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第534話水攻めの罠と人魚

なぁ、知ってるかい?

人間、そういう妄想が入ると妄想がKASOKUするんだぜ?


どういう妄想かは本編を参照。

宝箱を開くと同時に神殿の崩壊が始まる。

七本の剣を二本ずつ差し込んでいき――


ガチンッ


――様子を見る。

最後一本だけなのは気にしない。


崩壊が止まる様子はない、というか入り口が塞がれてしまって帰るときはどうしようか。

宝箱の蓋を閉じれば崩壊は止まるかな。


さっき剣が差し込まれた音とは違う、何かのスイッチが入ったような音が鳴った。

何か起こるはず……何か……何か……。


「起こらねぇッ!!」


クッ、ここままじゃあ天井が完全に崩れて下敷きになってしまう。

宝箱のほうを向き直り蓋を閉めようとしたところで気づく。


もう蓋は閉まっていた。


おかしい。

俺は蓋を閉めていない。それどころか今、蓋を閉めようと思ったところなのだ。

まさかひとりでに蓋が閉まったということはあるまい。


……まあ、気になるが一つそれは置いておこう。


「蓋が閉まっているのに……崩壊が止まっていない」


えーと、つまり。

剣を差し込むとこの状態に……いや、不正は許さないってことか?


いや、まさか……そんなわけあるまい。


だってアンちゃんはコピーでも復活できたんだぜ?

つまりはこの状況は『ピンチ』でもあり『チャンス』でもあるわけだ。そう思いたいッ!!


何か、何かあるはずだ。

脱出する方法じゃあないにしても、この先へ進む方法とか。


周囲を見渡すが……何処にも気になる場所はない。

まさか壁に隠しスイッチでもあるのだろうか。

今からじゃあ間に合わないだろうし……しかし、他に調べるところといったら……。


ふと、目の前にある宝箱を見る。


「開けてみよう」


……ん? え?

今、何て……まあ良い。


一瞬、頭の中がカラッポになった気がしたが気にしない。

宝箱に手をかけて一気に宝箱を開く。


「ッ、これは気づかないぞ」


宝箱の中に地下への入り口……というか、既に地下なので階段か。

階段が出現していた。


何かある予感。


「入れるかな……よし、入れた」


宝箱も剣を刺すための穴が等間隔にあったのだ。

それなりに広く、簡単に入ることが出来た。


さて、地下はそれなりに暗いみたいだからな、炎の魔法で明るくしよう。


照らしてみれば、先は石が詰まれて出来た通路になっていた。

その果てはわからないが、きっと何かあるはずである。


「それじゃあ、進んでみるか。トレジャーハンター海弟、イッキマァァァッ!?」


足元が冷たいんだけど。何これ、何これ。

見てみれば、段差が少し低くなっていて水が薄く()かれているようだった。


「……何かの罠か? いや、もう既に入ってしまっているんだ……気にしたら負けだ」


もう時間もないし罠だってぶっ壊して進むぜ。


いざとなれば水だって操り邪魔にならないようにすればいい。

ざぶざぶと豪快に足音を立てながら奥へと進んでいく。


時折揺れが聞こえてくるのだが、ここは別空間というわけではないらしい。

七つの剣により出現する異空間への道、とも考えられたのだが違うらしい。この揺れが元の神殿と繋がりがあることを示している。


まあ、本当にあの七つの剣は鍵の役割しか担っていなかったわけだな。

剣たちには強力な効果があるのに神殿の造りは案外普通なのか。


まあ、それはそれで急がなくちゃならない。

あと一時間ほど……ということもあるがそれ以上に神殿が崩れ俺も生き埋めになってしまっては元も子もないからな。


ようやく広い場所へ出た……と安堵したのもつかの間。

古典的な罠、来た道が塞がるが発動する。


上から降りてきた鉄格子により退路は完全に断たれてしまった。

もう帰る方法は無い……なんてことはないだろう。


で、出てくるのは中ボスか、それとも本命ボスさんか。


沈黙が数秒、場を支配する。

俺も精神が研ぎ澄まされたところで……何やら轟音が聞こえてくる。


真後ろ? いや、上かッ!!


ちょうど振り向くと同時に高い天井に何箇所が黒い穴が開きそこから水が流れ込んでくる。

その勢い、ぶち当たったら軽く気絶するんじゃないだろうか。


靴が水を吸っていて歩きにくかったが数歩移動して水を避ける……のもつかの間。

水位がいきなり急上昇。


地に足が着かない状態となり少し慌てたが、すぐに冷静を取り戻す。

まさか天井まで水を流し込んで……それはイヤだな。


「海王の――」


そこまで言ったところで何者かに足を引っ張られ水中へと導かれる。


「グボッ!?」


慌てて息を吸い込むもそこは水中、水を大量に吸い気が遠くなっていく。

クッ、こんなところで……。


せめて敵の正体だけでも確認しておかねば……。

俺を最後に倒す奴の姿さえわからないなんてふがいないことは……って、ん?


……何故でしょう。


俺には彼女は上半身全裸に見える。

いや、下半身は魚だが。上半身は全裸に――


もう良いッ!! ええい、人魚か!?

人魚だな!! ふっ、貝がらのブラさえも捨てこんなところにいるとは。


確かに、ここは森の中だが海も近い。

人魚がいても不思議ではない。上半身全裸でも不思議じゃあないなぁ。


ふっ、俺も男として死んでいられないぜ。

何たって、胸には夢が詰まって……これ以上は言えないッ! もう言ってはいけない部分まで言っている気がするけどッ!!


さあ環境に順応しろッ!

そして間近で以下略ッ!!


鞘から妖精の剣を引き抜くと投げ捨てる。

それと同時に俺の実態が消え人魚から俺は解放される。


よくもやってくれたな。

丸焼きにしてやってもいいが、その前に……グヘヘヘヘヘ。


「実体を消す術。やはり怪しいヤカラというのは間違えなさそうね!」

「ナヌィ!? 俺を見ることが出来るだと……。いや、しかし触れることは出来ないみたいだなァ! ふっはっは!!」


世界が滅びる? 悔いなどない。

悔いなどないぞーーー!!


人魚に向かい猪突猛進。

いや、イノシシの突進などまだ弱い。


人間の力を見縊(みくび)るなァァァッ!!


「……チッ、この剣返す!」


そう言い人魚が投擲したのは妖精の剣。

あらまあ、コイツが当たったら俺は死んでしま――


脳天を直撃する妖精の剣。

打ち所がよかった、というか当たった場所がよかった。俺の、ではない。剣の、だ。

柄の部分が当たってなかったら俺は死んでいた。


「俺は殺せんぞ」


妖精の剣を握り締め言う。


「……? 何を言っているの?」


……今の台詞、どうやらすべて泡になったみたいです。

っていうか息がヤバい。


何でこんな声張って喋ったんだ! いや、何でわざわざ息を……。


ええいッ!


どうやら相手は話し合いの通じる相手らしい。

ならばここでやることは一つ。


水中戦? いいや、違う。

メロン観賞? いいや違う!


妖精の剣を捨て息を吸い込み話す。


「海の精霊に溺愛されている俺に楯突くと後でどうなるかわかるなァ!?」

「で、溺愛。嘘だ、あの引きこもりは地上が出てくるはずが――」

「海王の剣を俺は所持しているッ!!」


そう言って鏡の中から取り出した海王の剣を人魚に見せつける俺。


「ま、まさか……本当? この人殺したらワタシ死ぬの? えぇ! う、うーん、でも……」

「一つ言っておこう。ヤツは……本気だ」

「……あんさん、ここは一つ友好的にいきましょう。非礼は詫びます」

「うむ、全人類だけでなく魚人までもが俺に服従するまでとなるとはな。よかろう、で、どうすれば先に進める」

「先へ? ノンノン、せっかくだから最深部まで一気にいきましょうぜ」


指を左右に動かし言う人魚。

ちなみに胸はジロジロ見ていたせいか片腕で隠された。


ここまでの会話で思考がなかったのは興奮、もとい冷静さを失ってたからで……どっちにしたって変わらないな。

男はマロンが好きなのだ。ロマン。


「最深部までか。いいだろう、相手になってやろう」

「何と!? ま、まあいいです、付いてきて」


素早い動きで泳いでいく人魚。

その動きを目視で確認したところで――


「……妖精の剣、妖精の剣……と」

「あんさん自由すぎるッ!!」


まだ行っていいと俺は言ってないぞ。





……海を穏やかではない気持ちで見るのは何日ぶりか。

そうだな、海弟と会う前まではそうだった。


しかし会ってから……私はかなり変わった。数日だったが、確かに。


「……(かい)―――ハックション」


……風邪かな。

いや、水の塊が風邪を引くのか?


……いや、でもまぁ……。

水の塊だって恋はしますしねぇ。海弟……。


「ああ、ダメだ。これじゃあ本人に『ウミは俺を溺愛している!!』とか言われても文句が言えない」


どうしよう、どうしよう。

……そうだ。


「よし、決心した。天使よ、この精霊。微力な力を振り絞ろう」


振り向き直るウミ、背後にはボロボロになった姿の黒ローブがいた。


「……私に比べたらお前のほうが乙女というのに相応しいのかも知れないな。『種族的』に」

「『年齢的』にの間違いを指摘してあげます。優しい私に感謝しなさい」


……ふ、ふふふふ。フハハハハハハハッ!!


「精神年齢の話で私が怒るはずがないだろう。挑発など無意味」

「私には憤慨しているようにしか見えな――」

「怒っていない!」


ったく、好きになるのは自由だから困る。

この娘は恩義を感じての好意だろうしな、これは倍率が高そうだ。


亀仙人。



さて、海の精霊が仲間になった! という字幕でも出そうな感じですね。

元々そうなのですが吹っ切れた彼女は津波を起こし地上を侵略し始めることでしょう。


嘘です。


にしても、海弟は何をやっているのか。

もう一時間ないですよ。四十分をギリギリ超えたラインってところでしょうかね。


おかしい、計算があわない。当初予定していたところからすごく離れている……何故だ。


まあ、今回早く更新できてよかったー。

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