誰かに自慢したくなる生物学! 第2弾「『ヒ素で成長する細菌』が何で宇宙につながるのさ?」
どうも、永らくお待たせいたしました。
前回に引き続き、生物学の「へぇ~っ」というネタを「分かりやすく」をモットーに提供させて頂きます。
さて、第2弾の今回は、流行に敏感になって「『ヒ素で成長する細菌』が何で宇宙につながるのさ?」という話をしてみます。ただ、私自身よく分かってない部分も多いので、絶対にそうだとは言い切れないです。あしからず。
まずは、その経緯を簡潔にご紹介しましょう。
事の発端は、NASAの事前発表した声明でした。
それは「地球外生命体の探索に影響を与える宇宙生物学上の発見」があったというもの。
メディアは「う、宇宙人か!?」と騒ぎ立てましたが、フタを開けてみると新種の細菌の発見でした~、ってことで「期待外れ」なんてレッテルを張られてしまいました。
私は、この事前の声明を見て「宇宙人じゃねぇな」とスルーしたのですが、意外とニュースになってましたね。
皆さんはどうだったのでしょうか?
ちなみに私の友人は「ヒ素で生きてる細菌スゲーッ!」状態でしたよ。
じゃあ早速、何でスゴイのか分かりやすく解説しちゃいましょう。
(ここはチョイつまんないかもしれません。宇宙とのつながりはこの後に3行空けたトコからお話しするので、ココは颯爽と読み飛ばしちゃって全然構いません)
ちょっと、ネットのニュースを探してみたんですが、大抵「リンの代わりにヒ素を使っているのがスゴイ」という書き方しかしてないんですよね。
実際そんなんじゃ伝わんないですよ。この凄さは。
メディアとしていかがなものかと叫びたいところですが、そこは置いといて。
私なら、こう書きます。
「もう一つの生命が現れた!!」
これを理解するには、私達ヒトを始めとした(この細菌以外の)地球上の全ての生命にとって「リン」という物質が、どれだけ不可欠な存在なのかを知っている必要がありますが、それを知れ、と一般の方々に言うのは少々酷な話です。
というわけで、ものすごく簡単に例えて言ってしまいましょう。
「リン」は、全ての生命にとって無くてはならない「お人好し」なんです。
様々な生命現象に「いいですよ」と笑顔で協力してくれる、そんな存在と言えばお分かり頂けるでしょうか。
DNAの構成要素に始まり、活動するためのエネルギーとして働いているかと思えば、細胞の中での「情報の伝達」の要としても大活躍。
彼がいなければ、と言われるような存在が「リン」なのです。
(この裏に先人たちの涙ぐましい努力があるということは、お忘れにならないで下さい)
そんな全ての生物に必要とされていると信じられていた彼を、実は他の元素で代用しているんじゃないか?と考えられる発見がコレだったわけです。
言ってしまえば、「今までの生命」の枠から外れた「もう一つの生命」が発見されたわけです。
だから「何かアイツ変じゃね。いや、マジで」となったわけです。
とまぁ、ここまでついてきて頂けたか自信がありませんが、ここでこんな疑問が浮かぶと思います。
「それで、何で『地球外生命体の探索に影響を与える宇宙生物学上の発見』になるのさ?」
これがまさしく今日の本題なんですが、答えは簡単。
「トンデモナイ地球外生命体がいるかもしんない」ということが言えるからです。
もう少し言葉を足していきましょう。
今回の発見は「ある元素を別の元素で代用した」というのが肝になっています。
これはつまり、あくまでも可能性の話ですが、例えば「金属だけでできた生命」もいるかもしれない、ということになります。
これは宇宙生物学の研究にとって、非常に大きなパンチになっちゃうわけです。
今まで宇宙生物の探査には、その星に有機物があるか?とか、水があるか?とかが、とりあえずの物差しになっていました。
火星の探査でも、氷がある!生命がいるかも!なんて話をきいたことがありますよね?
つまり地球の生物を基準にして、それに合う条件を探してきたわけです。
ところが、地球の生物の常識を覆すような環境でも生命がいる可能性がある、ということになったら、サァ大変。
今までは「こんなとこにはいねぇだろう」と思っていた所にもいるかもしれません。
金属が溶けているような非常に高温の星でも、液体状の鉄を水の代わりに使うような生物がいたっていいわけですから(ちょっと言い過ぎましたが)。
そんなワケで、今回の発見は非常に意義のあるもの……なんですが、これが嘘か誠かはまだまだ分からないのが現状です。
研究者としてあまりに信じきれない内容なので、これから検証が重ねられていくことになります。
結局分からず仕舞いかよ、と思うかもしれませんが、これが科学の真髄と言っても良いのではないでしょうか?
果たしてそれが真実か、他の人達によってチェックが入るという点で、嘘がまかり通ることなく正々堂々勝負できる「科学」って、私は好きですよ。
とまぁ、話が脇道に逸れてしまいましたが、今回はこれでお開きとなります。
「何かココが分かりづらい」というのがあれば、是非お教え下さい。
なるべく多くの方に理解して頂きたいので、参考にさせて頂きます。
次回もご要望があれば、葦沢亀は喜んで製作いたしますよ!
では、最後までお読み頂きありがとうございました。
今回書いた内容は、あくまでも葦沢亀個人の考えであり、絶対ではありません。
また、私が知っていた知識・用いた例が誤りである可能性も十分ありえます。
とにかく、言いたいのはただ一つ。
「ネット上の情報は、鵜呑みにしちゃいけません!」
(これ言っとかないと、あとでどうなるか分からないので)
K.Ashizawa