昔を思い出した。



正人とは、もうすぐ一年くらいの付き合いで

あたし達は、とあるコンパで知り合った。


あたしは、そういうのはあまり得意じゃなくて、友達に頼まれて無理矢理ひっぱられていった。

その初めて行ったコンパで、あたしは正人と出会った。

みんなで盛り上がっている中、彼の顔はうかない顔をしていたのを覚えている。


なぜかつまらなそうに……。

そして、とても寂しそうだったのを覚えている。


そんな彼の姿があたしにはとても気になって、あたしは思い切って声をかけたんだ。

「ねぇ、みんなと盛り上がらないの?」

すると正人は無愛想に

「別に……。どうせ何があるわけでもないし、それに人数合わせで連れてこられただけだしな」

そんな正人のその言葉は、とても寂しく聞こえた。


「そんなこと言わないでさ。一緒に飲もうよ。

あ、自己紹介してなかったね。あたし、鹿島 美国。君は?」


「……朝霧 正人」


相変わらず無愛想でそっぽ向いてだけど、正人はポツリと答えてくれた。


「正人君ね。ねぇ、よかったら一緒に飲もうよ。 

あたしもこういうのはじめてで、何話したらいいかわからなくてさ」


「さぁね。飲んで歌って、さよならって感じかな。適当に話せばいいんだよ」


あたしは一生懸命話題を振ろうとがんばってたけど、とにかく正人は最初は冷たかった。

本当は寂しいのに何か無理矢理突き放すかのようなそんな感じがしてならなかった。

でもなんかここで正人のことを放って違うところに行くのも悔しかったから、

あたしはとにかく彼に話を振ったんだ。


それでも彼は変わらずで……


「あのさ……」


「何?」


「俺なんかどうせプーみたいなもんだしさ……。気遣わなくていいからさ」


「え……。別にそういうつもりじゃないんだけどねぇ」


とにかくつんけんとした態度があたしの中で気になってしまったのと同時に

自分が頑固だってこともありどうしても話をしたくなっていた。


「じゃあ、どういうつもりなんだよ?」


「んー。わからないなぁ。なんか、正人君のこと気になっただけ」


「ふーん。気の毒の人だな」


特に表情も変えずに正人はお酒を飲んでいた。

しばらくギクシャクしたけど負けずに話し続けたあたしに折れたのか

少しずつ正人はあたしに話をしてくれた。


「俺さ……、自分で自分の可能性わかっちゃってさ。自分がいかに平凡なのかをさ」


「え、なんで……」


「別に意味はないさ。ただ自分がどのくらいの才能でどのくらいの器量なのか

それがわかっちまったんだ。そう思ったらなにもかもバカバカしくなっちゃってさ」


「そんなのわからないよ。そう思ってるだけだと思う。

あたしだってそんな先のことなんてわからないしさ……」


彼がやっと口を開いてくれたと思ったら予想以上に病んだ言葉ばかりで

さすがのあたしもどう答えたらいいかわからなかったな。

でもなんか少しだけ嬉しかったのも確かだったんだ。

少しだけ心を開いてくれたことがかな?


普通、こんなテンションの低い人のことなんて

きっとこういった飲み会やコンパじゃ相手にされないんだろうな。


それでもあたしは、正人のことが気になって仕方なかった。

きっと、この時からあたしは彼に惹かれていたのかもしれない。


多分、あたしのほうが一生懸命だった……と思う。

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