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裏でこそこそやるな

美少女ロリな最強ドラゴンが激おこ。

ふざけた真似をしたエリートドラゴン(エリドラ)達をフルボッコ。

当然エリートドラゴンのトップ(エリドラT)もボッコされたが、前歯が折れたその口から翼が異世界からやって来た事を指摘する。

 えっ、何で知ってんの? 


「図星か、夢とばかり思っていたが、まさか本当とは……」

「どういうこと?」

「ふん、特別に教えてやろう」


 何か気に食わない言い方。

 いいよ教えなくて、と言ってやろうかと思ったが止めた。


「何日か前、昼寝中の夢で声がした」

「声? ってどんな?」

「男のような女のような、そんな声だ。そいつは“TSガンを手にした異世界の人間が来るだろう”と言った」


 マジか、俺こんなセリフ一切考えてないし作ってもないぞ。


「そしてこうも言った。“その人間はマドリーを仲間にしていくだろう、だがそれだけでは魔王に勝てない”と」


 あいつだ。

 俺と碧をここへ送り込んだヤツの仕業だ、わーお。


『どうしたの翼~? Tが何か驚くこと言ったの~?』


 何アホっぽい顔でニヤけてんの、こっちはそれ所じゃないんだけど。


「翼殿ー、碧殿ー」


 マドリーがお子様走りでこっちに来た。


「見てくださいなり、それがしながらよく描けたなり!」


 エリドラAに凌辱ポーズを取らせて描いた様々なラフ絵を見せる。


『ちょっ! それ、えっちぃ過ぎない~?』


 両手で顔覆ってるけど指の隙間からガン見してるのバレバレだからね、碧。


「ホント、プロ並みに上手いよ」

「むほほっ、照れるなり」

「これだけ上手く描かれたんだから、モデルになったエリドラAも本望だよ」

「むほ? モデル?」

『ちょっとマドリーちゃん、あのAをモデルにしてコレ描いたんでしょ』


 碧の指先に目をやったマドリーがぴょんと飛び上がった。


「え、エリドラさんたちが!……な、何があったなり!?」

『え? ちょっとマドリーちゃん? まさか自分が何やったコト覚えてないの?……ねえ翼、どういうこと~?』

「そのまさかだよ、激おこになったマドリーはその時の記憶が残らないんだ」


 という訳でマドリーにやんわりと経緯を話した。


「た、確かにそれがし、怒って頭が真っ白になると何したか覚えてないなり……」

「でもそのおかげで俺と碧は助かったよ、ありがとう」

『そうよマドリーちゃん! それにそいつら女を道具としか見ない輩よ、ボコられて当然よ~!』


 俺と碧の言葉にも元気のないマドリー。


「あの、お願いなり……エリドラさんたちを……元に戻してくださいなり」

『え~! 何でよ~!』


 いや、本当にマドリーは優しいよね。

 でもさすがにそれは出来ないんだけど、だって二度TSすると大変な事になっちゃうから。


「生れた時からお世話になってるなり、それにこのままだとエリドラさん達他の一族の奴隷になってしまうなり……」


 そうだった! 男性より大きく戦闘力が劣る女性ドラゴンは他の一族の奴隷になって、強制子作させられるんだった。

 ヤバいな、どうしよ……って、強制子作り? 

 なるほど、ならこうすればいいんだ。


『ねえねえ翼』

「何?」

「あれ……ヤバい予感がする~」


 プルプル震える碧の指先に目をやると、無数のドラゴンがこちらに飛んで来るのが見えた。


「むほぉ! 他の一族が攻めてきたなりー!」

『ど、どうするのよ翼~!』


 どうするもこうするもラッキーなんだけど。


「ど、どうすればいいなり」

「ここは俺に任せてよ」


 口から濁流の様に涎を流すマドリーの肩を叩いた。


「翼殿……」

「ところであそこにいるドラゴン全部男性?」

「むほ? た、戦いに女性は連れて来ないからそうなり」

「他の一族全部来てる?」

「そ、そうなりね……族長が揃ってるから多分そうなり」


 なら問題無し。


「おいおい、こいつらへばってるがどうしたんだ?」

「知るか、それより見ろよ、こいつらマジで女になってやがる」

「あの三人の野郎共、やたら息巻いて話してたが本当だったとはな」


 三人の野郎共? それってエリドラを見捨てた男体化ドラゴンの事か。

 他の部族を利用して仕返しとか、相当恨んでたんだろうな。 


「それにしてもこいつら笑えるな、女など惨めな姿になりおって」


 は? 

 女が笑える? 

 惨め?


「そこまで言うな、子を産む道具は貴重だ、部族ごとに分けようではないか」


 子を産む?

 道具?


「腹立つんだけどあいつらー!」

『ちょっ、翼~?! ひょっへ~!! あいつらこっちに気付いたわよ~!』

「何でこんな所に人間が?」

「んっ? おい、そこいるのマドリーじゃないか?」

「ほほぉ、人間なんかに姿を変えてるぞ」

「こいつも女になってるようだ、なら恐れるに足らん、コテンパンにして子を産ませる道具にしてやろう」


 こいつらもうダメ、TS決定。


「ドラゴンのみなさーん、ようこそTSの世界へ!」

「このゴミ、何を言って――」

「TSガン、マルチプル! ほら、碧」

『え? ご、GO~』


 お前らこれを食らっても笑える惨めな女性って言えるかな。


「な! 何だこれは!? ぐわっ!」


 ビーム全弾命中、TSへの通過儀式であるムズジワ感に巨体を転がすドラゴン達。


「むほー……さっきの翼殿、とっても怖かったなり」

「え? いや、その……俺って女を見下すヤツ見ると、すげえ腹立って頭の中が真っ白になっちゃうんだ」

「むほっ、それがしと同じなりね。ところで翼殿」


 体から虹色の光りを放って絶賛TS中のドラゴン達に目を向けるマドリー。


「みんな女体化するなり?」

「うん、要は戦闘バカで征服欲が強いドラゴン族の男を全部TSしてしまえばいいんだよ。そうすれば子作り不可、戦闘する気も征服欲も激減してめでたしめでたし」

「むほぉ、ド、ドラゴン族がみんな女性に……」

「うん、悪いけどこれが一番いい方法だと思うんだ」

「全然悪くないなり!」

「え?」

「ドラゴン族をみんな女性化なんて! むほっ、むほほ、何か凄く興奮するなり!」

「あーそれ何となくわかる」

『ねえねえ翼~』

「何?」

『ドラゴン全部女性にして大丈夫なの~? 子孫残せなくて絶滅するんじゃないの』

「いいんだよ、ここは俺の作った世界だから」

「むほ? 翼殿が作った世界?」


 やばっ!

うっかり口を滑らせる間抜けな翼。

そういう時は意味も無く胸をぽろんと出せば簡単に誤魔化せるぞ。

ああっ、その流れで書けばよかった!

という訳で次回「TS漫画ファンに会いに行こう」に続く。


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