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琥珀色の光彩  作者: 柊。
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慈しみ

 「私生まれ変わったら猫がいい!」私がそう呟くと彼は「縁起でもない。俺たちまだ20代だぞ。」少しむっとした彼を横目に私は軽い足取りでスキップをした。夕焼けを背に帰路に就く中、私は彼に一つの質問を投げかけた「もし、明日地球が滅びるなら、日向はどうする?」ひょんな質問に彼は無機質に「ありえない」と返した。私は息が詰まり、言葉が喉の奥で凍りついた。



 「美玖!こっちこっち!」「ちょっと由紀!まだ集合の30分も前だけど!あんたって意外とせっかち?」今日は美玖とデート!久しぶりに会う幼馴染は昔よりも大人っぽいが幼いころの面影がしっかりと残っており、なんだか安心した。「あんたが突然呼び出すなんてらしくないじゃん。」「そういう美玖だって私にいつも『会いたいよ~』って送ってくるくせに。」他愛もない話しを一通り済ませると日差しも強かったため、近くの喫茶店に移動することにした。「で、本題は?もしかして!まだあの話あいつにしてないの?」「あはは、美玖は鋭いね…なんてね。」幼馴染には何でもお見通しらしい。私が言葉に詰まっていると「いつか言わないと由紀もアイツも一生後悔すると思うよ。」と美玖が言った。



「もって一年でしょう。」医師から発せられた一言が私の心臓を貫いた。数多の処方箋の束を抱えた私の足取りはまるで足枷を嵌められたかのように重たかった。「おう、由紀。こんなところで遭うなんて奇遇!」彼は私の暗い表情を汲み取ったのかやけに明るい声色で私に声をかけた。「日向も買い物か何か?」ぐっと詰まった喉からは少量の文章しか絞り出せなかった。



いつからだろうか、残された日々を数えるようになったのは。彼に留学と噓をつき離れた時、彼は戸惑いと強い動揺を見せたが、私はそれを理解だと信じることにした。私にできることは何かを考え、彼に一枚便箋を送ることに決めた。日々弱っていく力に抗うように不器用な文字で精一杯筆を走らせた。一文字一文字書く度に琥珀色の記憶が流れるように頭の中を巡る。目頭がほんのり発熱する。「伝えないと後悔する。」そんな思いを胸に書いては便箋を丸め、書いては丸めるという工程を幾度も繰り返した。




嗚呼、いつかまた君と。


今度は最後まで。


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