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女体化ドラゴン

上からな臭いが凄いエリートドラゴンにブチ切れ、とまではいかないけど怒ったつばさがTSビームを発射!

 発射された赤と青が絡み合ったビームが幾重にも分かれて飛んでいく。

 これぞ宝箱でゲットした複数同時攻撃スキル、TSマルチプル! 

 よっし、ビームがドラゴン全部に命中したぞ。


「ぐっ、ぐおおお!?」

「な、何だこれはー!?」


 どうですか? 全身のツボを押されたようなむず痒い感覚でしょ。

 これが女体化への通過儀式だよ。

 ドラゴン達の体がゆらめく虹色に変わり、シュワーっと炭酸が弾けるような音がして……TS完了っと。


「う……うう……こ、これは……どういうことだ!?」


 這いつくばる女体化したエリドラの面々を見ると元がイケメンなせいか全員美女。


「お、お主……女になっているでは……ないか」

「そういう貴殿こそ……女になっておる……ぞ」

「な、なんということ! こんなところを襲われたら……一巻の終わりではないか!」


 這いつくばる美女軍団が頭を抱える姿は様になるな。


『ねえねえ翼~、何であいつらパニくってるの~?』

「ドラゴン族の女性は男性に比べると戦闘力が落ちるんだよ」

『なっるほど~、ぷぷぷ~! いい気味~、どうせなら他の一族にフルボッコされたらいいですよ~だ』

「フルボッコじゃすまないよ、女性は強制子作りさせられるんだけど」

『え!? さ、さすがにそれはかわいそうね……』


 そこへイケボが響いてきた。


「うっわー、すっごいイケメンになってんじゃん」

「あんたこそ逞しくてカッコよくない?」


 声の方を見るとムキムキ男性3人がはしゃいでいた。


『あれって~、もしかしてマドリーと子作りさせようとした女性ドラゴン~?』

「だね」


 そんな3人にエリドラTが凄い剣幕で騒ぎだした。


「お、お、お前らー! 男になったのか!? それなら我らを守れ! いいな、我らを守るのだ、わかったなー!」

「はあ? ふざけないでよ、私らをさんざん物みたいに扱ってたクセに」

「そうそう、どうしてもというならしっぽを真上に立てて土下座しなさいよ」

「なによ、その目! 行こ行こ、こいつらなんか無視してどっか行こ!」


 当然なことを言い返した3人がは背中の翼で灰色の空へ消えて行った。


「こらっ、待て! いや、お待ちください! どうか! どうか我らを守ってくださいー!」


 さっきまでの偉そうな態度はどこへやら、エリドラ達が身も蓋もない感じで追いかけていった。

 しかしこんな展開になるなんて。

 本当はマドリーが怒鳴られ叩かれてる所へ俺登場、俺に襲い掛かろうとするエリドラ達の前でマドリーをTS、俺をTS神に選ばれし者と認めてマドリーを引き渡す、という流れのはずだったのに。


『ちょっと、翼~!』

「何?」

『あれ見なさいよ~!』


 エレベーターボタン連射みたいな指先の向こうに女体化したマドリーの姿があった。


『麗しのマドリーちゃんが女の子になったでしょ~が!』

「いいんだよ、ちょっと早いけど女体化する事になってんだから」

『いい訳ないでしょ~が! 早くマドリーちゃんを激かわショタに戻してよ~!」

「あのね、これ俺の作ったTS百合ゲームだから。ショタなんて概念存在しないから、ってか女体化した感想を聞かなきゃ」


 やだやだー、ショタがいいー! と肩までのショートヘアを振り回す碧を無視してペタン座りのマドリーに近づいた。

 俯いてるので断言出来ないけど、むっちゃロリ美少女の予感、わおっ。

 しかしこんなに近づいてるのにまだ気づかないの? もしかしてさっきのドタバタで呆然としてるとか。


「おーい、マド――いてっ!」


 何っ、見えない壁に当たったんだけど!? ってこれマドリーの体? 擬人化でこう見えるけど、実際はでっかいドラゴンだった。


「ギジギジストップ!」 


 擬人化で見える効力を解除。


 わおっ、でかっ!


「おーい、マドリー!」


 十分距離を取って呼びかけた。


「何なり?」


 こっち向いた! って、なりって何?


「むほっ、人間さん? ちょっと待ってなり」


 マドリーの体がぐにゃっと歪んだ。

 そしてみるみる縮むと少女の姿になった。


「人間さん、どうやってここまで来たなり?」

『ちょ、翼~! マドリーちゃんに何か着せてよ~』


 碧の声にマドリーが自分の体を見た。


「むほ? むほほ?……むほーー!?」


 いやその「むほ」って何?


「それがしのアレが消えてるなり!! ど、どうなってるなり、むほほー!」


 TSしたんだよ、良かったね。

 そう言いたい所だけど、自分の体を触りまくるマドリーのテンションに言い出せない。


『翼~! 麗しのマドリーちゃんだと思ったのに~、どうなってるのよ~!』

「お、俺もちょっとわかんない」

『あんなに自分の体触って~、何かいかがわしい感じでしょ~が! ちょっとどうするのよ、コレ~!』


 麗しのマドリーちゃんからコレ呼ばわりとか。

 しかしおかしい、慌てた時マドリーは「はわわ」と言うはず。

 何で「むほほ」とかキモい口調なんだろ。 


「あの……マドリー?」

「むほっ!? お、お主達がやったなり? むほっ、何でそれがしの名を知ってるなり?」


 言いながら涎垂れまくってんだけど。

 っていうか「お主達」とか「それがし」とか何でオタ口調になってんの?

 とはいえ金のショートウェーブヘア、そして可愛らしいロリ顔にギザ歯。

 作成素材から選んだアイコンとは比べものにならない超絶美少女なのは嬉しいんだけど。


「えーっとね、タルバル村の宿で読んだTS漫画にその名前があったから知ってるんだよ」

「むほ、あの漫画を読んで会いに来てくれたなり?」

「うん、村の人達に聞いたらこの山に居るって言われたんだ」


 レベル1では間違いなく行けない村だけど、そこで交わされる会話を俺は知っている。

 これぞ製作者ならではの攻略。


「う、嬉しいなり」


 立ち上がったマドリーが手を握ってきた。


「俺、翼っていうんだ、よろしくね」

「よろしくなり!」

「で、マドリーをTSしたの俺なんだ」

「むほ! どうやってなり?」

「実はその、俺……TS神に選ばれた者なんだ」

「TS神に選ばれた者なり!? 本当にいるなんて、神話とばかり思っていたなり!」

「漫画読んでわかったよ、マドリーがTSして美少女になりたがってるの」

「そ、そうなり! 毎晩夢に見る位そうなりたかったなり! 夢を叶えてくれてありがとうなり!」

「いいよ別に、それより今の気分はどう?」

「最高なりよ!」


 金色のショートウェーブヘアをなびかせ、その場をくるくる回る。

キモオタなショタドラゴンが超絶美少女ロリになるというTS女体化。

とはいえキモオタに美少女ロリの肉体は誰もいないとこでセルフ身体検査必至。

という話はもっと後、次回「マドリーとエリドラTの話」に続く。


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