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最強ドラゴンを仲間にしよう

何故かTSガンとなった幼馴染の碧を撫で撫でしたらセクハラ確実な箇所だったのか、TSビームを撃たれた翼。

自分のアイテムに危機一髪とか草生えるのだが、ここから主人公らしい事を始める翼だった。

「何すんの!? って、お前動けるの!?」

『ア、アンタが変なとこ触ったからでしょ~が!……あれ、そういえば向き変わってる~?』


 マジか……自分で動いて撃てるのか。


「あのさ、碧、もっかい動いてくれる?」

『え? うん、わかった~』


 ウィンドウの中で踏ん張り顔になった。

 何かウケるんだけど。


『う! う~~~ん! ふぉっ! うっ、うう~~ん! あれ~? ふんぬ~~~っ! ……ハァ、ハァ……ダ、ダメみたい……』


 何だ、たまたまか。


「ともかく、いくら半狂乱になっても勝手にTSビーム撃っちゃダメ、いい?」

『もう一回撃てばもとに戻るから別にいいんじゃないの~?』

「わーおっ、何言ってんの、そんな簡単なもんじゃないんだけど。いい? TSして更にTSすると記憶が消えるの! 全部だよ、全部」

『ええ? 何よそれ~、何でそんな仕様にしたの~?』

「TSはファッションみたいにコロコロ変えるもんじゃないの」

『変な縛りキモ~!』


 重みのあるTSの尊さを何一つ理解できないようだよ、かわいそうに。

 まあいいや、サクサクっとゲームを進めよう。


『ねえねえ翼~、どこ向かってのよ~?』

「タイムリミットがあるからまずは街に寄って、それからドラゴンの巣に行くの」

『ドラゴンの巣?』

「そう、ゲーム終盤で仲間に出来る最強の仲間がいるの」

『ちょっと~! アンタまだレベル1でしょ~が、そんなトコ行くの無理に決まってるでしょ~が~!』

「ちんたら序盤しかプレイしてないお前にはわからないだろうけど、俺の作ったこのRPGはめちゃくちゃ自由度高いよ」

『自由度~?』

「そう、条件クリアしないと新しいフィールドに進めないゲームと違い開始早々どこでも行けるの。魔王と戦うことだって出来るの、辿り着く前にゲームオーバーだろうけど」

『へ~、だからレベル上げしなくても最強の仲間を加えることが出来るってことね~』

「その通り」

『でも大丈夫~? その仲間、ドラゴンの巣とかヤバそうなとこにいるんでしょ~』

「うん、まあパーティレベルが40超えなきゃキツイ場所」

『アンタまだレベル1でしょ~が! どうするのよ~?』

「俺はこのゲームの製作者と言ったでしょ、これから最短のクリア方法を見せるから」

『は~い』


 まずはカジノへ行く、メダルを稼いで景品をゲットする為。

 選ぶゲームは短時間で結果が出るスロット。

 そしてここからが裏ワザ。

 スロットが回ってる間に素早くステータス画面開き、あらかじめ買っておいた薬草を使うの。

 こうすると必ず3っつの図柄が揃うの。

 そうやって稼いだコインで景品のステルスジェルを大量入手。

 え? 経験値を3倍にするアイテムあるでしょーが、それと交換しなさいにょー! だって? 

 あのね、それと交換するには膨大なコインが要るの。

 スロットをガコガコ回してる内にタイムリミット、即ゲームオーバー、わかった?

 うん、わかればいいの。

 じゃあ続き。

 

 ステルスジェルを使って敵とのエンカウントをゼロにしたままドラゴンの巣へ向かうの。

 途中にある強力な装備やアイテム入ってる宝箱も忘れずチェック。

 ほら、レベル10くらいの強さになった。

 特殊アイテムでTSガンの攻撃バリエーションも増えたし。


「――という訳であっという間にドラゴンの巣に到着」


 高レベルモンスターの骨で埋め尽くされた山頂、周囲の火山から噴き上がる煙で見渡す限り灰色の空。

 想像してたイメージにぴったりだよ、わーおっ。


『ねえねえ翼、ご飯にしましょ~』

「そういや腹減った」


 でっかい骨をベンチ代わりに座った。


『はい翼のハムサンド~』


 碧がウィンドウの向こうからサンドイッチを手渡してきた。

 そっか、カジノの食品売り場で俺に持たせたカゴにいろんなのポイポイ投げ込んでたもんな。


「ありがと、もぐもぐ……んぐっ!?」


 すっぱ! 何これ、ピクルスびっしりじゃん。


「碧、ハムサンドじゃなくてピクルスサンドなんだけど……」

『当然よ~、アンタが移動してる間にあたしが挟んでおいたんだから~』


 碧がサンドイッチを頬張りながらピクルスの瓶を揺らしている。


「何でそんなマズくなる事すんの!?」

『ピクルスは血液をさらさらにしてくれるのよ~! アンタはいつも肉~、肉~、ミ~ト~、ばっかで血液どろどろでしょ~が! だからあたしが健康を考えて手を加えたのよ~、いいから黙って食べなさい~!』


 この世界でもブレないとか、まあいいや、どうせこれ以上何か言っても「健康にいいんだからー!」の無限ループだし。

 ピクルスの味しかしないサンドイッチを食べ終わった俺は手に付いた汁をマントで拭いながら火山灰で視界不良な先を歩き続けた。 


『ちょっ、翼~、何あれ~!』


 急に見通しが良くなった先に円陣を組むドラゴンの姿があった。


「ここがドラゴンの巣だよ、碧」


 わおっ、遠目にもかなりデカイ。


『あの金ぴかなドラゴンが親分~?』


 碧が円陣の真ん中にいるドラゴンを指差す。


「違うよ、金ぴかと向かい合ってる角が欠けてるヤツが親分、っていうかエリドラT」

『エリドラT~?』

「円陣組んでる連中が一族でも有能なエリートドラゴン。そのエリドラを束ねるトップだからエリドラT」

『あ~、そういうことね。じゃあそのTの向かいにいる金ぴかドラゴンは何~?』

「あの金ぴかこそ俺たちの仲間になるドラゴン、そして最強のドラゴン」


 ベタではあるが俺のゲームでもドラゴン族は最強クラスに設定してある。

 そんなドラゴン族の中でも金色の鱗を持つあのドラゴンはめちゃくちゃ強い。

 パラメータ設定しながら「これぞバランスブレーカー」と笑った程強い。

 だがその強さ故の辛いイベントがこれから始まるのだ。


『ねえねえ翼~、このアイテム使おうよ~』


 見ると碧が目薬っぽいのを手にしている。


「何それ?」

『宝箱で見つけた擬人化目薬でしょ~が。これを目に垂らせばどんなものも人間に見える、って書いてあったわよ~』


 むむぅ? そんなアイテム作ったっけ?


『ど~れ、ギジギジゴ~! わっ、すごっ! すっご~い!』


 ギジギジゴーって何? 


 よくわからないけどドラゴンの群れを見て興奮してるから擬人化して見えるのだろう。

 うう、俺も見たい……作った記憶ないのがアレだけど、どうせ消し忘れた宝箱アイテムか何かだろ。


「碧、それ貸して」

『え? ああ、はい』


 こちらに目薬を放り投げる。

 ウィンドウから飛び出したそれをキャッチすると、ラベルに書かれたちっこい使用法を見た。

 

 ・ギジギジゴー! と言ってください、対象が擬人化して見えます。

 ・ギジギジストップ! と言えば解除されます。   

 <効果>一度の点眼で半永久的に持続します。


 なるほど、ギジギジゴーとかストップとか変な掛け声は切り替えスイッチってコトか。

 では両目に垂らして、と。


「ギ、ギジギジゴー……」


 わおっ、全部のドラゴンが角としっぽ生えた人間になってる!

 エリドラTはトップらしく髭面のシブいおっさん。

 他のエリドラ達はどうなってるかな? 

 おー、メガネを指で押し上げるインテリ男に腕組みした格闘家っぽい男、みんなビシッとしたスーツ姿でいかにもエリートな感じ。


『ねえねえ翼~、あそこにいる3人の女の人もエリドラ~?』

「え、女の人? あっ、ホントだ……どうだろ、多分一族の女性だと思うけど、何でいるんだ? 俺のイベントじゃ居ないはずなんだけど」

作った覚えの無いアイテムに微妙に違うイベント内容。

そしてドラゴンたちは何の為に円陣を組んでるのか。

次回「強制子作り」に続く。

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