表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルー インフェルノ メテオーラ 蒼い業火に焼かれた魔女は守護天使と転生する  作者: 暁月シナツ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/41

40.ルビーと再会2

「ルビーは今は、わたくしの専属占い師をしているのよ」

 王族の専属であれば表には出てこれない。街の占い師を探しても会えなかったわけだ。

「そうだったのですね」

「今日はわたくしの事はシャシャと呼んでくれるかしら?」

「承知しました。わたしのことはメリッサとお呼びください」

「敬語はなしよ。友達っぽくしてないと変じゃない!」

「う、わかりまし、わかったわシャシャ」

 王女のペースにすっかりのまれてしまった。 


「今日は護衛の方は?」

 王女の側には、ルビーしかいない。女騎士のブリジットがついてくるものと思っていた。

「ルビーが一緒に付いてきてくれるわ」

「ルビーお姉さまが?」

 メリッサはルビーには会うだけで、一緒にお祭りにまで行くとは聞いていなかった。


「俺は影で護衛するからな」

 アレイは同行しないと言う。それだと王女の側にいる護衛が二人になる。ルビーは魔法術師としては強いと思うが占い師で、メリッサは素人だ。戦力的に問題があるのではないだろうか。きっと周囲には一般人に変装した護衛騎士達が、沢山潜んでいるのだろうけれど、正直メリッサには荷が重い。


「もう一人、マキシム・サルバドル卿が同行する」

 メリッサの懸念を察したかのように、ルビーがさらりと告げた。

「な、なにそれ、聞いてないわよ!」

 王女が驚いて、ルビーに向かって詰め寄った。

()()頼んでおきました。占い師の私ではあなたを守る自信がありません。彼が一番適任です」

 ルビーは有無を言わせぬほどの、笑みを浮かべてさっと手を上げて合図を送った。

 すると、人混みの中から、一人の男が近づいてきた。


 護衛騎士団長のマキシムは騎士姿ではなく、紳士の服装で現れた。彼の鍛え抜かれた体躯と精悍な顔つきは男らしさが光る好青年に見える。

 マキシムは王女の前で、礼をした。

「殿下、本日は私が側で護衛致します」

「サルバドル卿。殿下ではなくシャシャと呼んでください」

 ルビーの指摘に、マキシムはわずかに眉間にしわを寄せる。

「御身を守るために、シャシャ様と呼ばせていただきます」


 王女はマキシムが現われてから固まっていた。マキシムの姿に見惚れていたのだろう。名前を呼ばれた瞬間顔が真っ赤になった。

「し、仕方ないわね。お仕事だものね。マキシムが一番強いからついてきてくれるのよね」 

 王女は赤くなった顔を隠すかのように、くるりと後ろを向いた。


「じゃあな、四人で楽しんで来てくれ」

 満面の笑みで、アレイが立ち去ろうとする。

 メリッサは、アレイの腕を掴んで止めた。

「なんだよ?」

 メリッサは先ほどから、体に違和感を感じてた。特に胸のあたりがそわそわするし心臓がドクドクと走ったわけでもないのに心拍数を上げていた。それでいて頭はふわふわする。


 小声でメリッサはアレイに言った。

「さっきから、胸が苦しくて、不整脈でしょうか?」

 胸に手を当てるとその振動を感じるくらいに、どきどきしている。 

「は?不整脈だって?」

 アレイは、ルビーから目が離せないでいるメリッサの顔を覗き込んだ。それから何かに納得したように笑った。

「ああ。よかったな相棒」


 アレイの(やわ)らいだ表情の意味するところが、メリッサにはわからない。とにかく苦しい胸の鼓動を押さえるために目を瞑った。そのためメリッサは気が付かなかったが、アレイは、殺気だった視線を笑って受け止めた。

 紅い瞳の金髪美女が、射殺す勢いでアレイを睨みつけている。

 その殺気には「さわるな」「はなれろ」といった念が滲み出ていた。


「そういうのはな、占い師のルビーに相談するといいぞ」

 そう言って、アレイはメリッサの手をほどいて、ルビーの方へトンと背中をおした。

「メリッサどうかしたのか?」

 絶世の美女のルビーに手を取らてれて、見つめられた瞬間、メリッサは恥ずかしさがこみあげてきてうつむいた。

「いいえ、多分ただの心臓疾患です」

「なに?」


 ルビーに近づいた瞬間、さらに鼓動が激しくなった。メリッサは平常心を取り戻すために、師匠の家を破壊したときのことを必死で思い出し、借金返済の四文字を脳内で唱えた。それから、資材庫の木材の名前を呪文のように唱える。

「借金返済・借金返済・借金返済、もみの木、杉の木、栗の木、菩提樹(ぼだいじゅ)黒松(くろまつ)赤松(あかまつ)高野槙(こうやまき)!!!」

「メリッサ落ち着くんだ、魔力が溢れてる」


 メリッサの手は、ルビーに一瞬強く握られた。魔塔の魔法術師は己の魔力が他の魔法術師に認識されないように普段は隠している。それが、見えるくらい動揺していたらしい。ルビーが何かしらの魔法を使ったのか、手を握られた瞬間から、頭に上っていた熱が少し下がった気がした。それでも、メリッサの胸の鼓動はおさまらなかった。


「サルバドル卿、多分この四人の中で一番まともなのは卿だけだから、頑張れよ」

「こんな仕事は初めてだ」 

 アレイと護衛騎士団長は、今日は長い一日になるだろうと予感したのだった。

 そうして、四人はメテオーラの春祭りにくりだした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ