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ブルー インフェルノ メテオーラ 蒼い業火に焼かれた魔女は守護天使と転生する  作者: 暁月シナツ


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16.メリッサ2年前回想 月の女神の提案

 満月の夜、占いの館での仕事を終えたメリッサは、月に向かってベッドの上に座り祈りを捧げていた。


「どうやってお金を稼げばいいでしょうか、家もなくなりました。学費も貯めなきゃいけません」

 昼間は仕事に集中できるし、店のみんながいてくれるので不安に感じることがなく過ごせていたが、夜になるとどうしても、不安になる。


「蒼玉の娘よ、いい方法があるわよ」

 突然声が聞こえた。

 メリッサは驚いて目を開くと、月光をまとった女神が現れたのだ。


「わたくしは月の女神アルテミス。蒼玉の娘よ、わたくしが知恵をさずけましょう。」

 ゆたかに波打つ薄金色の髪に、くりっとした金色の瞳。まさに神々しい女神が微笑んでいる。

「月の女神さま」

 メリッサは精霊や、自然物に宿るものたち、年数を経て魂が宿った物や、人間の思念が込められた物などの、人の目に見えない存在を視たり話したりすることができた。


 メリッサのもつ蒼い瞳がその不思議な力を宿している。

 この神々しさ、初めて女神なる存在に出会い鳥肌が立つ。

「わたくしが作り方を伝授するから、運命の恋人がわかる秘薬を作るといいわ。人間は恋愛に忙しい生き物だから大儲けできるわよ」


 恋愛未経験のメリッサにはピンとこないが、女神が大儲けできると言い切っている。

「毎晩月に向かって恋愛がうまくいくようにとか、好きな人に振り向いてもらいたいとか祈ってる乙女が沢山いるのよ。面白そうだからたまには私も願いをかなえてあげようかなって思って。」

 女神いわく、人間のいわゆる恋バナがたいそう面白いらしい。


 女神は「恋バナ」と「大儲け」など下界の営みについてメリッサよりも詳しく知っていそうだ。メリッサは儲けられるという一点で、女神の言うとおりにやってみようと安易に決めてしまった。

 月の女神は喜んで材料と作り方をメリッサに伝えると、月光だけを残して消えていった。

 それからが、大変だった。


 翌朝、ちょうどマルグリットから休みを取るように言われていたメリッサは、早速月の女神の秘薬の材料を集めるために出かけることにした。


 西の森の泉に水を汲みに行かなければならない。雪がその日は降らず、冬なのに暖かいのが幸運だった。これなら森に入れる。


 月の女神が森にいるものたちに命令しておくから迷うことはないと言っていたが不安だった。

 しかし、言われた通り何事もなく、森に入ってすぐに泉にたどり着くことができた。泉の女神が現れたときはメリッサは腰を抜かしてしまいそうになったが、親切な女神はすぐに水をくれた。


 帰り際に泉の女神から、次からの森の入り方をこと細かく教えられて、月の女神の遊びに付き合うのは大変だけど、きっといいことがあると励ましてくれた。


 森を出てから、月の女神が指定した雪原にいくと、一輪だけ季節外れのムーンドロップが咲いている。

 メリッサは祈りをささげてから、ムーンドロップを採った。


 夕暮れになって占いの館にやっと帰ってきたメリッサは、マルグリットに帰るのが遅いと叱られた。

 自室に戻り水と、ムーンドロップを取り出す。他に必要なのは、ブランデーとレモンの精油。

 レモンの精油は魔導具店で購入してきた。ブランデーはキッチンにあったはず。


 メリッサはこっそり休憩室の様子を探る。誰もいない。

 キッチンの戸棚の中にあるお姉さま方の夜のお楽しみのお酒たちがしまわれている棚を開けた。

「ブランデーっていったいどれなの?」

 あまりにも種類が多すぎてよくわからないので、ラベルを一つずつ確認する。


「なにをしてるんだ」

「きゃっ」

 メリッサは小さく飛び跳ねた。

 ルビーがメリッサの持っていた酒瓶を取り上げる。

 メリッサはまったく気が付かないうちに、ルビーに背後に立たれて驚きで心臓が口から出そうだった。


「子どもが飲むものじゃない」

 棚を背にしてルビーに囲われた状況になったメリッサは、悪いことをしてバレた子どもの心境だった。

「飲みません、おまじないに使うんです」

「おまじない?」

「あの・・・・恋のおまじないグッズをつくるために、ブランデーを少々」

 ぎりぎり嘘ではない言い訳をした。


「てっきり君がグレようとしているのかと思った。帰りも遅かったし」

「グレたりしてません」

 メリッサより頭一つ分以上背の高いルビーは、視線を合わせるためにかがむ。

「ブランデーはこれ、絶対飲まないこと」


 何やら高級そうなラベルが貼られた小さい瓶を手渡された。

「ありがとう、ルビーお姉さま」

 メリッサはルビーにハグして礼を言うと、すぐに自分の部屋へ駆けこんだ。


 材料がそろったので、月の女神に教わった通りに調合する。

 水にムーンドロップの花を浸して魔素を転写する。それから防腐剤がわりにブランデーを少量入れ、香りづけのレモン精油を2滴加える。

 最後に月の女神が直伝の呪文を唱える。 

 小瓶が月光色に発色し、秘薬が完成した。 


「ほんとうに、効くのかな」

 恋したことがないメリッサにとっては、秘薬の効能すらはっきりわからない。

 服用することで、運命の相手が現れて、一時両想いになれる。


 運命の相手だとどうしたらわかるのだろうか。一時両想いになっても、薬の効果が切れたあとはどうするのだろうか。

 期待していた人が運命の人でなかった場合、あきらめる?そしてそれは失恋したことになるのだろうか。


 それでも、この秘薬は月の女神がいうには儲かるのだ。つまり、欲しがる女子がいるということだ。

 自分で試すのはためらわれた。これは実際にお客様に売ってモニターになってもらおう。

 メリッサは遠出して疲れ果てていたので、後のことは明日考えようと決め、その晩はぐっすり眠った。


 

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