3/6
三つ目の音
その日から、私ときよちゃんは、毎日放課後の音楽室でセッションするようになった。
ある日、私たちの歌とピアノの音に導かれるように、ひとりの少女が姿を見せた。
ヴァイオリンを抱えたその子は、宇奈月利美ちゃん。
息を呑むほどの美少女で、きよちゃん曰く「日本の宝」の子供らしい。
聞けば、彼女の父親は有名なヴァイオリニストで、日本の宝なんだそうだ。
そんな利美ちゃんが、少しだけ緊張した声で
「クラシックだけじゃなくて、いろんなジャンルの曲を弾いてみたいの。ここで、一緒に弾かせてもらってもいい?」
と言い出した。
その一言に、私ときよちゃんは顔を見合わせると、同時に笑って頷いた。
こうして、二人だけだったセッションは三人になり、音が重なり合って、世界が少しずつ広がっていった。
そんなある日、音楽室の利用を許可してくれていた先生が、
手に一枚の紙を持って私たちの前に現れた。
「文化祭のステージ、出てみないか?」
その言葉に、胸が大きく鳴った。
それはまるで、夢が現実へと“響き始めた音”だった。
この日、音楽が大好きな仲間たちが集まって生まれた私たちのバンドに、
『音葉~おとは~』という名前がついた。




