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第515話海の精霊と村の若者

500話を超えてから何だかテンションが上がらない。


最近小説を読んでないなぁ、ゲームやる時間を削らないとなぁ。

などと思っていたりいなかったりします。

ゲームって集中力とやる気だけを奪っていきますよね。全クリしないと満足感が得られないのが自分です。

……さて、依頼の品を探そうか。

今更だが確認しよう。


イワカメ、だったか。

これカメなのかワカメなのかイワなのかわからんぞ。


と、突っ込みたいところだがどうやらどれでもないらしく。

魚……らしい。結構レア物の。


イメージが沸かないその魚とやらを探すこと十分。

見つかったのは途中落とした剣だった。


「……これを掴むと息ができなくなる、と。前の経験から把握済みだ」


もっと深いところで実体化を解いて潜る予定だったのだが、少し浅いところなので……これを基準にもう少し深いところまで行ってみよう。

何か近くに目印になるものはないだろうか。


辺りを見回すと、マッチョなオジサンみたいに見える岩があった。

記憶がぼんやりしてようとこれを見たら絶対にここが目的地だということはわかるな。


「マッチョなオジサン……略してマオサン、か」


きっと世界中のマオさんはムキムキなこと間違えない。


海の深いところへ足を進めていくと、魚の群れが見えてくる。

しかし、残念ながらアレはイワカメではない。図鑑で見たのは……もっとでかかった。


俺の横を勢い良く泳いでいく姿を眺めて思わず「綺麗だなぁ」などと呟いてしまってから五秒後。

前を向いてみれば巨大なサメ……いや、コレこそが――


「イワカメかッ! 実物恐ろしいなッ!」


水弾(すいだん)を連発し、相手をひるませた後、作戦Bを開始する。


「雷よッ! 包囲ッ!」


イワカメの周囲を囲むように雷を出現させる。

炎なら消えてしまうが……雷ならばそう簡単には消えない。


海水と反応してかバチバチブクブクなっているが俺へのダメージは一切ないので無視しておく。

このまま泳げずに弱るまで待てばいい、それだけ。


これで俺の勝ちは決定なのだ。


「相手が見えないのに、俺って鬼畜外道の極みだな。自分で言うのもアレだが」


ま、これで依頼達成か。

俺より数メートルはでかいこの魚に向かって威力の低い水の魔法を打ち込みつつ浅瀬へと向かう。


数センチずつ吹っ飛ばされて浅瀬へ向かっていくイワカメ。


そういえば図鑑で見た説明に、その体液を皮膚に塗ると増毛効果があるとか何とか。

科学的実証は一応されているようで、副作用として今後魚が食べられなくなるとも書いてあった。


うーむ、異世界には謎がいっぱいである。

何で増毛しただけなのに魚が食べれなくなるのか。


まあ、俺には関係のない話だ。コイツの体液が皮膚に付かなければの話だがな。


これがトリガーとなってフラグ成立、というわけでもなく、剣も拾って無事に沖までたどり着くことができた。

待っていたウミに魚の見張りを頼み、服を着るとギルドへと向かう。


これだけ重いものを一人で運ぶのは不可能だ。

いや、強化魔法を使えばそんなことはないのだが、聞くところによると代わりに運んでくれるサービスとやらもあるらしい。

それを使わない手はないだろう。


往復分の体力? 生臭いものを離れた場所に運ぶほうが嫌さ。


ギルドに駆け込みすぐに海に来るように頼む。

人手は筋肉モリモリの男が五人。


少し多い気もするが……途中で野生の動物に襲われる可能性も考えて多いことに異議はない。


海まで往復三十分、ぐらいかな? 数えていないのでわからないが、大体そのぐらいだろう。

急いでいたし。


「ウミ、見張りご苦労」

「見張りぐらい誰にだってできるよ」

「俺は信頼できる奴にしかやらせん。兄さん方、魚は運んでおいて……て?」


何だ、何か珍しいものでも見ているような、そんな視線だな。

俺のすごさを感じて怖気づいたか?


『せ、精霊様だッ! 海の精霊さまが帰ってこられたッ!』

『お、オイラ村長呼んでくるッ!!』


……置いてけぼりにされてばかりだな。

ここは知ったかぶりしておこう。


「コイツは俺の古い友人だが、ここでは海の精霊と呼ばれているのか。そうかそうか、ここだったのか」

『あんたぁ、精霊様の知り合いか! こりゃあすげぇ!』

「二日ぐらい前に出会ったばかりじゃない」

「俺にとって古い知り合いならばそれでいいんだよ」

「誰にとっても二日は短いと思うわ。古いと言わない、それにアタシが海の精霊なのは最初から知ってたでしょ?」


コイツ、俺の知ったかぶりをすべてないことにしたな。


まあ、いいか。

人間素直が一番です。


「それで、何で海の精霊さまとやらにへーこらやってるんだ? お前たち」

『そりゃあ、この村は漁業が盛んですから、海の精霊さまを祭るのは当然のことでさぁ』

「ん? でもコイツ、漁師を見たら海の中に帰ったぞ。見たくないものを見た、って感じだったなぁ」

『へ? そりゃあ、一体……』


ウミのほうへ視線が注がれる。

注目に耐えられないのか、背を向けて話し始めるウミ。


「漁師がいけないのよ! 海にゴミを捨てるわ、立ちションベンするわ、ってこっちの身にもなりなさい!」

『なんと! そんなことを……ああ、恐れ多い!』


筋肉が縮む思いの間違えなんじゃないだろうか。

肉体美を追求するなら死ぬまでムキムキが基本だろう? デフォルトだろう? 無理だろう?


まあ、過去のことは水に流す今回のことでつもりらしい。

今回のこと、というのが何かはわからないが、水に流すって……ぷぷ、ギャグのつもりだろうか?

みんな気づいてすらいないぞ。


いくら海の精霊だからってギャグがしょぼくて許されると思うなよ。


「おいおい、面白くないぞ。そのギャグ」

「何の話?」

『ギャグ? 何か面白い話でもしてるんですかい?』


……すみません。ホント、すみません。

はい、俺がいけないんです。


何だコイツ等のコンビプレーは!!


怒りを多少覚えつつも村長の家とやらに向かう。

ウミも一応は村の中央付近までなら移動することが可能らしい。海の精霊なので移動できる地区が限られているのだ。


ちなみに、この世界では海洋よりも陸地の方が大きいらしく、生活が窮屈でほとんどの魚が絶滅危惧種並みだとか。

俺が捕った魚も数が少ないものらしい。


……そういえば、俺の魚は?


後ろを向く。

海の良い香り……そうか。そうなんだ。


「お前等仕事しろよッ! 運べよ魚をッ! 今すぐ取ってこいよッ!!」

『え? あ』

「え? あ、じゃねぇッ!」


こっちは命をかけて……はないか。

一生懸命捕った魚なんだぞ! コンチクショー!


海に向かい走っていく男たち。

これが彼等の青春である。実に素晴らしい。


「青春を男だけで過ごしたくないものだな。うん、例えそれが人類じゃなくても女はいいものだ」

「サル、とか?」

「お前一度死ぬか? サルはオスとメスだろう」


というかサルのメスと一緒にいても俺は青春を全うできた気にならないぞ。


高校卒業後、ジョブがサル使いとかになってそうで怖い。


『えっほ』

『そいやっ!』

『えっほ』

『あらよっ!』


……あの光景に恐れしか抱くことのできない俺はまだ正常だ。


向かってくるマッスルボーイ共が運んでくる魚は確かに、俺が捕ったものだ。

それはわかるのだが、この場から逃げたい気分もわかる。


『こっちです』


俺たちの横を通り過ぎて、道案内をしてくれるらしく、村長の家へ向かっていく男たち。

アレに付いていけと?


恥ずかしい! 恥ずかしすぎる!


「いくぞッ! 我が心は(ハガネ)、いいや……食塩なりッ!」

「食塩!?」


道なき道を行くつもりはない。

俺たちにはすでに道は見えている。この一本道、男たちが進む一本道。


さあ、行こう。


「何で食塩なのー!」

「知るかッ!!」


全力ダァァッシュッ!! シュバッ!


あくまでの海弟視点。


他人の幸運を喜び、それを表現したり、他人の不幸を細かく表現したりしたいのが海弟です。


幸運など知ったことか。不幸だな、あっはっは。


……これが海弟です。

まあ、笑いはしますが手助けをしないわけではないのでムカつきつつも助けてもらいましょう。


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