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第520話相棒が増殖

『相棒と増殖』


にサブタイトルはしたかったのですが、何かこっちの方が相応しい気がしたんですよね。

うん、○○と○○の方がいいんだけど仕方がない。

チリチリと肌が焼ける。

その原因は一つで、それ以外の要因はすべて消滅しているようなもの。


まあ、目の前にあるからそれに決まってんだろ馬鹿野郎、って感じだ。


「太陽の光を剣へと集約させた!?」

「説明ご苦労。初見で見破るとは、さすがだな悪の化身!」


俺が悪の化身だと?

失礼な。何が失礼って何もかもが失礼だ。


「俺は海弟だッ! わざとらしいぞセルティ!」

「この光を見て痛みを感じているのなら、それは悪の心を持つ証ッ!」


な、何だって!?

それじゃあ……俺には悪い心があるっていうのか……。


まさか、そんな……。


「まあ、知ったことではないな」


そんなにショックじゃないのが唯一の救いです。


勇者の剣にのみ備わったその能力は、持ち主の力を何倍にも倍増させるという。

勝ち目が薄くなった、といえばそうなのだが……それぞれの剣にあるという特殊能力。


妖精の剣には俺の姿を実体化させる効果があった。

けれども、それだけじゃあないはずだ。


妖精の剣が持ち主を選ぶように、勇者の剣も持ち主を選ぶのだろう。

そうして相棒となった剣に持ち主を実体化させる、という程度の力で収まりきるはずがない。


「こっちも能力の把握をしてかないとな」


光の球、光球(こうきゅう)が俺へと向かって発射される。

その勇者の剣の一振りで巨大な光球が俺へと……避けられるかッ!!


妖精の剣を斜めに構えて攻撃の角度を()らそうとしてが、完全に威力が消えることなく俺の体は僅かに反動で硬直する。

その瞬間、間合いを詰めてくるセルティ。


戦闘慣れしているとも思えないのに、何てスピードと判断力。


「チッ、炎よ!」


セルティへと向けられた炎。

しかしそれを剣で断ち切ると変わらずのスピードで俺へと連続して斬りかかる。


まともに体勢が整っていない中、相手の剣の動きに合わせて弾くように妖精の剣をぶつける。

かなりの衝撃で手首に痛みが走る、痺れた手から妖精の剣は離れ、追撃をかけようとしたセルティの手が止まる。


ッ、何だ?


そこで己の姿が消えていることに気づく。


「く、クハハハッ!! いいぞ、剣が相棒? 馬鹿を言うなッ!!」


セルティの顔の前へ手をかざすと火球を放つ。


「な、ぁ!!」


吹き飛ぶセルティ。


「いやぁ、勇者の末裔? 俺の姿を見られないようじゃあ、ジーナ以下だぞ。勇者が村娘以下とは笑いが止まらん」


水球をセルティに向かい放つ。

手は休めないッ!!


「ぐっ、剣よッ!!」


セルティの周りに薄い緑色の障壁が現れる。

その障壁に当たり水球が破裂し消える。


「……障壁か。破壊してやるッ!」


複数の鏡を左右に展開。

その数八。

俺を加え九だから……展開してある鏡に魔力を通し、魔法を発動。


「風よ、一点突破だッ!」


重なり発射される風、それを見計らったかのように動くセルティ。

見えていないはずなのにこちらへ迫ってくる。


「なん、何でだよ!」


しかし風が動きを妨害する。


が、それを邪魔だというように剣を一振りし無力化する。


ッ、そんな効果まであるのかよ。


「そこかァァァァッ!!」

「チッ、何でバレ……」


左右に逃げることの出来るスペースがあるか確認したが……ない。

鏡が左右をふさいでいる……って、鏡のせいでバレたのかッ!!


鏡を前方に移動させ盾のようにする。


それらが全て割られ勢いが無くなったところに火球を放つ。


「クッ、無力化ッ!」

「これじゃあ暗黒龍も不憫だな」


相手に魔法が効かないんだぞ?


たぶんブレスだって斬れることだろう。


横に飛び攻撃を避けるとくるりとセルティを睨みつけるように見る。


「……コイツ、勘が鋭いな」


一度にダメージを与えようとしても対魔法の勇者の剣でダメージを無効化されてしまう。

やはり物理攻撃の方がダメージを与えられるな。


落ちている妖精の剣を拾うと一気に距離を詰めてセルティへ一撃を放つ。


「やはりこの剣は相棒だッ!」

「そこかッ!!」


攻撃が弾かれそうになったが何とか鍔迫り合いに持ち込む。


「姿を消す魔法か?」

「俺にとっては呪いなんだがなァッ!!」


弾こうとしたがセルティがうまく避け、鍔迫り合いが再び起こる。


「何だよ」

「悪龍を復活させて何をしようというのだ」

「だから、背中に乗せてもらおうと思っているだけだ。世界征服を企むならもう少しは作戦を練るぞ」

「……その言葉、気になっていたんだ。お前は、お前達は本当に……?」


真意を問うような瞳。

やはり勇者、詰めが甘い。


だが、今回はその甘さを受け入れよう。

甘い物は好きだしな。


「ああ、この世界にはアンちゃん一匹しか龍はいないんだろ?」

「ならば、ということか。ふっ、久々に笑ったかも知れない」


笑みなど浮かべていないじゃないか。


そんな突っ込みを心の中でしていると、動きを止めて鍔迫り合いをやめるセルティ。

その動作は明らかに戦意があるもののそれではない。


「この扉は勇者の剣ふくめ七つの剣を差し込まなければ開かない」


奥にあるアンちゃんの封印された部屋の扉を指差しいうセルティ。

なるほど、そんな仕掛けがあったのか。


「なら、俺の持つ妖精の剣とお前の勇者の剣とで……残り五つ。集めている時間はないな」

「時間がない? 夢なら気長に叶えれば――」

「うっさいな。一国の王とか勇者の末裔とか俺は気にしないぞ。こっちにはこっちの事情があるんだ」


あと一日で海辺の村へ帰らなきゃいけないのだ。

それも龍の背中に乗って。


「ふむ、少しチート臭いがやるか。勇者の剣を貸せ」

「……返せよ」

「七倍にして返してやる」


手鏡の中に勇者の剣を差し込み……完全に仕舞う。


「『増殖×6!!』」


本体があるから六個ね。


六本鏡の中から出てくる勇者の剣。

最後にオリジナルを取り出して七本完成。


神か、はたまた悪魔か。この剣を作った奴は涙目になっていることだろう。


「さて、封印を解く――」

「待て。何だそれは。何で増えた!」

「……ジーナ、隣に来い」


チラチラとセルティを伺いつつ俺の隣にくるジーナ。

セルティもジーナに気づいたようで俺に問うような視線を向けてくる。


「解放ッ!」

「「無視ッ!?」」


七つの剣を扉に差し込み封印を解く。


黒い光、表現がおかしいのかもしれないが、扉から漏れてくる光は紛れもないそれそのものだった。

そして辺り一帯を黒く染め上げると同時に扉が開く。


『グルォォォォォンッッ!!』


やっと、ご対面かァ!!


七つの球を集め――


海「よっしゃ、願いを叶えろ○龍」


――同じ球七個で出てもいいのコレ?


ってな感じなのですが、本作品では出ます。

白の剣と黒の剣については完全にレプリカ品。魔力劣化が起きますがその他の剣では起きないです。秘められた魔力の大きさに原因がありますが、それについては色々とネタバレになるので言えません。


なので魔力の大きさが同じ、なおかつ同じ製作者(鏡から出たけど)なので扉は開く、というわけでいかせてもらいます。相棒が増殖。


じゃあ次回はアンちゃん出てくるぜ! 赤毛じゃないけど!

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