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第529話『説得を試みるのが正義』by海弟

んでもって、応じちゃうのが悪。


でもここで信念を曲げない悪は逆に清々しいよね!

倉庫……は、まだ村から遠いところにあるせいか、焼けている様子はなかった。

一応、安全っぽいが気をつけていかなければいけない。


何故ならそこには敵がいるだろうから。


「あ、海弟ー。何でこんなところに?」


考え事をしていたらいきなり声を掛けられてしまった。

いかんな、集中していないと周りが見えなくなってしまう。


「お前こそ、何で倉庫なんか……に?」


ん? この臭い……。

ほんの少しだが、火薬臭いような気がする。


「花火の準備だけど」


どっさり花火を両手に抱えて見せてくれるジーナ。


「祭りが始まる一週間の間は祭りの準備だけて手一杯だから花火の準備まで出来なくて、だから先に作っておいて倉庫に仕舞ってあるんだ」

「ほお、だが村は花火なんて持っていける状況じゃあないぞ」


その手が真っ黒になるな。


とりあえず手短に村での出来事を話す。

まだ食い止められる。最悪の事態にはなっていないし、まだ終わっていない。


……そう、戦いも、決着も。まだ着いていない。


「あの黒ローブは暗黒龍がいる限り復活する……らしいからな」

「……そう」


この倉庫の中が暗いせいもあると思うが、一層ジーナの顔が暗いものとなる。


「何考えてる?」

「……へ?」

「お前は何を考えているのか聞いてるんだよ」


静かに待ってやる。

村ではウミが死にそうなんだけどな、それだけじゃあない。

その村人達も……だけど。


「わたしは、村の人たち救いたいよ」

「……ならいい」


本心を隠すのも大人ってものだ。


自分を攻めるのもほどほどにしておけよ。

まあ、大人が不器用でもいいのかも知れないがな。


小さく口元に笑みをつくり出口を目指す。


倉庫から出て月明かりを見る。


……何だろう、この感じは。

胸騒ぎとも違う……感情の高ぶり?


「……海弟?」


横からジーナが話しかけてくる……が、無視する。


そうして数秒の沈黙の後……月から何かが振ってくる。

緩やかに落ちてきたそれは俺の手に収まる。


そいつを一振りして鏡の中に仕舞う。


「……い、今の――」


ドゴォォォォンッ


背後で爆発が起き、背中から爆風を浴びて道路の脇へお互い吹き飛ばされてしまう。

何か背中がメチャクチャ熱いんだけど!?


これはもう転がるしかない。


ごろごろと転がり道の真ん中へ――ぶつかる。


「ジーナ、お前馬鹿だろ」

「そういう海弟こそ」


ゆっくりと立ち上がる。


「いたた……。一体誰がこんなことを……」

「目星というか何というか。わかんじゃないか?」


チッ、このまま妨害されながら村へ向かうのは難しいぞ。

それに倉庫壊しちゃってまぁ。火薬に火でも付けたんだろうな。


嫌な予感はしたが……この程度の怪我で済んでよかった、と言っておくべきか。


「治癒している時間はない。走るぞッ!!」


こちらに注意を惹かせられるのならば、村のほうが疎かになるだろうし。

だとしたら、そっちの方がいいのかも知れない。


でこぼこの少ない道を一直線に走り、妨害を何とか避けながら走る。


「着替えなくてよかったー!!」

「お前スカートとか履いてたら俺が殴ってたからな!」


数分して見えてきた小さな村。もう半壊しているように見えるが……かなり火は消火できているんじゃないだろうか?


……悪いが残るのはチリだけかも知れないぞ!!


背後から迫ってくる稲妻を村の中に滑り込んで避けると後ろを向く。


「……さて、始めますか」


刀身の黒い剣を手のひらに出現させる黒ローブ。

俺は鏡の中から海王の剣を取り出す。


「……ジーナ、村の人たちを非難させるんだ。まだ火は消えてないが、もう関係ないだろ?」

「まあ、そうだね」

「空にでも逃げててくれ」


アンちゃんの方に視線を向ける。

ジーナは頷いてバケツリレーしている村人たちのほうへ走っていく。


「幸運、というか……死人が少なくてよかったですね」

「やっぱり、死んだ奴はいるんだな」

「それでも幸運なことに違いはありません。たった数人でよかったですね」


……コイツ、人の神経を逆撫でするようなことを……。

まあ、動じる俺ではないのだが、言っておくぞ?


「お前、ウザイな」

「……関係ないことですね」


相手は妙に冷静で、気持ち悪い。

まるで感情のない者を相手にしているような感覚だ。


その感覚が拭いきれないまま、戦闘が始まる。

黒ローブの剣が俺の剣を捕らえ、そのまま接近戦になり……再び距離を取り。


今度は俺から斬りかかる。


海王の剣の効力がわからないので闇雲ながらも普通の剣のように運用するしかない。

体重と振りの大きさで威力を高めた一撃を黒ローブに放つ。


「うぐッ」

「風よッ!」


至近距離でつむじ風を起こし、黒ローブへダメージを与える。

俺も無傷ではないが……最初のダメージを誰が与えるかが重要なのだ。


そこから流れは生まれる。


「何度戦おうと、私は何度でも復活するッ! 私に勝てる者などいない」

「……何度でも生きることが出来るからって、戦いばかりしていたら身体が持たないぞッ!」

「姿形など、私にとっては関係ない」


……姿形が関係ない。


「お前、自分の未来なんて考えたことがないんだろ?」

「……ありません。必要ありますか?」

「当たり前だ。未来の自分の姿を思い浮かべて、そこに近づこうとする。それが夢ってものだろう!」

「興味がありません」


……感情のない奴に言っても無駄な話か。

確かに、生死が曖昧になったら狂ってしまうよな。壊れて……感情が薄れていってしまう。


俺はそんなことはないが、奴はそれにあてはまる。


観察も終わり、再び剣を交える。

鍔迫(つばぜ)()いの最中、声が聞こえてくる。


『距離をとって――』


とってどうすりゃいいんだッ!!


聞き覚えのある声に心のなかで反応してしまう。

その瞬間、俺の動揺の隙を衝かれたのか剣先をあげられがら空きになった胴に黒ローブの剣、横殴りの一撃が放たれる。


「『鏡』」


ピンポイントに跳ね返し、黒ローブの手首に威力を反射したところで額の汗を片方の手の親指で弾き飛ばす。


「……反射できるかギリギリだったな」


威力が高すぎて反射できなかったらどうしようかと思った。

まあ、俺も成長しているんだ。

『鏡』で反射できる威力の大きさも俺の強さに比例して大きくなっていっている。


「どうすりゃいいッ!」


海王の剣が光りだす。

問いを返したのは声の主、ウミなんだがな……。


まあ良い。


「圧倒的な力の差をみせてやる」

「決定的な力の差をみせてあげましょう」


……一々、面倒な奴だ。


剣を横に一度振る。

……この剣の能力が頭の中にある。表現がおかしいが……この瞬間、脳の中から引き出すことが出来るようになった……そんな感じだ。


「水よッ!」


水流を放つ。


何かに気づいたのか、防ぐ体勢を取る黒ローブ。


しかし、残念ッ!!


海王の剣を振り、水へ命令する。

その水は勢いを増し、防御を崩そうと襲いかかる。


「……めんどうな……」

「この剣があれば海も真っ二つに出来そうだな」


よし、あと少し……。

入ったッ!!


吹っ飛ぶ黒ローブ。

その手から黒い色をした剣が離れる。


「お前、普通に暮らせよ。恨みなんて自分から買いにいくものじゃないぞ」

「……」

「誰だって体に傷が出来たら痛いし、身の回りで誰かが死ねば悲しい。心が痛い」

「夢の話は終わったんですか?」


ニヤリと笑い、黒ローブの頭に手をのせる。


「死んだ奴の夢は何処にいくと思う?」

「……あなたは――」

「周りの奴が受けつぐんだ。人が人へ与える影響、お前が思っているよりもそれは大きい」

「……あなたは、何もわかっていない」


ふっ、それでもいいさ。

それがお前の言葉なら、お前の気持ちならそれでいい。


「お前は死んだ奴が数人でよかった、と言ったな。それは本当にいいことだったのか?」


本人が夢を追えないのに……それは、悲しすぎるだろう。


「わかり、たくない」

「悪いな。お前に拒否権はない!!」


最近好きな小説が更新してくれないなー、なんて今日思ったりしてしまった……。


読者の方々、ゴメンなさい。

はい、小説を読む? ゲームをやめたかと思ったら書くんじゃなくて読むんだと?

馬鹿野郎!! それでも天下の――


……天下の、とか自分で言ってて恥ずかしいのでここまでにします。

にしても面白い小説は面白いですよね。その才能が自分もほしいです。人生の中で何度も思いました。たぶん後書きの中でも何度も言ってると思います。


そしてこの話の最後でこの展開……と思った人もいるかも知れません。

やめておけ、私の妄想力は一万を超えている……。


展開の先読みはダメです。

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