第9話 脱出計画始動!? 筋肉収容所からの大脱走!
──筋肉収容所・モモヒキ支部。
通称“脱出できない謎の監獄”。だが信長たちは、今その名を覆そうとしていた。
「皆の者、聞いてくれ……我ら、脱出を試みる!!」
「えっ、今さら!?」
「むしろ今まで出る気なかったんかい!」
発案者は、まさかの信長。
「いやさ……そろそろ限界なの。俺の腹筋が……」
「ついに根を上げた! しかも理由がしょうもない!」
──だが、収容所には厳重な警備。魔法結界、筋肉ゲート、そして最強の門番・バーベル兵長。
「バーベル兵長、めっちゃベンチプレスしながら門の前に立ってるよ……あれ門番っていうか、ジムの幽霊じゃない?」
「信長様、あれに正面突破する勇気は?」
「あるわけないじゃん、俺だよ?」
そこで立ち上がるのが、酒瓶片手の上杉謙信。
「裏口があるぞ」
「あるんかい!!!?」
「地下ルート、拙者が転生してから1週間かけて掘った」
「どんな転生初動!? 最初にやることそれ!?」
というわけで、収容所脱出作戦が始動。
【作戦概要】
・ルート:謙信による“地下焼酎トンネル”
・時間:バーベル兵長がプロテイン補充で席を外す夜20時
・手段:静かに、なるべく筋肉を使わずに進む
「筋肉使わずって条件がもうこの場所に向いてない!」
作戦に備えて、装備を調達。
「武器はどうするんです?」
「ねねがイモ魔法あるから、それで戦闘はカバー」
「イモ万能すぎない? うちのパーティ、イモ依存度高すぎだよ!」
「私は“農耕系ヒーラー”ですから」
「新しい職業カテゴリ生まれてない!?」
夜が訪れる。静かに、慎重に、信長たちは地下への入り口へ。
「ここか……謙信、あとは任せる」
「拙者におまかせあれ。地下でも飲むぞ」
「お前は飲まなくていいから黙っててくれ!!」
信長たちはトンネルへ潜り込む。
だが──
「うっわ、くっせ! なにこれ!? 焼酎!? 土壌がアルコールで浸されてるんだけど!?」
「拙者が通るたびに、飲み残しが……」
「異世界、環境汚染の方向性おかしいからな!?」
そしてトンネルの先に現れたのは──
「なんか……光ってる……」
「こ、これは……異世界の伝説の果実“金のイモ”!?」
「またイモ!? 脱出してもイモから逃げられない世界なの!?」
* * *
地下トンネル。焼酎が染みこんだ土壌、漂うアルコール臭、そして謎に光る“金のイモ”。
「これが……金のイモ……!」
「見た目だけで言えばただの金色のサツマイモなんだけど……?」
「でもめっちゃ神々しいっすよ。なんかラスボス級の気配あるし」
「なんでラスボスがイモなんだよ!!」
信長がそっと手を伸ばす。
「これ……取っても大丈夫か?」
「ダメです!!」
「だよねー!?」
しかし、時すでに遅し。
金のイモに触れた瞬間──トンネルがゴゴゴと震え始めた。
「な、なにこれ!? 地震!? 握っただけで地盤崩壊!? どんなイモだよ!?」
「信長様ァァァァ! なぜそんな軽率にイモを握るううう!!」
「俺、イモに呪われる人生なのかもしれない……」
そして崩れた壁の向こうから現れたのは──
「待てい、逃亡者ども!」
バーベル兵長・地下強襲モード。
「お前、なぜそこに!? 門番って地上担当じゃなかったのかよ!?」
「我が筋肉に“領域”などない。どこでも行ける。それが筋肉主義!」
「うるさい筋肉至上主義来たーッ!!」
バーベル兵長、両手にダンベル。額にプロテインタトゥー。
「出所したければ……我を超えてみせい!!!」
「そんなRPGみたいなセリフで地下戦闘始まる!? いやもう地下じゃなくて筋肉ダンジョンだよこれ!!」
戦闘は開始された。
が──信長、当然戦えない。
「ひぃぃぃ! 魔法使えないし! 逃げ足しかねええ!!」
そのとき──謙信が焼酎のボトルを掲げる。
「飲ませろ、信長。貴様もまた、“酒の力”を思い出すとき……」
「いやいやいや!! 飲んだら俺、人格変わるじゃん!? ギャグじゃ済まないやつになるじゃん!?」
「今それしか道はない!」
「むしろお前が飲めよ! 酒強いのお前だろ!!」
「飲んだ。もう二本目」
「早ぇええええええ!!!」
──だが、バーベル兵長の拳が迫る!
逃げ場はない! 信長、ピンチ!!
そのとき、金のイモが突如発光!
「え!? なにこれ!? イモが、勝手に俺の口に入っ──もごもご」
もぐもぐ。
ごくん。
「う、うわあああああああああああああ!!! なんか体の中、燃えてるーッ!!」
バーベル兵長「な、なにっ!? 魔力が……上昇している……!」
ねね「信長様!? まさか金のイモ、魔力回復効果が!?」
信長「うああああああ……! 俺……今なら……魔法使える気が……するううううう!!!」
──その瞬間、信長の周囲に業火が舞う!
「なんだこれは!? まさか、伝説の……」
「そう! 我が魔法! 酒が入ってないのに出た魔法ッ!!」
「名前は!? 魔法名は!?」
「【ちょっと出ちゃった獄炎(仮)】!!」
「なんかダサいけど燃えてるーーーッ!!」
バーベル兵長「ぎゃああああああああ!!! 収容所長ォォォ!!!」
……ドゴォォォォォォン!!!
その爆炎の中──
信長「俺たちは、自由だあああああああ!!」
ねね「脱出成功ですぅぅぅううう!!!」
謙信「酒、うまい(バク睡)」
信長たち、ついに脱出成功!
だが、焼け跡には謎のマッスル文字が一つ──
「次は“収容所・フンドシ支部”で待っている……」
「続くんかーーーーい!!!」