表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/557

第85話過激なる愛情から海弟は近衛兵へ……

タイトルは、特に意味はありません。


いや、意味は無いですけど、物語への関係性はあります。

やぁ、僕海弟。

ただいま、不幸街道まっしぐら。

聞きたい?

いや、話させろ。

そして、聞け。


これが俺の生き様だ。





「下がって」


その言葉と共に、兵士達は下がる。

ここは、城の一番上にあるこの少女の部屋だ。

たしか、ネリーと言った。

そして、今まで聞きたかったことを聞く。


「なぁ、お前とネリアの関係は?それと、名前似てるけど何故?」


敬語?

ナニソレ?おいしいの?

甘いものくれるんだったらするよ?


「えっと……」


何で、下を向くかわからない……。

喋りたくないことなのか?


「私の過去……聞きましたか?」

「勝手に祭り上げられたんだろ?」


この時点で、ネリアは傍観者になっている。


「その前は、普通の家で暮らしていたんです。その時からの唯一の友達です……」

「……そうか。名前の方は?」


何か、隠しているような気がしたが、聞かないほうがいいと思い次の質問に移る。


「それは、私がネリアに憧れて―――」

「ネリー様!!」

「……ごめんなさい」

「まぁ、大体わかった。で、お前のことなんて呼べばいい?」

「そうですね~……何でもいいとなると、色々ありますね……。じゃあ、ネリーちゃんで!!」

「バカか?ネリーにする。決定事項だ」

「……聞いたのに……」


一見すると、元気な子供だが、俺にはわかる。

これは表面上だけで、深く傷ついている子なんだと。

俺にだってあった。

母さんが居ないというのは、悲しいものだ。

それに、親父だっていつも家に居ない。

この子の気持ちは痛いほどわかる。


「俺は何をすりゃいいんだ?嘘付いて英雄にでもなればいいのか?」


それは、それで面倒だけど……。


「違います。えっと、海弟は今日から私の近衛兵です。警護に勤しんで下さいね♪」

「……はい?」

「近衛兵です。私を守る人です。貴方以上の強者なんてこの世界にはごろごろ居ますが、あの魔王が認めた”人間”ですから」


あぁ、そんなこともあったな。

だから選ばれたのかもしれないな。


「面倒だな……俺は自由だ。これやるから用事があるとき呼んでくれ」


これこそが、携帯の次世代。

鏡の通信機だ。


「これ……何ですか?」

「まぁ、持ってろ。ということでじゆ―――」

「ダメです。近衛兵はネリー様の近くに居なければいけません」


ダメだ。

俺がこいつの近くにいたら、同性愛者になってしまう……。


「それじゃあ、お願いしますね。お兄ちゃん」


ダメだ。

何がダメかって?

色々だよ。





まだわからないだろうか?

いや、それが普通だろう。

では、考えてみてくれ。


ネリー+俺=セット


これで移動することになる。


ネリー=暇人

俺  = ?


どうなるか?

決まってる。

俺は、暇なのに何もせずこの少女の周りの世話をしなけりゃいけないんだ。

まぁ、そこは妥協するとしても、俺はこの戦争に深く関わっているのだろうか?

否だろう。

何で、いきなり連れてこられて近衛兵なんだよ。

普通は、貴族になって将軍になって、敵を薙ぎ倒して平和を勝ち取るとか(頼まれたってやらないけど)無いのか?


「まぁ、これはこれで安全だしいいか」


今は、主君(ネリー)の部屋にいる。

すっごく暇だ。

何故なら、ネリーはやることが無いそうなので、俺が移動することがないからだ。

ずっと、イスに座ってぼーっとしている。


「ネリー、暇じゃないのか?」

「……え?あ、すいません。聞いてませんでした」

「……暇じゃないのか?」

「いえ、慣れれば……、こんな感じで三年間ぐらい過ごしましたから……」


何で、ネリアがいないとおしとやかになるんだろう……。


「はぁ……」


暇なのに、修行できないって辛いな……。

あ、ちょっと待って。近衛兵って俺一人か?

……寝る時間が無い……。


「まぁ、その時考えればいいか」

「?」

「いや、なんでもない」


ネリーが不思議そうな顔をしたので、そう返す。

それにしても、暇だ……。

遠隔的な魔法が使えないんだったな……。

ネリーにこの世界の魔法って物を聞いてみるか。


「ネリー、この世界の魔法ってどんなんだ?」

「魔法ですか?魔法というのは、体を強化したり、炎を身に纏ったりして、体力の増幅などをするものです。それを総称して魔道と呼び―――」

「すとっぷ、ストップ。いいから。わかった」


永遠に話し続けそうだな……。


「すいません。話し相手をしてくれる人なんてネリアだけでしたから……」


そういえば、そうなのか……。

ネリア自身は一般兵だから会う機会が全く無いのか……。

……いいこと思いついたぞ。


「よし、ネリアに会いに行こう」

「だ、ダメですよ。ここから離れたら怒られてしまいます」


上司を怒る部下……ナニソレ?


「よし、行くぞ」


空中を浮く魔法。

鏡で重力を反射して無効化して、その中心と共に下へ降りていく。

完璧だ。

簡単に省略すると、鏡で浮かべるようになった(自由移動)。


「さて、俺はどうしようか……」


うん、そのままで大丈夫だね。

いや、魔法はかけるよ?


「それじゃあ、行ってらっしゃい」

「ふぇ?は、はひぃいい!!」


さて、俺も――


「第二『林脱』」


ここは、ビル十階ぐらいの高さだけど、『林脱』を使えば一切ダメージなし。

いや、あるけど感じない。それに、使用中は死なない。最強だけど、解く前に治癒で回復しないといけない……。

解いた瞬間に気絶もありえる……。


ふわふわ浮きながら降りていくネリーを追い越し、地面に着地……失敗。


「回復、回復っと」


ネリーが降りてくる頃には完全に回復していた。


「さて、行くぞ」

「だ、ダメですって」

「HAHAHA怖気ついたか!!」

「……すいませんでした」

「え、あ、うん。そうだね」


無理。

この子の相手無理。


「ネリアは何処にいるんだ?」

「そこで何をしている?」

「「ヒッ!!(ビクッ)」」


前よし、右よし、左よし、後ろ……逃走。


「あ、こら。待て。姫様が連れ去られたぞ~~~~!!」

「「「「「「わぁあああああ!!」」」」」」


一致団結!?

す、すげぇ熱気だ。

っていうか、女子の数が圧倒的に少ない……。

いや、♂♀か?


「ほ、ほら」


信じられないといった表情で追っ手を指差す。

でも、俺は逃げ切る自信ありだ。


鎮静(ちんせい)(もたら)すは水、宿すは鏡 『虚曲水(きょきょくすい) (かがみ)』」


人一人分の鏡を大量に出す。

勿論、俺の背後に……。


「く、力が……」


鏡にぶつかる兵士達。

その破片を踏んで体力を失う兵士達。

だが、最終的には―――


「寝たな」

「お、恐ろしい技ですね……」


勿論、遠隔的な魔法を知らないこの世界の魔物達は普通にぶつかってくれた。

いや~、ここまでうまく決まるとは……。


「よし、ネリアは……あ!!……いや、きっと見間違えさ。他を探してみよう」

「ネリア~~~」


HAHAHA無理。

この子無理。

絶対無理。


「海弟……」

「な、なんでしょうか?」

「何でここに居るの?」

「ネリアを探しに……」

「意味も無く?」

「あ、あるさ」

「何?」


え、え~と。


『ネリーが会いたいって五月蠅いから……』


よし、完璧だ。


「n「海弟の思いつきだよ」……」


総員退避。

緊急レベルMAX。

回避行動不可。



ドゴ (鳩尾に一発


ズシャ (足払い


グェエ (マウントポジション


ガッ ガッ ガッ ガッ ドガガガガガガガ…… (パンチ パンチ パンチ パンチ 北斗○烈拳




「ちょ、せめて。せめて『林脱』をつかw―――」


俺、ここからの記憶が無いんだ。

どうしよう?





「遠征軍が捕らえられ、捕虜にされただと?」

「ホホホ、面白くない話ですね」

「なお、最後の報告では確保場所付近の河原にて巨大な魔力を確認した……ということです」

「巨大な魔力?その前の報告には無いのか?」

「はい、突然現れたと思われます」

「もういい、下がってくれ」

「はっ!!」


王座に座りながら溜息をつくベルグ。

巨大な魔力となると、思い当たる節は一つしかない。

まぁ、それはあながち間違ってはいないが、この勘違いは海弟達にとってはいい事となる。


「勇者と手を組んだか……」


そう判断した。

だが、実際には海弟が偵察の魔力を全部吸い取っただけだ。


「面白くないですねぇ……先に潰しますか?」

「……そうだな。兵力の半分を勇者のところへ向かわせろ。指揮はお前が執れ」

「ホホホ、ですが大丈夫なのですか?」

「何、あの少年はまだ力を付けていない。勇者が終わってからでも潰せる。それに俺の目的はあいつを部下にすることだ」

「力を付ける時間をやる……ということですか。ホホホ、人が悪いですねぇ~」

「ふ、勝機を見出したつもりで悪あがきをする様をよく見ておくとしよう」

「では、その時の指揮はベルグ様が?」

「ふ、当たり前だ。面白い戦になるといいのだがな」

「あの弱小国に出来ることなどありませんよ。威張り散らして兵力もまともに揃ってないんですから……ホホホ」

「だが、あの少年。何か不思議な雰囲気を持っている。気をつけることにしよう」


この二人は、もうこの魔界を統一できていることしか頭に無いのだ。

勿論、それだけのことができるだけの兵力はある。

だが、必ずしもそれが出来るわけではない。

それは、障害(てき)があるのだから……。


前の話の魔道で、遠隔的な攻撃の方が有効とありましたが、ちょっと勘違いしてる人がいるといけないのでここで解説します。(全部作者の責任です)


遠隔的とは、炎で攻撃したり、水を出して感電させたりするのではなく、転移させるということです。



剣士A

魔法使いB


Bが、Aを転移させる。

敵殲滅。

AをBが呼び戻す。


はい、こういうことです。

遠隔的じゃなくて、間接的ですね……。

まぁ、直す気はありませんが……。


それでは、後書きに入ります。


今回は、海弟が大活躍しましたね。

海弟が治癒の達人になる日は近いでしょう。


まぁ、暇でしたし、仕方がないですかね……。

戦争とか関係ないほのぼのでいきましたね。

色々と、考えなきゃいけないことがあって大変です……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ