表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
551/557

第532話湖の中と潜水方法

更新のペースについてはすみません。期限とかは……ね。

あ、期限で思い出したのですが――



後書きへ続く

なぁ、おっさん。

俺には時間がないんだよ。


……遠すぎるだろ。


おっさんの後を付いていくこと十数分。

一分一秒が惜しいこの状況で五分以内に小屋はあると予想していた俺はだいぶイラついている。

今なら悪魔の化身の一体でもイライラパワーで殴り倒すことが出来るかもしれない。


とりあえず息の根は止める。


……もう追うのやめようかな……。

きっと、許してくれる。俺が。


おっさんなどもうどうでもいいのでその場から離脱し、逆の方向、湖まで走っていく。


息切れなんてきにしている場合じゃあないよな。

俺はつねに全力疾走である。


「待てェェェェェッ!!」


このおっさんやばいよ。

俺も本気で走っているってのにその速さは俺以上……ッ!!


クッ、ここで負けるわけにはいかない。

ほら、最後の戦いの前に負けるのって――





「何故逃げるッ!!」


捕まりましたー。


何であんなところに石は……なかったけど、転ぶんだよ!

アレか? 緊張で足がもつれたとかそういうのか?


馬鹿な、俺が緊張の一つや二つに負けるというのか!

そうなのか……それは残念だ。


んで、このおっさんの説教が始まってしまったところ悪いのだが俺は時間がない。

世界の破壊を防ぐためとか、カッコいい理由で急いでいるのだ。


正座を解いて立ち上がると湖に向かい走る。

やはりあそこが気になる。


あの剣は引き抜けなかったが……何とかなる……気がする。

何とかならなかったらおっさんの命が代わりに朽ち果てることだろう。


「クッ、お前! 人の話は最後まで聞けェッ!! ああもう、わかった。伝説の剣をやろう、おじさんの話を聞いてくれないか?」

「先払いだな。俺には時間がないッ!」

「ぐぬぬぅ!!」


こんなおっさんの話を聞いて伝説の剣がもらえるのはゲーム序盤だけだZE!

それも力が封印されているとかそういう設定のある。


「あと一本なんだ。邪魔をするなッ!」


何とかおっさんを振り切るスピードで湖に着くと剣を目一杯引っ張る。

もうコレしかないだろう。


いいや、これ以外の方法があるのならとっくに試している。


夜明けまで時間がなさそうだ……。

あと一、二時間ぐらいだろうか。さすがに眠気も吹き飛ぶ展開だ。


「俺には抜けるッ!!」


ミシミシィッ


まだ、まだだッ!


バギィッ!


……おわかりいただけただろうか?


『ミシミシィッ』『バギィ!』


そう、剣が……折れた。


「どうすりゃいいんだコレは。接着剤か? それとも瞬間接着剤か? もうどっちでもいいんだけど……」


ああ、頼みの綱というか頼みの糸が切れちまったんだぜ……。

妙にハイテンションになってきたのはきっと諦め始めているせいだろうな。


「テメェ、なんてことを!」

「……おっさん。それどころじゃない」


追いかけてきたらしい超スピードのおっさん、略してガリオン。

何処をどう略したんだって?


それが奴の本名だ、問題ない。


「この世界は終わる。夜明けとともにな」

「……ハァ?」

「ふっ、信じられないだろうが本当だ。……俺、地獄の王になろうと思うんだ」

「何言ってんだお前は。世界が終わるぅ? そんな時こそこの剣だろうがァ、って折れちまってるじゃねぇか!」


……俺の腕力ナメるなよ。


何たってミカンを片手で潰せるからな!

え? 別に誇れるようなことじゃない? それよりオレンジジュース作れ?


……世界が終わるっていうのに何をやっているんだろう、俺。


「まあいい。そいつは偽物、レプリカよ」

「ハァ?」


今度はこちらから言わせてもらおう。

何じゃそりゃ。


これが偽物だって!?

どうりで俺が引き抜けないはずである。


やはり俺が選ぶべきは偽者ではなく本物。

剣がそう俺に教えてくれた。


「本物は、この湖の中にある!!」

「おお、そうなのか。じゃあ早速――」

「待て待て。お前は水中でどのぐらい息が続く?」

「……五分」

「見栄を張るな」

「一分越えはしている!」

「その程度じゃあ無理だなぁ。話にならねぇ」


首を横に振るおっさん。


そんなにこの湖は深いのか。


ちょっと顔をつけて湖の中を見てみる。

ん? そんなに深そうじゃあない……なぁ。うん、何で湖の中に神殿みたいなのが沈んでいるんですか奥さん。


「あの神殿の中に剣はある。そして、その神殿の扉を開くのがその剣……何だが、まあそれはいいとして――」

「よくねぇよッ!」


きっと魔法の力とかで開かないようになってるんだろうなぁ。

はっはっは、もう無理だ。


……ただ、まだ希望が一つ消えただけ。

まだまだ探すぜ!!


「じゃあなおっさん。俺がここにいる意味はない!!」

「待て待て。落ち着け少年。中々に面白い話を聞いたから協力してやっているんだ、ほれ」


面白い、って……。

世界が終わるって話か? 何が面白いだよ。


っていうか、その剣は何だよ。

俺が渡したのは壊れた剣……だぞ? ええ、何でこれ直ってるの!?


残った岩を見る。

そこには刺さったままの剣の片割れが……。


「おお、これはいい金稼ぎ。って世界が終わりゃあどうでもいいことか。よし、行ってくる」


ガリオンから剣を奪おうとして……空振りする。


「何だ!」

「お前、息は続くのか?」

「神殿の中に入れば何とかなるだろう」

「神殿の中も水はある」


……つまり、剣を入手してから帰るまで息が持たないとヤバいってわけですね。

うん、どうしよう。


難易度が人類の無呼吸時間を越えているせいでSランクだ。


「ワシの話を聞くか?」

「何かヒントでもあるのか?」

「それはどうかのぉ?」


テメェ、わざわざイラつく言い方を……。


まあ、良い。


「勝手に話せ」

「聞く側の態度がなってないが、いいだろう」


ゴホンッ、とわざとらしく咳をしてから話し始めるガリオン。


「ワシのひいひいひいひいひい……爺さんはな、なんと勇者様のお供だったんだぞ?」

「ほお、それはすごい」


だとすると、コイツとは勇者の家族仲間だな。

ひいひいとか連呼してるからホントかどうか怪しいけど。


「だから、魔法も使えるし……この腕を見ろ!」


鍛え上げられた筋肉……妙に湿っているような、言い方を変えれば汗で光っている。

何だこのおっさんは……。


「これが勇者のお供を勤めるべきモノの肉体よ。フハハ、フハハハハハハッ!!」

「この脳筋(のうきん)め。早く剣を取りにいく方法を教えろ」

「お前の態度が気にくわん。っていうか俺は頼まれている側で、頼んでいるのはお前だろう?」


……頭だけは下げない。


だから方法は一つだ。

息が続かない? 知るかァァッ!!


湖の中にダイブする。


「ちょ、お前!! 馬鹿野郎!!」


服が水を吸って動きにくいが……まあ、何とか泳げている。

さあ神殿の入り口だ。


まだ息のほうは大丈夫そうだ。


さあ、中へ――


行くぞッ!!


うちの冷蔵庫に賞味期限の切れたもらいもののジュースがたくさんあります。

たくさん、ですよ。今なお残っています。


気づかずに飲んでしまってトイレへ直行したのですが、胃が弱いのかな。

賞味期限が切れて現在では二週間目ぐらいです。素晴らしいね、何で冷蔵庫の中に残っているんだろう。


味のほうはまあまあです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ