第44話魔物を支配下に… 過去の約束編
海弟は…、なんだかまじめな話を書きたくなってきた兎桜です。
だれか、元の自分に戻してください…。
魔王…。それは、夢の中で戦った人物。そして、もう死んでいる者。
「な、何言ってんだ!!魔王は死んでるんだぞ」
「っ!!そうですか。魔王様も死にましたか…」
まるで知らなかったような口ぶりだ。驚いているように見える。
「何で、……お前らは魔物なのか?」
「ご名答です」
魔物らしい。だが、何でこんなところにいるのかがわからない。
「なぜ、こんなところにいる」
「………付いてきてください」
少し考えてから、言う。
長い、通路を歩いていく。海弟は思い出す。内部がすごく変わっている。
本当にあの場所なのか?
「…、お前の名前はなんだ?」
「おかしな人ですね。魔物に名前があると思いますか?」
それもそうだ。魔物に名前を付けるなんてめんどくさいことやるよりも、名前を知らない魔物を倒していた方が世の為になる。
だが…、
「あるだろ」
「何でそう思いますか?」
「こっちの世界には名前がないと生きていけないからな」
名前が無くても生きていけることは生きていける。だが、名前が無かったら働くことすらできない。
「そうですね。夜有無死有ですかね」
「そうか…」
「ふふふ、あなた達から見て死神といった者ですよ」
「そうか。でも魔物だろ」
「そうですね…」
お互いの探りあい。深いとことまで掴めずに目的地に着いてしまった。
「ここです」
「でかい扉だな」
「そうですね」
そう言って、扉を開ける。そこには、人型の魔物がいっぱいいる。死神の死有は変身しなくても人間に見えるが、こいつらの元はゴツイ魔物だ。そして、普通の人間なら感じ取れないような異様な雰囲気を持っている。
「あなたをもてなす為に魔王様が用意なさったのですよ」
「魔王の死の原因が聞きたそうだな」
その瞬間に、この空間に殺気が漂う。
「勇者に殺されたのではないのですか?」
「おまえなら、違うことぐらいわかるだろ」
「ふふふ、そうですね。一般人が魔王様の死因なんて知るはずもありません。しかし、魔王様のご友人です。知っている可能性もありますね」
「簡単に言う」
少し、息を呑む。
これを言ったら海弟は、ここの魔物の敵になるだろう。
「俺が、殺した」
「えっ!!」
人型の魔物たちが騒ぎ出す。
実際に手をくだした訳ではないが、海弟もその原因の一部だ。
だが、ここには冷静な人物のいた。
「魔王様は、白の剣が無ければ殺せませんよ」
死有は言う。
「もう1つの可能性を忘れている」
「……なんでしょうか?」
信じたくない。そんな気持ちが伝わってくる。
「黒の剣でも魔王は死ぬ」
「…自殺したといいたいのですか?」
「…ああ」
「それでは、魔王様を殺したのがなぜあなたになるんですか?」
そこにあるのは怒りの感情。わかっているが、本人の口から聞かないとダメなのだ。
「あいつは、優しすぎる魔王って事だ」
「そうですか…」
グルォオオオ~
1人の人間、いや、魔物が海弟に迫ってくる。
それに続いて2匹、3匹とどんどん続いている。
「特殊魔法『生』」
死有の周りから、魔力が拡散する。
それは、海弟を避けて襲おうとしていた全ての魔物を襲う。
グォオオオオ
断末魔。一度に10匹以上は死んでいる。
「どうして…」
海弟は聞く。
だが、返ってきたのは意外な答えだった。
「私は、海弟様の身の回りの事をを任されました。ですから、海弟様の味方ということになりますね」
「…、また約束を破ることになるな…」
海弟は、魔力を練る。
「まってぇ~」
そこに、気の抜けた声が聞こえる。
来たのは、さっき海弟が外で戦っていた少女だ。
この少女は、魔力が異常なほど多い。だから、海弟の周りを一気に特殊魔法で固めることくらいのことは容易い。
「さっきは、よくもやってくれたな」
海弟が言う。
「んふふ、さっきじゃないよ。海弟くん?は一週間寝てたよ」
「は?」
どうやら、『林我』と『林脱』のダブル効果とあいつの特殊魔法の効果で一週間も寝ていたらしい。
「それで、なんのようだ」
「死有ねぇがさ、そっちの味方付くなら絶対そっちの方がいいと思ったからね♪」
「そっちのは?」
今度は、魔力を食われた少女の後ろの男に声をかける。
気づいたのはついさっきだ。
「同じような理由だな」
何か、性格が変わっているような…。
だが、今気にすることじゃない。
「味方か敵かはっきりしろ」
「私達2人は海弟くんの味方ですよ~」
「そうか、後ろを任せる」
「えっ!!」
これには驚いているようだ。
しかし、みたところ近距離で戦えるのはあの男と海弟だけだ。
なので、必然的に海弟と男が前になる。
「う~ん、了解したよ~♪」
海弟と男が前。死有と少女が後ろで構えている。
魔物達にさっきの勢いはない。
なんたって、死有達は魔将軍といわれて魔物の中の将軍的存在。そして、その中でもトップにいたのがこの3人だからだ。
海弟だけなら勝てるとでも思っていたのだろう。
「こないのか?」
海弟は、無駄な争いはやめようと思っている。
約束を破りっぱなしじゃ悪いからな。
「なら、こんなのやめだ。面白くない。挨拶なんてどうでもいいから、飯用意してくれ」
海弟は、今までの殺気を止めて言う。
この場にいる、海弟以外の全員が驚いている。
というか、死有はこの人に魔王様が取り付いているのではないか?とまで思っている。
「どうした?」
『はっ、はい!!』
いっせいに声をそろえて言う。
「よろしい」
海弟は、戦闘狂でもないし、平和が一番とも言わない。
ただ、戦いを避けたいだけである。
1つの約束の為だけに…。
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