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第512話博物館と海の底

ファンタジーでありそうな名前を現在考えて使っております。


で、


考えるのがめんどくさくなってきたんだぜ☆

……博物館?


周囲に何も並べられていない殺風景な光景に絶句しつつも、視線を横にいるジーナへ向ける。

この女、胸の上に腕を乗せて考え事をしている様子。


「……前来たときはもっと展示品あったんだけど。おかしいな」

「確かに、おかしい」


お前、この世界の下着業界に貢献してるんだな。文字通り、その大きな胸を貸してやっているわけで……青空がいないから変な方向へ向けるの自重しなきゃならない。

うーん、つまらないな。


「二階へ行ってみよう」

「どうせ何もないだろ。この様子じゃあ、さ」


幸いにも従業員はいるのだが、誰一人としてこちらに目をあわせようとしない。

といって、ジーナの胸を見ている様子もない。


明らかに態度がおかしい。


階段をすぐ見つけて上へ行ってしまうジーナを追いかけ……ん?


「落石事故!?」


階段の上から転がってくるジーナの体。

何が起こった!? さすがに避け……待てよ?


転がってくるジーナ。ぶつかる俺。

おいしい展開。


ふっ、俺に任せろッ!!


視線をジーナの体が常に映るようにして……と。

さあ、来いッ!!


両手を前に突き出した俺――をすり抜けて階段の一番下に転がり落ちるジーナ。

あるぇ?


「俺、透けてる? はっは、そうだったよ。忘れてた」


って、何でアイツは落ちてきたんだ?

何が起こってるんだ?


あえて下は見ずに上を見る。

誰もいない……?


どうなって――


「痛いなぁー。足滑らせちゃったよ」

「うむ、説明ご苦労、帰るぞ!」


ろくに展示品など見ていないが、関係ないさ。





「せっかくさ、暇つぶしでもしてるみたいに暮らしてる毎日が変わるかと思ったにさ……」

「お前は夢見る女の子か? 痛いぞ、他の奴にはお前一人しか見えていないんだからな」

「ドキドキワクワクするのは何歳になっても変わらないでしょ?」


……俺も年取ってみないとわからないよ、その気持ちは。


何故か浜辺で座っている俺とジーナ。

そこには海しかない。


心落ち着くはずの風景なのに、何故だろう。

胸騒ぎしかしない。


というか後ろからの視線がやばい。


チラリと後ろを見てみれば、青年からおっさんまで。

海を眺めるジーナの後姿を嘗め回すように見ている。


……そりゃあそうだろう。美人が一人(俺は見えない)で海辺にいたら、声もかけたくなる。

仕事ほっぽりだして何やってんだか、と俺は怒ってやりたいがな。


「ちょっと泳ごうかな」

「全裸な」

「うん」


服に手をかけ、その手に手をかけ……止めるぞ、うん。


「脱ぐな。いや、お前は視線が着にならないのか!」


後ろを振り向くジーナ。

さっ、と隠れる男たちだが、遅い。あまりにも遅すぎる。


さすがにジーナもわかったご様子。


「なら全裸とか言わないでよ」

「俺に全裸を見せようとするなよ」


何か論点が違う気がするな。


元の位置に戻り座りなおす俺とジーナ。

ああ、海ってこんなに綺麗だったんだな。


俺の(すさ)んだ心は癒されていく。


波の音を聞きながら、足に巻きつく海水を手で払い寄ってくる海水を踏みつけ散らし……ん?


「おっと、無意識に防御姿勢を取っていたか」

「すでに反撃されてるよ!!」


おっと、それは勘違いだ。

お前は攻撃していないのだから反撃ではない。


つまり……? そう、暴力ですね。すみません。


「にしても、足に巻きついてきたら誰だってビックリするぞ」

「真顔で手を蹴られたんだけど……」

「ビックリしすぎると真顔になるものだ。ほら」


横で真顔になっているジーナを指差す。


「……人間って不思議な生き物なのね。それよりも、約束より早い時間だけどどうしたの?」

「この世界にきて、俺には目的が一つあるが……。今やるべきことがわかんないんだよな。だからここに来たんだ」

「アタシにだってわかんないよ」


だよなー。


でも、他に行くべき場所ってのが思いつかないんだよ。

俺でも扱える剣でもあれば冒険の一つも出来るのだが……。それか俺が実体を手に入れるか、だな。


「なあ、妖精の剣みたいなのないのか? 幽霊が扱える剣」

「……うーん、ある……かも。だけど、どうする? 聞く?」


何だよ。

そう言われると気になるじゃないか。


「おう、聞くぞ」

「その昔、大嵐で沈んでしまった貨物船があってね。その中にあるって噂なの。妖精のみ扱うことの許された剣、だったかな」

「それじゃあ俺が扱えるかわからないなぁ」


でも、まあ行ってみる価値はある。


「じゃあ行ってみるか。幸い、俺は熱さも寒さも感じないみたいだし、空気を吸わなくても大丈夫だろ」

「案内はしてあげるけど。無理っぽいなら帰ってきてね」


では、海底へ向かうとしよう。


「って、ちょっと待った! 何の話!? というか、水が……」


信じられないものでも見るような目でウミを見るジーナ。

俺のことも最初はそんな視線で見てほしかったな。変な意味じゃなくて。


「かいでがいるから特別に人間に姿を現してあげ――」

「長い。兎に角、行くぞ。じゃあなジーナ、また会おうッ!」


海水に足をつけるも濡れている感触はない。

さすがだな、何に対してさすがといっているかはわからないが。


「え、えー」

「普通の人間じゃあ死んじゃうからいけないよ?」

「……いってらっしゃい」

「おう」


ウミに導かれ難破船へ向かい歩き出す。

さあ、俺たちの旅は何とかかんとかだ!





「こ、これはッ!」


海流が激しいところをいくつか通ってきたが俺には関係ない話で、何処かにウミが飛ばされたりしたが何とかたどり着くことが出来た。

一時間とか短いね!


どうやら船の技術はまだ少ししか発達していないらしいな。

それか、そういう時代に作られた船なのか……どちらでもいいか。


「行くぞスマプルン」

「また……」


船に開いた穴から中へ入る。

構造がまったくわからないのだが……まあ、何とかなるだろう。


「にしても、何でこんなところに妖精しか扱えない剣だっけ? それがあるんだ?」

「妖精と人間の戦争の果て、ってところかな。説明は面倒だから省くけど、うやむやになったところで海賊がその剣を奪ったんじゃないかな」

「ほお、あるって前提の話になっているが、それなら剣がなくてもいいものが一つや二つあるかもな」


俺は生憎と持てないが、ウミならば持つことが出来る。

とりあえず温泉に寄付しよう。俺は投資家なのだよ、きっといい混浴ができることに期待している。


「さーて、お宝は何処かなー、っと」


一時間というのは海弟感覚で、です。

海弟には時間を確認する術はないですしね、ウミも同じく。


だから実際は一時間よりも長いかもしれないし、短いかもしれない。


こんな曖昧さのなかに詰まったものを想像するのがいいですよね。

大きな魚に可愛らしい貝がらとか、人食いザメもいそうですけどね!


変な方向にこじれないように頑張っていこう、えいえいおー。

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