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第523話回復論と積もった夢

自分で書いてて面白くない話は久しぶりですね。

基本的にテンションが低いときに書くと、やはり……ね。


活動報告を見てくれるとわかりますが、自分的には完全に引きずっています。


体力・魔力は回復した。


何気ない一文に潜む努力と根性を説明しよう。

まず、体力を回復するためにはそれなりの魔法、もしくは薬と時間が必要だ。

普通は魔法だな。ベッドなどを利用する場合は自然治癒になる。これはまた別だ。

俺がやったのは魔法で回復。

それだけでも時間を取られる……が、俺にはまだやらなければいけないことがあったりする。


つまり、だ。

残りは魔力の回復。

これはもう忍耐を試すアレに等しい。


長時間魔法石を持ってジッとしているのはキツい。


そして、完全に回復した頃、俺の脳裏に浮かぶこの言葉。


体力・魔力は回復した。


……どの程度って、完全にさ。


「よし、行くぞ!」

「今の沈黙は何!?」


色々考えてたのさ。


色々、な。


「さ、勢いを殺さず素早く行動だ」


手鏡を取り出し……と、これは……俺のじゃない?

では誰の物だろう。


ふむ、誰の物かはわからないが……今は使わせてもらおう。

仕舞うのも面倒だしな。


「転――」


いや、待て待て。


魔法を発動させて転移しようとしたところで気づく。

ある違和感。たぶん、俺しか感じることの出来ないだろうものだ。


「中に、何か入っている……?」

「何言ってるの? 入ってるのは龍と、あのローブの――」

「違う。鏡の中にだ!」

「だから、鏡の中には龍とローブの人がいるんでしょうが!」


……いいだろう。

そこまで言うならこの場で引っ張り出してやる。


何かも確認せずに誰かさんの鏡の中から引っ張り出す。


その"何か"は棒状……それは柄の部分で、そこから伸びる薄く平べったい……形状は剣。

真っ白な剣だ。


「……白の剣に……似ている、な」


けど、違う。

ずっと握って振ってきたんだ。


似ている形をしていても、中身が違うのはわかるさ。


「……能力まで真似ている。なるほどなぁ、あのチート剣を真似しようとした、ってわけか。で、失敗したと」


いや、これがこの世界に存在しているってことは……。


この程度の力で白の剣だというのか? 馬鹿め。

奴が考えていることは二つに一つ。


白の剣の全ての能力を知っていながら、真似して(つく)った。

もしくは、白の剣の力を過小評価している。


どちらか、だ。


「このデザインの適当さから見て、後者なのかもな」


俺、最大の切り札の能力を把握していないとは、愚かなり。


「ちょいと使い勝手が悪いが、まあ良いか」

「その剣は……」

「妖精の剣、勇者の剣ときたんだ。伝説の剣……とだけ言っておこうか」


たぶん、七つの剣のうちの一つなのだろう。

だとすると、この剣に気づくことは王道、想定されていたということだ。


それに白の剣があるということは黒の剣もある、ということなのだろう。


これで俺は七つの剣のうち四つを知ったわけだ。

妖精の剣、勇者の剣、白の剣、黒の剣。


白の剣と黒の剣は(つるぎ)と読まないが、きっと含まれる。


「きっと筋書きはこうだ」


世界中を俺に旅をさせる。

そして七つの剣を手に入れさせて、最終的に封印されたこの龍を倒すことでクリア。


んな冒険やってられるか、という勢いでクリアしてしまったな。

たぶん、勇者の末裔と戦いが終わった後に自動的に俺のポケットの中に現れたのだろう、この鏡は。


アイツが設定し、存在させている世界だ。

その中に俺がいるということは、つまりきっと……俺も一つの登場人物でしかない。


「五つの剣を手に入れたあと、あの王都に立ち寄るってのが筋書きらしいが……お前どうするよ。シナリオ無視で突き進むか?」

「シナリオ……?」

「わからない話か。やれやれだぜ」


と、黒の剣は俺の持ち物に追加されて……ないな。

うん、この世界……ゲームっぽくて何だか生ぬるく感じるな。


「……一人で理解して、そんなのじゃあわたしがドキドキワクワクできないじゃない!」

「俺はわかっててもドキドキワクワクできないからきっとお前もそうである。じゃあ行くぞ! すぐについてこないと一緒に来れないからな!」


手鏡を使い鏡の箱の中を想像する。


さあ、伝説に残る戦いをしよう。





「やあ!」


その挨拶とともに真っ暗だった箱の中が明るくなる。

実に便利だよ。


「ッ、お前……何故」

「いやー、俺って空は飛べないんだよな。だから閉じ込めて、その中に俺が来ているわけだよ」


物凄く手間が掛かってるよ!


「ま、大人しくしててくれてありがとう、とだけ言っておこう。さあ、アンちゃん……大人しく俺の下僕になれ」

「……悪龍様ッ! ここは私に――」


言葉が途切れる。

それはこの騒音とも呼べる一声……いいや、咆哮で。


『グルルルァァァァァンッッ!!』


耳を(つんざ)く声に若干顔を歪ませながらアンちゃんの方を向く。

何だ? 勝手なことをさっきから、とでも言いたいのか?


残念ながら、心通じ合わないものの言葉はわからない。


だから適当にパンツ見てぇ、程度に思っておこう。

勝手なことをさっきから、ってのはボツね。


「……悪龍様、それは……この世界を破壊……いいえ、悪龍様さえも……自爆と一緒です!」

「何!? 自爆は困るな……。いいや、ある意味都合がいいというか、何というか」

「都合なんてよくないから!!」


俺の後ろにいるナイスボインことジーナが叫ぶ。

ナイスボインジーナを略してナーナと呼ぶことしによう。心の中だけで。


「どうした、俺はアイツに自爆などさせないぞ」

「それでも、さっきから聞いてたら下僕とか! そんなのじゃなくて、仲間とか……友達とか! そういう関係でわたしは龍の背中に乗りたいの!!」

「……それが夢?」

「ええ!」


力強く言われても……はぁ。


「お前たち、俺の仲間にならないか?」

「何を言っている! なるわけないだろう、死にたいのか!」

「今にも死にそうなのはそっちだろ」


説得なんて無理だぞ。いいや、無駄。

消費税の無駄。


「でも、きっとあの龍だって心を開いてくれるはず! だって、同じ生き物だし」


……そうか。きっと、心を開いてくれる。

俺はその気持ちを忘れていた。いいや、ジーナのことすら忘れていたのかもしれない。


俺ばかりが夢を語り、それで本当にジーナの夢が叶うのか、といえばそうではない。

だってそうだろう……?


「ジーナ、お前は全然頑張っていない。頑張っていないのに夢が叶うってのもおかしな話だよな。頑張れ!」


ジーナを前に押し出して白の剣(偽)を渡して後ろへ下がる。


「……へ?」

「俺はお前のことをわかっていなかった。ここで戦うべきは俺じゃあない。お前だ、お前自身が最後には夢を掴むんだ!!」


責任の押し付け?

最初から俺に責任なんてあったのかなー? 知らないなー?


俺の責任の責任者さん出てきてよ!

いないだろうけども。


「あの龍に立ち向かえなんて、無理無理!!」

「無理? 可能性は無限大、死後の世界も無限大だ! 安心しろ、お前なら出来る!!」

「死後の世界は余計なんだけど!!」

「……今が勝機か。悪龍様ッ!!」


ブレスがジーナへ向かい発射される。


それを後ずさるようにして避けるジーナ。

床(鏡)に当たると反射し上へ下へ……反射し続ける炎。


俺が反射するようにしているわけだが……ジーナの動きが面白いのでもう少し反射させていよう。

普通は三回反射したら消えるようにしているわけだがな。


「これじゃあ攻撃が出来ないッ!」

「何とかするんだよ!」


炎の反射を止める俺。

鏡の中に炎を溜めておくことにする。


「さあ、夢を掴め!」

「……そんな台詞言って、何も出来ないわたしはどうすればいいの!!」


何も出来ない?

それはどうかな。


「その命もらいました!」


ジーナの首目掛けて何か刃物を投げつける黒ローブ。

ああ、うん……。


「やっぱり、お前じゃ無理っぽいな」


ジーナの前に鏡を出現させてナイフを跳ね返す。

それを避ける黒ローブだが三度反射するので、背後から再びナイフが襲い掛かる……も、それを軽々と避ける黒ローブ。


「さて、遊びは終わりにするか」

「……遊びで人生が終わるところ――」

「夢に人生をかけるのは本人の自由だが、人様の人生に迷惑をかけてこその夢だろう? ちなみに自分の人生も含む」

「……チッ、厄介なのが……」

「じゃあ、まずお前は消滅で」


光の魔法で黒ローブを消す。

その間一秒にも満たない。転移などさせるか、俺は本気だ。


「さて、仲間になろうぜ。アンちゃん」


進み歩むと書いて進歩。


方向性とか目標とか。

自由奔放に生きたい人にとって邪魔でしかないです。


でも、人としてのケジメがあるのなら、見失うことはないものだと思います。

見失っている人は、きっとめんどくさがりやです。


ってなわけでユーザーネームをめんどくさがりやに変え……ません。


ああ、長いくせに面白くないギャグは悲惨でしかないんだなぁ。

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