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幼馴染はTSガン

モヒカンを女体化した翼が突如TS小ばなしを始める。

 この世界に飛ばされて1時間……位かな、でも今のモヒカンゴリラのイベントで確信したよ。

 ここは俺が作ったゲームの中、そして右手にはTS神に選ばれた者しか使いこなせない性転換魔道具、いわゆるTSガンが握られているのでやっぱり俺が主人公。

 とはいえさっきの人に言った“TS神からTSしたい者を救うよう選ばれた者”だけをやるつもりは無いよ。

 真の目的はこのTSガンで俺と同じような百合好き男子を美少女化して仲間にする、そしてキャッキャッウフフな冒険をしながら、最終的に百合の国を作るのが目的だよ。


 男子をTSして美少女化より、最初から美少女を仲間にした方が早くね? 


 そういう考えもあるだろうが間違ってるよ、カップ焼きソバってみんな同じ味だよね、ってのと同じ位間違ってるよ。


 美少女は生まれた時から美少女、だから空気を吸うのと同様モテるのが無意識の当たり前。

 そして百合好き男子はどうかというと恐らくモテない、というか女性とつきあったことすらない。

 そういうヤツはTSに憧れ、美少女になる事を夢見る。

 これは間違いないの、だって俺がそうだから。

 つまりTSして美少女化した俺が生まれつきの美少女を仲間にしたところで上手くいくはずがない、それより俺と同じようなヤツをTSガンで撃って仲間にした方が絶対気が合うよ。

 そうやって作った美少女パーティで百合百合な旅を続ける。


「で、ゆくゆくはTS美少女だけの国を作るんだ!」

『うわ~、キモ~』


 TSガンが耳を疑うような事言ってきたよ。


「え? 何? 何て言ったの?」


 TSガンの上にウィンドウが現れた。

 そこに映るのは幼馴染のあおい


『TS美少女だけの国とかキモ過ぎ~、って言ったんですよ~だ!』

「何回もしつこいんだけど、っていうか何でお前もこの世界来たの? 困るんだけど」

『勝手に送られたんでしょ~が! あたしだってこんなトコ行くか聞かれたら5年前から拒否ってるわよ~!』

「そうだねゴメン、っていうか俺がTSガンって言ったらGO! って言う段取りでしょ、何で守らないの?」

『アンタが勝手に決めたんでしょ~が! っていうかそんなバカなこと言うはずないでしょ~が!』

「バカバカ言ってるけど、そのバカにいつも勉強教えて貰ってるバカは誰?」

『た、たまに教えて貰ってるだけでしょ~が!』

「たまにじゃなく、テスト前いつもでしょ。それもガキん時からずーっと教えてんだけど」

『うっ! そ、そのお礼にいつも料理作ってあげてるでしょ~が!』

「その度うちのキッチンめちゃくちゃなんだけど」

『それ去年までの話でしょ~が!』


 このやり取り、保育園から高二の今までずーっと続いてんだけど。


「もういいよ。どっちもバカでいいんだけど」

『ふんぬ~……まあいいわ~、ところで』

「何?」

『いつになったら元の世界に帰れるの~?』

「何?」

『何? じゃないでしょ~が! あたし、翼の作ったゲームの中にいるのよ~! 何でTSガンとかキモいアイテムになってるのよ~! あ~早く帰りたい! 早く帰りたい~!』


 抱えた頭をぶんぶん振り回してんだけど。


「落ち着いて欲しいんだけど」

『落ち着いてるでしょ~が!』


 それで落ち着いてるなら人類みな落ち着いてるよ。


『アンタこのゲームの製作者だからなんとか出来るはずでしょ~が! でしょ~が~! でしょ~が!』


 俺の従姉妹を彼女と勘違いした時以のパニックモード。

 その時は自分より先に恋人出来たと思ってスイッチ入ったんだろうけど、こうなると面倒臭い。

 でもこいつとは保育園からの腐れ縁、落ち着かせる方法を知っているよ。


「ちょっと碧」

『しょ~が! え? な、何よ~!』

「お話の時間だよ」

『え? なになに~!』


 こいつはお話を聞くのが何より大好き。

 どんなに機嫌悪くともこれですぐ直っちゃうよ。

 ではコホン。



 見習いの百合魔法使いが、目隠のまま森に置き去りにされました。

 何故ならそれは恐怖を克服する試練だからです


『何よそれ! まだ見習いなのに詰んじゃう試練でしょ~が! ってかまた百合キャラ~?』


 耳にはいくつものモンスターの唸り声が飛び込んできます。

 いつもキャッキャッな百合の声しか聞いてない見習い魔法使いは恐怖を抑えきれません。

 たったひとつ使える火炎魔法を撃ちまくりました。

 あっという間にMPゼロ、見習いですから当然ですね。


『大ピンチでしょ~が、てかどうなるの? どうなるの~?』


 見習い魔法使いは素早く目隠しを外すと地面に叩きつけました。


『え~?』


 そして木陰に隠れつつモンスターをやり過ごしながら森を脱出すると、愛しいお姉様が働く百合カフェに向かって駆け出したのでした。

 おしまい。


 

『おしまいって、そんなのあり~? ってか相変わらず意味ない百合ね~』

「うるさいんだけど、百合のないお話なんかそれこそ意味ないんだけど。ともかく、本当の魔法使いになる前に死んだら元も子もないって話なんだけど」 

『つまり~、どういうこと~?』

「つまり慌てる前に状況判断しなさいってこと」

『状況判断か~。この世界は翼の作ったゲームっぽい、くらいしかわからない~』

「っぽい、では無くここは間違いなく俺の作ったゲームの中。つまり俺は状況判断が出来る!……はず」

『じゃ、じゃあ早く何とかしてよ~! 早く帰りたい~! 早く帰りたい~!』


 振り出しに戻ってんだけど!

駄々こね碧にTSガンを放り投げたくなる翼。

そんな彼に邪悪なメッセージが届く。

次回「転移させたヤツからのメッセージ」に続く。


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